TBSで放送中の日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(毎週日曜よる9時放送)。小松左京による不朽の名作「日本沈没」に大きくアレンジを加えた今作は、2023年の東京が舞台。小栗旬が演じる天海啓示をはじめオリジナルキャラクターたちが、沈没の危機に立ち向かう姿を描いてきたが、いよいよ最終回を迎える。今回は唯一原作に登場するキャラクターで、関東沈没、そして日本沈没を訴えた田所博士を演じる香川照之をインタビュー。役への思いや印象的なエピソードを聞いた。
松山さんに背中を押してもらった
――田所博士を演じてみていかがでしたか。
日本が抱えている状況や環境の変化に誰もが影響を受けていく中、田所だけが一貫して同じことを言い続けていてまったく変わらない。この作品の中では相対的には一番演じやすい役だったのかもしれません。
田所は自分勝手な男なので、役作りを含めてそういう風に演じていたら、ある日松山(ケンイチ)さんに、「僕の周りに田所博士にそっくりな人がいる」と言われまして。現実にこの男がいるのなら、役作りが正解かどうかは分からないけれども、存在しているという強みがあるなと、背中を押してもらいました。その人のことを松山さんに詳しく聞いてみると、クセは強いけれど面白い方らしくて。田所もどこかチャーミングなところもあるかなと思い、ちょっとこずるいところも入れて演じていました。

――小栗さんをはじめ、出演者の方々と共演していかがでしたか。
小栗さんとは久々の共演でした。日本の俳優界を背負っていく方でもありますし、座長としての大きさだったり力量だったりいろんなものを近くで拝見し、素晴らしいなと思いました。仲村トオルさんは僕が初出演した映画の主役で、一番の親友でもあるのですが、彼とも久々に共演できてよかったです。ほかにもいろいろな方と共演させていただいて、刺激的な経験ができました。
――撮影での印象的な出来事を教えてください。
たくさん食べる役で僕だけ“日常”が出るんですよ。研究所で豪華なものをいろいろ食べさせてもらえてうれしかったですね(笑)。
あと、日曜劇場には毎年のように出演させていただくのですが、毎回同じ髪型なので今回は変えたかったんです。田所の髪型は8割が地毛ですが付け毛もしていて、アイロンでくるくるに巻いているんです。この髪型で外に出たら誰も僕だと分からないんですね。帰るときに付け毛は取りましたが、この髪型で日常に戻るのが楽しみでした。違う街で名前を変えて生きているかのような体験ができました。
――ドラマでは日本沈没の危機に直面して、誰もがかけがえのない日常に気付いていきますが、香川さんにとってのかけがえのない日常を教えてください。
俳優の仕事ができること。危機になったときに最初になくなる仕事だと思いますから、今、ちゃんと仕事をさせていただいていることがかけがえの日常だと思います。本当にありがたいことです。
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■番組概要
〔タイトル〕
『日本沈没―希望のひと―』
〔放送日時〕
最終回 12月12日(日)よる9時~11時3分