TBSで放送中の日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(毎週日曜よる9時放送)。小松左京による不朽の名作「日本沈没」に大きくアレンジを加えてお届けする今作は、2023年の東京が舞台。主人公含めオリジナルキャラクターが、沈没の危機に立ち向かう姿を描く。ドラマではついに関東沈没が起こり、天海(小栗旬)と椎名(杏)は福岡へ出発する香織(比嘉愛未)たちを見送った直後に被災。香織たちが乗った避難バスがトンネル崩落事故に巻き込まれたと知り、探し回ることになった。現実では関東沈没は起こりえないことではあるが、台風や地震、川の氾濫などは身近で起こりえる災害だ。今回は作品の地震学監修を手掛けている地震学者であり、防災にも詳しい山岡耕春氏に、災害から身を守る方法、災害時の連絡方法を聞いた。
信頼できる情報源を複数持つこと
――台風や豪雨など風水害の場合、身を守るために大切なことを教えてください。
最近の気象災害は天気図やレーダー、大型コンピューターによるシミュレーションが進化しているので数日先まではかなり良くわかるようになっています。ですので、落ち着いて早め早めに行動することが大事。逃げ遅れないのが最も大切です。
自分の安全を人頼みにしてはいけませんし、「自分だけは大丈夫!」と妄信したり、不確実な噂に惑わされてもいけない。日頃から信頼できる情報源を複数持っておいて、自分から情報を取りにいくことが大事です。
――避難時に必ず持っていくべきものはありますか?
最低限の食料や水、安全を守るための物品、その他自分にとって必ず必要な物です。普段から用意をし、非常持ち出し袋として一つにまとめておくと良いでしょう。スマートフォンも忘れないようにしましょう。ただし、スマートフォンがつながりにくくなると情報を得る手段が限られるので、携帯ラジオも用意しておくと有効です。
また、自分の住んでいる場所の避難所がどこにあるかは、事前に調べておきましょう。そこには最低限の食料や水が用意されていますが、不足するかもしれません。災害から3、4日後には追加の食料の供給があると思いますので、それらを加味して事前に非常食を用意しておくとよいのではないでしょうか。
停電になる場合もありますので、懐中電灯やロウソクなどの停電対策も必要です。最近は皆さんのスマートフォンでライトが付きますから、緊急の場合にはそちらで対処できますが、万が一の際に使えるように、普段からしっかり充電をしておきましょう。
――外出先で被災した場合、劇中のように連絡手段は公衆電話が一番良いのでしょうか?
公衆電話はどんどん減っているので、場所によっては簡単に見つけることができない可能性があります。防災用の伝言板や、通信に負担をかけないメッセージ系アプリも有効です。音声通話は災害時には通話制限がされることが多いので、音声通話が難しかったらメールやメッセージアプリなどを使ってみると良いでしょう。一つの手段がダメでももう一つの手段だとつながる場合があるので、普段から複数の手段を持っておくといいと思います。
ただ、携帯電話は、災害の直後だと意外とつながります。停電により携帯電話基地局のバックアップ電源が止まってしまうと徐々につながらなくなっていくので、できるだけ早く連絡を取って、自分の無事や避難先を伝えるのがベストです。
――スマートフォンは災害対策の重要アイテムということでしょうか。
スマートフォンは大事です。ただ、災害に直面すると、パニックになってどこかに置き忘れたり落としてしまう場合もあるので、気をつけなければいけません。また、水に浸かってしまうと使えなくなる機種も多いので、防水機能があるものを使うのは災害対策として有効だと思います。また、充電するためのモバイルバッテリ―を用意しておくと安心です。
何とかなると考えない
――万が一、堤防の決壊などで自宅が浸水被害に合った場合の対処方法を教えてください。
早め早めの避難が大切です。万が一逃げ遅れた場合には、残念ながら絶対に助かるという方法はありません。できるだけ安全だと思うことをやるしかないのです。例えば流れがキツくて外に出るのが難しいと感じたら家の上の方に避難するとか。ただ、2階まで水が来て絶対絶命という場合もあります。絶対に助かるとは言えませんが、リュックサックの中に発泡スチロールなど軽いものをつめて、いざとなったらそれを抱えて流されても沈まないようにすることも考えましょう。何とかなると考えて、行動が遅れることが一番良くないので、最悪のケースを考えて迅速に行動しましょう。
【山岡耕春プロフィール】
名古屋大学大学院環境学研究科・地震火山研究センター教授。地震予知連絡会会長。専門は地震学と火山学。2006年に公開された映画「日本沈没」に科学監修として参加した。著書に「南海トラフ地震」(2016年)、「Q&A日本は沈む? 地震・火山と防災」(2007年)。
■番組概要
〔タイトル〕
日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
〔放送日時〕
毎週日曜よる9時~9時54分