『クロサギ』原案・夏原武氏に聞く、最新詐欺犯罪「SNSのお金配りは詐欺の可能性あり!」

公開: 更新: TBS Topics


TBSで放送中の平野紫耀主演の金曜ドラマ『クロサギ』(毎週金曜よる10時放送)。平野演じる主人公・黒崎高志郎が、詐欺師を騙す最凶の詐欺師・クロサギとして、大きな敵に立ち向かっていく物語だ。

過去2回にわたって、「18歳新成人詐欺」「詐欺師の実態や変化した詐欺の傾向」の話を聞いてきたが、今回も漫画『クロサギ』の原案を担当し、本ドラマでは詐欺犯罪監修を務める夏原武氏にインタビュー。SNSでよく見かける「お金配りにまつわる犯罪」など、最新の詐欺犯罪について話を聞いた。

キャッシュレス決済を使った最新詐欺

――最近、数万円単位の少額詐欺が横行しているように見受けられます。

キャッシュレス決済やコンビニエンスストアなどで手軽に購入できるプリペイド式のカードなど、簡単に送金できる手段が若者を中心に浸透したことは、少額の詐欺を助長させていることと、関係があると考えています。これらは、私たちの暮らしをとても便利にしてくれる一方で、危険性をはらんでいることも否定できません。

僕からのアドバイスは1点。新しいシステムが出てきたとき、“便利そうだから”“キャッシュバック率が高いから”という理由だけでむやみやたらに手を出さないことです。どんなに大々的に始まったシステムでも、落とし穴があれば淘汰されて消えていきますし、優れたものはどんどんブラッシュアップされていく。1年ほど様子を見て、堅牢なシステムだと分かってから使い始めても遅くないと思います。

――最近、SNSで「100億稼いだのでお金を配ります」などと書き込みがありますが、これは詐欺犯罪と関係があるのでしょうか?

書き込んでいる人たちがしているのは、ずばり、第三者の口座探しです。
「当選したので10万円振り込みます。振り込み先を教えてください」と言って、個人情報を聞き出し、100万円振り込む。そして「一桁間違えて振り込んでしまいました」と連絡するんです。「10万円はもちろん差し上げます、でも90万円はこれから行く人に渡していただけますか」と伝えるわけです。

これに従ってしまうと、外形的には「詐欺師の受け子」です。実際、これで逮捕された人は少なくありません。つまり騙して奪った100万円のうちの10万円を使って、第三者の個人情報を探しているだけなのです。

よく考えてみてください。わざわざあなたが90万を降ろして、手渡しするなんて不要なんです。銀行送金の「組み戻し」というシステムを使えば、現金をおろすことなく送金主にお金は戻るのですから。でも「組み戻しで」と伝えると相手はきっと「手数料がかかる」とか「時間がない」とか「早めに返してほしい」などと言ってくると思いますけどね。

もしこういう目に遭ったらどうしたらいいか。そのまま警察に行くだけでいいんです
「10万円くれるって言うので口座を教えたら、100万円入っていました。降ろして現金で返してくれって言われています」「警察のほうから連絡してもらえませんか?」 これでだいたい大丈夫です。 むしろ警察に通報しないでいると、詐欺師に加担していると思われても仕方ありません

ちなみにその100万円をそのまま貰おう、というのも危険ですよ。すでに相手に個人情報を握られているので別の意味で怖いことに巻き込まれるかもしれません。

詐欺とは興奮させる犯罪

――詐欺に遭いそうな人に傾向はありますか?

ずばり「欲望が強い人」「知ったかぶりをしがちな人」。たとえば、「お金を儲けている人こそが成功者」という発想が強い人は、たとえそれが犯罪まがいの方法だったとしても、お金になるならいいじゃないか、という発想をしてしまうんです。いわゆるマルチ商法の誘いに乗ってしまうのはこのタイプの人が多いかもしれません。

また、知らないことを素直に「知らない」と言うことが恥ずかしい人も騙されやすい傾向にあります。たとえば詐欺師は、「ご存じだと思いますけれど」という枕詞をつけて話しかけて、「知らない」と言いにくい状況をつくるのです。

――誰しも、多少なりとも当てはまりそうです……。

分からないなら手を出さず、自衛する以外に未然に防ぐ方法はありません。暗号資産がよく分からないのであれば、手を出さない。 分からないことは分からないと認め、“それをやらないと損をする”という意識を捨てるべきでしょう。

ではなぜ、そんな口車に乗ってしまうのか。それは詐欺師が、「相手を信用させること」と「相手を冷静にさせないこと」に全力を注いでいるからにほかなりません。知っていて当然という顔で説明し、相手に“知らなかったことで自分はいままで損をしていたのではないか”と思い込ませる。そして、おいしい話や成功例で夢中にさせる。それがおいしい話であるほどに、興奮して出資してしまうのではないでしょうか。

でもよく考えてみてください。全く知らない、赤の他人に、わざわざ儲かる話を教えてくれる人なんていませんよね? もし、本当に儲かるなら、まず自分がやりませんか? “おいしい話”を勧めてくるけれど、その人自身は出資、投資していない、なんて、間違いなく詐欺です。「詐欺は本物のすぐ横にある犯罪」とも言われています。おいしい話を聞いたときこそ、落ち着きになりましょう。そして冷静さを持って、本物と偽物を見極めることを心掛けてください。

令和という新しい年号になって4年。「クロサギ」が完結してから9年がたちましたが、世の中には相変わらず悪い奴はいっぱいいるし、詐欺師はいつでも皆さんを狙っています。ぜひ漫画やドラマで、「詐欺は怖いもの」「軽い気持ちで押した判子のせいで、とんでもない目に遭ってしまうこともある」ということを知っていただきたいと思います。

そして法律には限界がある、ということも覚えておいてほしいですね。でもそれは、「法律を無視しろ」ということではありません。法律には限界があるから、救済される可能性に賭けるしかない部分もある、ということです。 

僕も本当は、“人を疑え”とか“人を見たら泥棒と思え”という寂しいことを、何度も言いたくありません。だからこそ漫画やドラマ『クロサギ』で、主人公・黒崎のスカッとする活躍などを楽しみながら、「急に他人が自分を儲けさせるために近寄ってきたら疑え」ということを学んでいただきたいと思っています。

【プロフィール】
なつはら・たけし。『クロサギ』シリーズの他、『正直不動産』『任侠転生 -異世界のヤクザ姫-』 『カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義』などの原案を手掛ける。
『クロサギ』シリーズ 9年ぶりの新作単行本『クロサギ再起動 -18歳新成人詐欺犯罪編-』が現在発売中!

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■番組概要
〔タイトル〕

金曜ドラマ『クロサギ』
〔放送日時〕
毎週金曜 よる10時~10時54分

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