TBSで放送中の日曜劇場『マイファミリー』(毎週日曜よる9時)。鳴沢温人(二宮和也)と未知留(多部未華子)が、誘拐された娘を取り返したのも束の間、友人の三輪(賀来賢人)の娘が誘拐されるという新たな事件が起こってしまった。今回は、事件を追う捜査一課の管理官・日下部七彦を演じる迫田孝也に役柄や現場でのエピソードなどを聞いた。
警察内部の人間模様を表現したい
――演じる日下部管理官の役どころについて教えてください。
誘拐事件が起こったときの陣頭指揮を執る管理官なので、ある程度出世コースのいいところにはいます。ただ、その中でちょっと出遅れているところがあって焦りがあるので、前のめりな面もある。玉木宏さん演じる葛城補佐のことを、ライバルとはいかなくても、部下なのに少し意識しているというか。
警察官にもいろいろなタイプの人間がいて、警察の一枚岩じゃない部分というか、警察内部の人間模様みたいなものを表現できればと思っています。そして、誘拐事件に対して、真正面に誠実に解決に向けて尽力するところはぶれないように意識して演じています。

――役作りをされる上で、具体的に意識していった部分などありますか?
これは撮影を進めながらだんだん作っていった感じなのですが、よく物を食べているんですよ。ガムを食べたり、飴をなめていたり。日下部は、管理官としてしっかりしていなきゃいけないのですが、そういう一面を見せることで事件の緊迫したシーンと、緩急をつけられる役割があるのかなと。
食べるものは毎回何が来るのかわからないんです。一生懸命真面目にセリフを入れていっても、急に「今日お弁当食べながらね」と監督から言われたり(笑)。
――役を演じるにあたって大切にしていることは?
最近特に心がけていることは、どんな状態でもセリフが出てくるような体勢を作り上げること。口だけから吐き出される言葉というよりも、頭の中で何も考えてなくても、セリフだけはどんどん発せられるように体が覚えているようにする。そうすると現場に行ったときに、監督からの指示も含めて、自分のイメージと違ったときでも、対応力が上がります。
例えばお弁当のシーンで、ごはんを食べそこなったときに「どうしよう」となっても、セリフだけはどんどん出てくるようにしておく、ということですね。どうしても頭の中でセリフも考えながらだと、食べるのがおろそかになったりもしますし、飴をなめているときに、「この袋をどうしようかな」と思っていてもセリフはちゃんと発せられるようにしておきたいというか。

――捜査一課長役の富澤たけしさんと共演された感想は?
真面目な物語なので、やっぱり現場はヒリヒリするわけです。だけど、演じてらっしゃるのが富澤さんなので、どうしてもいつかボケてくるんじゃないかとか、何か入れてくるんじゃないかというドキドキ感が毎回あります。一課長は油断ならないですね、探り合いです(笑)。
――葛城役の玉木さんはいかがですか?
玉木さんも油断ならないです(笑)。役どころとしては、僕の部下ですが、貫禄があって一言話すたびに重低音ボイスを効かせてきて、すごくかっこいい。かたや僕は、ご飯食べたり、ちょっといやらしさ見せたりする上司。どうやったら僕も貫禄を見せて、いかに彼にマウントを取っていこうかと考えています(笑)。気を抜いたら僕の方が部下に見えて、管理官としての日下部が成り立たなくなってしまうんじゃないかと、悩みでもありますね。
――巡査・梅木役の那須雄登さんとはお話しますか?
那須さんとは撮影の合間によくお話します。彼はまだ役者としての経験が少ないようなので、自分の役についてどう考えているのかとか、演じるにあたって何を考えてきたのかなどを話しています。話していると、最近僕が忘れかけてしまっている、自分が役者を始めたときのことを思い出して、彼の話に共感しています。
――これまでの撮影で印象に残っているシーンはありますか?
日下部は狭い指揮官車の中でずっと指揮を出しているポジションなので、撮影はモニターに向かってセリフを発してるシーンが多いんです。部下は2人ついてはくれているのですが、やはり少し寂しい。だから、指揮官車に葛城補佐たちが来てくれると嬉しくなります(笑)。
一方、捜査本部のシーンでは、たくさんの部下たちがいてくれて、日下部の指示に「はい!」と皆が言ってくれます。「日下部は管理官だ」と感じられるし、上司として扱ってもらえている気がします(笑)。

――日曜劇場『天国と地獄~サイコな2人~』を始め、日曜夜のミステリー作品への出演が続いていますが、放送がスタートして、周りから反響はありましたか?
あります。「また日曜日に出ているね」と言われますし、まだ誘拐事件の犯人が明るみになっていない中で「もしかしたらまた犯人じゃないの」とも言われます(笑)。僕にとってはそれだけ見てくださっている方々がいっぱいいたという証でもあるので、嬉しいですね。
――視聴者の考察が盛り上がっています。
皆さん本当に細かいところまで見てくださっているので、しまいにはお芝居をしてて、目線の置き所にすら、迷いが生じるときがあるんですよ。「今、日下部管理官があっちを見たから、あっちに何かあるんじゃないのか」とか。
撮影のときは何も考えずに思った方に視線を向けていただけなのですが、オンエア後にどんどんそういう見方が広がって。まぁちょっとしめしめと思っている部分もありますけどね(笑)。
――最後に視聴者へメッセージをお願いします。
この物語の1番の謎は、誘拐事件がなぜ起きたのかということです。これから話が進むごとにいろいろ明らかになっていって、犯人の予想など視聴者の皆さんは楽しんでいると思います。
それに伴って自分が演じている警察サイドのことで言えば、今までのシーンでは日下部と葛城補佐の対立や、警察内部のそれぞれのエゴのぶつかり合いがありましたが、この2人が果たして吉乃一課長を頭にして、これからちゃんと協力して事件解決に向かって進んでいくのか。それともやっぱりまとまらずにそれぞれで動いていくのか。警察の少し嫌な面といいますか、そういうぶつかり合いの部分にも注目していただければと思います。
■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『マイファミリー』
[放送日時]
毎週よる日曜9時~9時54分