『TOKYO MER』脚本・黒岩勉にインタビュー「こだわったのは“生中継感”」

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毎週日曜よる9時、TBSで放送中の鈴木亮平主演の日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』。最新の医療機器とオペ室を搭載した「走る手術室」で、危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、“一人も死者を出さない”ために奮闘する救命救急チーム“TOKYO MER”の活躍を描いてきた本作が、今夜9月12日(日)についに最終話を迎える。今回、脚本を務めた黒岩勉氏にインタビューし、本作に込めた思いや執筆で苦労した部分などを聞いた。

1話の脚本を作るのに2、3話分のカロリーを消費したような気がします

――今回の作品は、以前から構想をお持ちだったのでしょうか? 脚本を書かれることが決まったときのことを教えて下さい。

今回、「救命救急センターのドラマを一緒にやりませんか」とお誘いを受けたのがそもそものきっかけでした。ただ、病院が舞台の救急医の話は『ER緊急救命室』を筆頭に過去にいくつも作られているので、僕としては病院が舞台の話ではなく、事故や災害医療の危険な現場に出て行って活動する医療チームの話にしたいとご提案しました。どのように出動したらより効果的に医師が現場で活躍できるだろうと話し合いを進めるうちに、オペ室を搭載した特殊車両が浮かんできて今回のドラマの骨子が固まっていきました。

――喜多見は鈴木亮平さんにあて書きされていると伺いました。

すべてにおいて亮平さんをイメージしてあて書きしています。僕の勝手なイメージで恐縮ですが・・・。ただ声のトーンやセリフの言い方、表情やまなざしなど、喜多見幸太という人間を作り上げたのは間違いなく鈴木亮平さんです。結果、もはや亮平さんじゃなければ、喜多見チーフは成立しないキャラクターになっていると思います。素晴らしいリーダー像を作り上げていただき心から感謝しています。

――描き出すのが難しかったキャラクターなど居ますでしょうか?

特にいません。全員が自分の意思で行動してくれる個性的なキャラクターで描きやすかったです。ただ、音羽先生は二面性のある複雑な人間なので、台本だけでは解釈がいろいろあったように思います。それを賀来(賢人)さんが、静かなお芝居で丁寧にかみ砕いてくださって、とんでもなく魅力的なキャラクターにしてくれました。比奈先生(中条あやみ)や夏梅(菜々緒)さん、他の皆さんもそうですけど、役者さんの力に本当に助けていただきました。自分の想像を超えるお芝居を見ると感動します。上手な役者さんたちと仕事をするのは本当に楽しいなと感じていました。

日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』最終話より日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』最終話より

――執筆される中で特に意識したことはなんでしょうか? 

こだわったのは“生中継感”です。じっくり味わうドラマというより、実際の事件・事故現場の生中継を見ているような、常に転がるお話にしました。一つの現場で、次々と危機的状況が生まれて、それを瞬時の判断で乗り越えて、なんとか命をつないでいく。観始めたら死者ゼロが確認されるまで目が離せなくなる。そんなお話を意識して書きました。

――執筆される中で苦労した部分は?

普通の医療ドラマは、事情を抱えたゲスト患者がやってきて、それがメイン登場人物の誰かと心を交わして、成長する。というような人間ドラマの構築がメインとなるのですが、「TOKYO MER」は、まずどんな事件事故を起こすか、そこから登場人物たちをどうやって危機的状況に追い込んでいくのか、毎回のシチュエーションを考えるのが大変でした。もちろんただ危機的状況を作って闇雲に命を救っても物語にはならないので、そこに人間ドラマや、ちょっとした社会的メッセージも入れ込まなければなりません。なので1話の脚本を作るのに2、3話分のカロリーを消費したような気がします。

――第1話~第6話、第7話~最終話で雰囲気が変わりましたが、新章に入ってから意識して書かれた部分は?

たしかに7話からギアを切り替えるようなイメージで、話の雰囲気を変えました。それまで一話完結だったのが、物語の縦軸を回収していく構成に変化していった感じです。ただ「TOKYO MER」は、コロナ禍に頑張っている医療従事者の皆さんやそれを支える方々にエールを送るというのが最大のテーマとして掲げられていて、物語に登場する医療従事者やそれを支える人たちをすべて“ヒーロー”として描いていこうというコンセプトが当初から決まっていました。新章に入り、何かを変えようとしたというよりは、そのテーマやコンセプトが最後までズレないように気を付けました。

――最終回の台本を書き上げたときの気持ちを教えてください。

楽しかったです。コロナ禍の医療ドラマとして、伝えたいことはすべて詰め込めたので、安堵しています。

日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』最終話より日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』最終話より

――視聴者の方へのメッセージをお願いします。

ちょっとだけ真面目な話をしますと、コロナ禍が続いて、毎日発表される感染者数や死者数がまるで記号のようになっているように感じます。でも、一人の死者には家族や友人や大切に思ってくれていた人たちが大勢いて、それは数字や記号なんかじゃなくて、とてつもなく重いもののはずです。そして、そういう現実を医療従事者の方々は背負って今日も頑張ってくれているのだと思います。だからこそ「TOKYO MER」では『死者0』の有難さと『死者1』の重みをしっかりと表現したいなと思いました。

そのとてつもない重さを背負ってでも再び立ち上がって、新たな命を救おうとするヒーローのお話を描きたいなと考えました。押しつけがましいメッセージはエンタメの邪魔なので排除したつもりですが、最終回まで観てくれた方が、純粋にドラマを楽しんで、最後に何かを感じてくれたのなら、これ以上幸せなことはありません。

■番組概要

[タイトル]
日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54※最終話15分拡大

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