巨大な顔の正体とは
標高約2150mの高さを持つ、トルコの世界遺産「ネムルト山」。その山頂付近にはナゾの“巨大な顔”がいくつかあります。

19世紀の終わり頃に発見されたこの顔は、2m以上の高さがある石像で、ギリシャ神話のゼウスやヘラクレスなどの神々の顔だそう。
これらはもともと胴体と一体になっていて、台座に座っている石像でしたが、地震などで頭部だけが転げ落ちたと考えられています。

ちなみに、巨大な顔と胴体を合わせると高さは7mほどになるとか。
この場所にこうした石像があるのには、実は“理由”がありました。
神々のそばには、“王”も並んでいた
石像の背後にあるのはなんと、“小石を積み上げて作られたピラミッド”で、王の墓だといいます。ここには、約2000年前に存在した「コンマゲネ王国」の王・アンティオコス1世が眠っています。

ピラミッドのほか、アンティオコス1世は、神々の石像と並ぶように自身の石像を作らせたそう。

列の両脇には、ワシとライオンの石像も。ワシは天空を、ライオンは大地を守る意味合いがあったと考えられています。
神聖な場所でもあったこの山の頂で、かつて神官は儀式を行い、王国の繁栄と平安を願ったといいます。

石像や小石のピラミッドがある「ネムルト山」は、“独特な文化が生んだ古代の墓”の価値が認められ、1987年 世界遺産に登録されました。王や神々の石像は、山の頂で今日も静かな時を過ごしています。
世界遺産
日曜よる6:00~