重岡大毅(ジャニーズWEST)演じる俊平親子と、木村文乃演じる礼親子が「にじや」の2階で正式に共同生活を送るようになり、賑やかな日々が始まった『#家族募集します』(TBS)第4話。と思いきや、平穏な日々だけでは済まされないのがドラマのお約束。俊平の職場の同僚(丸山礼、小松和重)の冗談通り、訳ありシングルファーザー・黒崎(橋本じゅん)と、8歳の娘いつき(板垣樹)という「新メンバーの登場」で、「しっちゃかめっちゃか」とまではいかないが、親子を受け入れるか否かを巡ってメンバー間に亀裂が生じ、「にじや」に暗雲が立ち込める。いろんな感情を抱え込んで「しばらく一人にさせて」と屋上に行く礼に対し、"トリプルレッド"俊平は、皆の静止も聞かず、敢えて声を掛けに行く・・・という展開だった。
まず、注目すべきは、新登場の、橋本じゅん演じる黒崎徹である。『MIU404』(TBS)での熱血刑事役や、『恋はDeepに』(日本テレビ)、『漂着者』(テレビ朝日)でのヒロインを優しく見守るポジションとは打って変わって、立っているだけで威圧的。それぞれの家族の生活色が加わった各部屋の様子だけでなく、蒼介(仲野太賀)による店のリフォームも相まって、余計色鮮やかになってきた「にじや」に加わるには、どうにもアンバランスな黒スーツ。
さらには「所詮能天気な学生が考えそうな理想」と「#家族募集します」のコンセプトを批判する。決して「にじや」の色に染まりそうにない彼が、この先どう俊平たちと関わっていくのか。思春期ゆえの屈託だけでない事情を抱えていそうないつきの表情含めて、放っておけないのは確かである。俊平は、黒崎の心を溶かすことができるのか。黒崎親子が抱えている「込み入った事情」とは何なのかは、来週を待つしかなさそうだ。
そして、なにより今回のキーパーソンは、木村文乃演じる礼だ。空き部屋がないため、黒崎親子の入居を一旦は断った蒼介たち。矢面に立つ覚悟で毅然として断った礼と、そうは言いつつ、いつきの寂しそうな表情が忘れられず気になってモヤモヤする俊平、蒼介、めいく(岸井ゆきの)との間に小さな亀裂が生じてしまう。礼も内心は他のメンバーと同じくいつきのことを心配していたが、俊平たちの言葉一つ一つに、「私、間違ってました?」と反発せずにはいられなかったからだ。
礼は、感情が溢れだしそうになるたび、自室に籠もる。第2話で言っていた「アンガーマネジメント」の「1、2、3・・・」を数えだす。そこがとても可愛らしい。
生きていくことは選択の連続だ。常に「正しい道」が目の前に用意されているわけではなく、その都度自分にとって最適だと思う道を選び取っていかなければならない。礼もまた、それが正しい道だと思って、「この人とは私の理想の家族にはなれない」と感じた夫(橋本淳)と離れて暮らすことを決意した。だけど、それが本当に正しかったのか、自問自答を繰り返している。「いつかオセロで角を取られるみたいに、全部が間違っていたってひっくり返る」時を恐れている。そんな「ブレてばかりの自分」を気取られないように、毅然として生きてきた彼女が、俊平に初めてそのことを吐露した。それに対して俊平はその「面倒くささ」を認めた上で「それは皆同じであって、シェアしていこう」と答える。そのあまりに明快な答えは、礼だけでなく、視聴者の心も軽くしてくれるのだった。
そして、屋上の看板の電飾がカチカチッと音を立てて、俊平と礼の間にそこはかとなく恋の予感も漂いつつある一方で、俊平は、荷造り中の、亡き妻・みどり(山本美月)との思い出の詰まった部屋で、スケッチブックに遺された彼女の思いと共にいる。彼女の「新しい宿題」とは何だろう。次回を待とう。
(文・藤原奈緒/イラスト・まつもとりえこ)
【第5話(8月27日[金]放送)あらすじ】
「この家の家族にしてください!」と、突然一人で「にじや」にやってきた黒崎(橋本じゅん)の娘・いつき(板垣樹)。家出には何か理由があるはず・・・と察した俊平(重岡大毅)は、一晩だけいつきを預かりたいと、黒崎に直談判をすることに!すると黒崎親子が抱えた複雑な事情が見えてきて・・・?
一方、蒼介(仲野太賀)は、「にじや」を盛り上げるため、礼(木村文乃)とめいく(岸井ゆきの)ら総動員で、「にじやフェス」なる1日限りのお祭りを開催する計画を立てていた。それを聞いた俊平は、黒崎親子の仲を取り持つための、ある秘策を思いつく!
◆番組情報
『#家族募集します』
毎週金曜22:00からTBS系で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信。