清野とおるの体験談を描いた同名漫画を原作とし、杉野遥亮が本人役で主演を務めるドラマ『東京怪奇酒』(テレビ東京)の第5話が3月19日に放送された。杉野が毎回さまざまなゲストから心霊話を聞き、心霊スポットに行って酒を飲むという「怪奇酒」。ここまで4回も体験している杉野はすでに頭の中が怪奇酒に支配されてしまっているように、常に隙あらばと次のチャンスを伺っている。
早速に好機が訪れたのは、ドラマ25の前作『直ちゃんは小学三年生』の撮影中、スタッフから雨天順延の知らせを受けたとき。若干血走った目は落ち着きなく宙を泳ぎ、つりあがった眉毛には静かな興奮が見える。すかさずどこかに電話する杉野。その様子を見ているのは、『直ちゃん』共演者の岡山天音だ。これまでも杉野から聞いていた怪奇酒の「混ざる」という感覚に興味を持っていた岡山だが、とうとうついて行ってしまうことに。
着いた先は、渋谷のヨシモト∞ホール。現れたのは、吉本芸人で怪談家の「ありがとうぁみ」だ。明け方に仕事が終わり、翌日もあったことから劇場でそのまま寝たという彼は、「角からのぞく女の顔」に遭遇する。そして翌日、地下1階の∞ホールのステージに上がると、客席にその女がいた。しかも、違和感があると思ったら、顔は前を向いているのに体が後ろ姿なのだという。
それだけで十分怖いのだが・・・しかし、今回はそこで話が終わらない。
女の霊がどこにいたのか座席で確認していると、「舞台上にめっちゃ生き霊いるなーと思ったら、俳優さんいたからですね」と、生き霊が視られる霊視芸人・シークエンスはやともが声をかけてきたのだ。
売れてる芸能人にはたいていいっぱい生き霊がついているそうで、杉野と岡山には「(杉野には)広く300人くらいで、(岡山には)がっつり12人くらい」だという。
ちなみに、彼は7階で低学年の男の子の霊に出会っている。舞台上を走り回っているところ、舞台監督が「うるせえな!」と注意すると、何も見えていない芸人たちは皆、キョトンとしたのだそうだ。
そこに、霊媒師・ユタを祖母に持つスマイルシーサー ヤースーも来て、消えた中学生の女の子の霊の話をする。
吉本には「心霊部署」があるのかと思うくらい、怪談・心霊系芸人が豊富だ。占いも混ぜて独立・子会社化しても良いくらいだ。しかし、思いがけず一気にいくつもの怖い話を収集できた杉野はもうニヤニヤが止まらない。
テンション高く肝試し感覚でついてくる岡山は、杉野に「怪奇酒は一人で飲んでこその怪奇酒だから!」と言われ、1人7階に置き去りにされてしまう。
カメラは初めて「怪奇酒」を体験する岡山の目線で進んでいくが、実際、それはほとんど普通の肝試しのようで、何も起こらない。「絶対何も混ざんないでしょ。恐怖と恐怖が混ざっても恐怖にしかなんないでしょ」「混ざんねーよ! 杉野~~!」
恐怖でキレている岡山が地下におりていくと、そこで見たのは「お笑い芸人さん好きなんですよね? 僕も!」と普通に喋っている杉野の姿だった。しかも、セーラー服を反対に着て頭に赤いバンダナのような布を巻いている。
ヤースーに言われた注意「(霊に遭遇したら)目を合わすな、キョロキョロするな、話しかけるな。そういうそぶりを見せたら『成仏したいから手伝ってー』ってなる」をフルコースでやっている杉野。もはや別世界の人間である。
ここまで杉野の熱弁を聞くうち、岡山と同じように「怪奇酒、ちょっといいかも」なんて思った視聴者も少なからずいたはずだ(自分もそう)。しかし、おそらく怪奇酒は誰もが楽しめる世界じゃない。そんな"素質"の違いをまざまざと見せつけられた回だった。
(文・田幸和歌子/イラスト・たけだあや)
【第6話(3月26日[金]放送)あらすじ】
普通の怪奇酒では満たされなくなった杉野は、さらに強い刺激を求め、事故物件サイトの管理人「大島てる」のもとへ。そこで紹介されたのは"事故物件の聖地"ともいえる全階いわくつきのアパートだった。今までとは桁違いの霊の気配を感じ興奮する杉野。1階は殺人、2階は自殺した犯人が住んでおり、3階は友人同士の喧嘩からその片方が殺されたという。憑りつかれたように足を進める杉野が屋上へ辿り着くと...とんでもない景色をみることに・・・。
◆放送情報
『東京怪奇酒』
毎週金曜深夜0:52からテレビ東京で放送開始※第6話は深夜1:07から放送
動画配信サービス「Paravi」では1週間前に先行配信。