TBSで放送中の火曜ドラマ『プロミス・シンデレラ』。原作は累計発行部数が280万部を超えるなどSNSを中心に話題となっている、小学館の漫画アプリ「マンガワン」に連載中の同名人気漫画だ。
物語は夫から一方的に離婚を告げられ、無一文、無職、宿無しになった人生崖っぷちアラサーバツイチ女子・桂木早梅(二階堂ふみ)が、金持ちでイケメンだが性格のすこぶる悪い男子高校生・片岡壱成(眞栄田郷敦)に目を付けられ、金と人生を掛けた“リアル人生ゲーム”を繰り広げていくラブコメディ。早梅と壱成、岩田剛典演じる旅館の若旦那で壱成の兄・片岡成吾の三角関係も見どころだ。第7話からは壱成が旅館の茶房でアルバイトを始め、早梅と一緒にいる時間も増加し、三角関係もさらに加速している。今回は、「旅館 かたおか」と、早梅たちが暮らす「悦子の屋敷」のセットを紹介。美術のこだわりを美術デザイナーの一條学氏に聞いた。
旅館 かたおか

「旅館 かたおか」は、スタジオセットと2か所のロケ場所を借りて撮影している。「外観は伊豆修善寺にある新井旅館さんをお借りしています。老舗の風格があり、建物に高さがあって画的に建物と看板が一つの画に収まるという点がイメージにぴったりでした。ほかにもエントランスやメインロビー、池に面した回廊なども使用させていただいています」。

「副社長室や帳場、中庭、従業員玄関などは横浜にある三渓園さんをお借りしています。副社長室の家具は成吾の趣味が反映されている設定で、モダンな北欧系の家具を置いています」。

「茶房はセットです。老舗旅館というと和風の落ち着いた内装になりがちですが、外国の方や若者が泊まりに来ても喜んでもらえるような内装を意識しました。モダンな要素を取り入れたいと要望があったので、新しい建築部材を使用したり、和のテイストが入りつつも古く見えないデザインの家具などを選んでいます」。

「茶房に置かれた家具類は、副社長室のインテリアとテイストが似ていることもあり、成吾(岩田剛典)の趣味が反映されていると想定して選びました。茶房を任されているのは洸也(金子ノブアキ)さんで、茶道具や食器などの小物類は彼の趣味と想定しています」と裏の設定も教えてくれた。

悦子の屋敷

原作では悦子(三田佳子)の家は日本家屋だが、旅館が和なので悦子の家は大正モダンの洋館にしたいとの要望があったそう。「大正時代に建てられた和洋折衷建築を一部リノベーションしているという設定です。掛け軸を飾る和室が必要だったのですが、畳ではなく絨毯を敷いて和の要素を抑えて、ほかの場所に障子を入れるなどしてバランスをとっています」。

「外観や玄関まわりは建物をお借りしていて、セットの居間もテイストをある程度合わせています。クラシックな家具を置くと悦子さんの衣装やキャラクターに負けてしまうと思ったので、個性のあるものを使用しました。悦子さんのキャラクターは94歳のニューヨーカーとして有名なアイリス・アプフェルさんを参考にしているので、部屋も同様にしています。さらに和のテイストや中国っぽい模様、女性らしさを入れて悦子さんらしさもプラスしています」。

早梅の部屋は番組タイトルを考慮したいとの要望があり、屋根裏の物置部屋になったとのこと。「“シンデレラ”をイメージしているので現実離れしたアンティークの家具などを乱雑に置いています。実際に外観をお借りしている建物にも屋根裏があって、三角屋根で屋根の梁がむき出しになっている造りが面白いと思い取り入れました。壱成がグっとかがんで入って来たら画的に面白いかなと思い、天井の高さも計算して作っています」。

最後に全体的なセットのこだわりも教えてくれた。「今回の舞台は老舗旅館と古い洋館がメインなので、木は暗い色味のものを使用していますが、実は火曜ドラマ枠でいうと挑戦的な試みなんです。枠的にポップな色味のほうが見やすいので、明るい色味にすることが多いのですが、思い切って木の色を暗い色にしました。一歩間違えたらおどろおどろしくなるので、火曜ドラマ枠のイメージを壊さないように気をつけています。質感を大切に、家具も意識して選んでいます」。たくさんのこだわりが詰まった『プロミス・シンデレラ』のセット。ぜひ物語とともに注目を!
■番組概要
〔タイトル〕
火曜ドラマ『プロミス・シンデレラ』
〔放送日時〕
毎週火曜よる10時~10時57分