「LGBTのライフスタイル支えたい」JobRainbow星社長

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「LGBTのライフスタイル支えたい」JobRainbow星社長
「LGBTのライフスタイル支えたい」JobRainbow星社長

「スタートアップ」が未来を創る――。番組がオフィスに足を運び、話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

ほぼ1000万人規模といわれる日本のLGBT。働き手として、消費者として、様々な業界にとって無視できない存在になっており、企業側の対応もようやく進み始めた。就職だけでなく金融や生活関連などの分野で、LGBT支援の事業も育ちつつある。JobRainbowは今後、国内外でどう事業展開していくのか。若きスタートアップが描く青写真を聞く。

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瀧口:お二人がされている(LGBTの)事業は、これまでやろうという方はあまりいなかったんでしょうか。

賢人:そうですね。海外だとアメリカのようにLGBTのビジネスが盛んなところはあるのですが、国内では正直まだまだこれからというところです。なぜかというと、やはり私が思うのは、そもそも(LGBTの)ビジネスをするイコールカミングアウトになるじゃないですか。

例えば国内の職場の中でカミングアウトできている人というのは、ある調査では4%しかいないと言われています。96%の人は職場内でカミングアウトできていない。そういう状況下で当事者が私のように前に出て話すというのはハードルが高いので、やりたくても差別を恐れて踏み込めない人が非常に多いのかなというのが、我々としては参入障壁としてある部分だと思っています。

瀧口:ご自身がその道を開かれたわけですが、怖いという気持ちはありませんでしたか?

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賢人:まさに起業した当時は、テレビや新聞などたくさんの取材を受けたんですが、最初の頃は自分自身が当事者であることは明示していませんでした。なぜかというと自分がカミングアウトすることで、仲の良いLGBTの友達も僕とつながっていることで(彼らの)カミングアウトにつながる恐れがあったんですね。

ただ世の中を変えていく側として、人間としてこうして生まれてきたので勇気を持って自分が先陣を切っていかないと、若者にとってのLGBTのロールモデルが全くない状況だったので、自分自身がそうなろうと覚悟を決めて、だんだんメディアにもカミングアウトしていくようになりました。

瀧口:海外でもJobRainbowさんのような事業をされている会社はまだ少ないのでしょうか?

賢人:我々が求人情報サイトを始めた当時は、世界的にも初めてのサービスでした。

真梨子:今は海外でも非常にニーズの高まりは感じています。

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奥平:そもそも問題解決や社会貢献の面で言うと、必ずしも株式会社という組織形態でなくても、例えばNPOなどでもできそうな事業だと思うのですが、そこをあえてスタートアップ、株式会社とされたのはなぜですか?

賢人:私自身も会社を始める前にNPOの立ち上げや参画の形でお手伝いをしていたこともあるんですが、現場を見ていて思ったのが、ほとんどのNPOが助成金をもらってそれをやりくりして事業を行ったり、いわゆる行政に頼る部分が多く、ビジネスとして拡大しないようなモデルがほとんどでした。

ですので、私としては当時グラミン銀行などのいわゆる海外のソーシャルビジネスの成功例を見た時に、やはりLGBTの課題をビジネスの側から仕組みとして変えていきたいと思いました。これはサステイナブルにやっていく上で、きちんとした事業収益を生み出しながら、我々がそれに見合う対価をサービスとして還元していく。そうしてビジネスを継続的に大きくできるところから株式会社という形で、スタートアップ的に急激な成長に伴ってそのインパクトで社会を変えていく。それを成し遂げたいと思ったのが、株式会社でやろうというところにつながっていきます。

瀧口:すごい覚悟ですね。世の中を変えるためには継続的にやらなければいけないという覚悟を決められたんですね。

賢人:そうですね。