TBSで放送中の火曜ドラマ『ファイトソング』。空手選手の夢を絶たれ、人生どん底の木皿花枝(清原果耶)と、一発屋でクビ寸前の変人ミュージシャン芦田春樹(間宮祥太朗)、そしてチャラいがずっと花枝に片思いを続けている幼馴染の夏川慎吾(菊池風磨)、3人の恋と成長を描いたヒューマンラブコメディだ。今回は花枝の部屋と芦田の住むマンションのセットについて、本作の美術デザイナー、野中謙一郎氏の話を交えながらご紹介。
花枝の可愛いモノ好きなところは、部屋のあちこちに!

人の気持ちを知るため、恋を知るために花枝と“恋の取り組み”を始めた芦田。ぎこちない2人の姿にキュンキュンした人も多かったはず。そんな花枝は空手一筋で、ちょっと大雑把(?)なところも。でも、部屋は普通の女の子らしい可愛らしさがある。そんな花枝の部屋について、野中氏に聞くと「最初は、花枝はずっと空手に打ち込んできた女の子なので可愛いものには興味がないんじゃないかと思ったんです。でも、打ち合わせで監督とプロデューサーから『可愛い部屋にしたいよね』と言われて。花枝の部屋はあさひ学園の施設長、直美(稲森いずみ)から母屋を間借りしているという設定。部屋が和室だったということもあり、“レトロ可愛い”をコンセプトにしたらいいんじゃないかなと思ったんです。古い家具でも可愛いものはたくさんありますから」と教えてくれた。
4話ではデート中、芦田からプレゼントされたムササビの人形が、花枝のお気に入りとなるなど、実は可愛いモノ好きととれるシーンも。そういえば、花枝の部屋には小物も多い。「部屋に置いてある人形や小物は、ちょっと懐かしくて可愛いものをチョイスしています。この微妙な可愛さにこだわりがあったので、自分でいろいろとお店に行って探し、買い集めました」と野中氏。ほかにも「レトロっぽさや、可愛さを表すために布団カバーやこたつ布団は編み込みのものにしたり。ビンテージっぽい家具も用意しました」と“レトロ可愛い”へのこだわりを明かしてくれた。
ちなみに花枝の部屋は7.5帖。「とても狭いので、撮影は大変です(笑)。また、空手のトロフィーなども用意しましたが、監督から『花枝はきっと見たくないだろう』と言われたので、押し入れの奥にしまっています」と、しっかり空手少女だったことも部屋には隠されているそう。
計算し尽された芦田の部屋
一方、芦田の住むマンションの部屋はとても豪華。広いキッチン、リビングにたくさんある楽器など、いかにもミュージシャンといえる部屋。野中氏によると「最初、芦田の住んでいるところは、ヴィンテージマンションで部屋は広く、物は少ないと聞いていたので、これは古いマンションをリノベーションしたという設定がいいなと思ったんです。なので元々あった壁を取り除き、ワンルームに近い部屋にしたという作りにしました」とのこと。「部屋のコンセプトは、“とがっている”こと。コンクリートむき出しで、キッチンはステンレス。そこにいくつも楽器を置くことで、生活感があまりないロッカーっぽい部屋にしました」。

1話では曲が作れず、芦田が思わず壁を蹴って穴をあけてしまうシーンがあったが、それにはこんな撮影秘話が。「実はコンクリートむき出しの部屋にしようと思っていたので、どうすれば穴をあけることが成立させられるか、かなり悩みました。そこで作曲ブースだったので、リノベーションしたとき壁に防音材を貼った設定にしたんです」と野中氏。「実際、僕も壁を蹴ってシミュレーションして、もし間宮さんがNGを出しても、すぐに壁を取り換えられるような構造にしました。でも、本番では間宮さんが一発OKを出していただいたので、ほっとしました(笑)」。
ほかにも芦田の部屋を作る上で大変だった点があるという。「アップライトピアノの置き場所です。1話のラストで芦田が花枝にピアノと歌を聴かせるとても大事なシーンがありました。セットを作る前、ミニチュアの部屋を作り、監督と何度も打ち合わせをして。何気なく置いてあるピアノですが、花枝の位置などすべて計算し尽して、置いてあるんです」。
ドラマを作る上で欠かせない美術セットや小道具の数々には知られざる裏方の努力がある。それをちょっと知るだけで、物語の世界観もますます広がり、よりストーリーにのめり込めるはず。5話では花枝と芦田の恋が早くも終わりを告げる!? さらに慎吾もからんで思いもよらぬ事件が!! 怒涛の展開にご期待ください。
■番組概要
[タイトル]
火曜ドラマ『ファイトソング』
[放送日時]
毎週火曜よる10時~10時57分