“ハイブリッド”や“水素で動く車両”など 様々な進化を遂げる架線が必要ない鉄道【2024/5/26 所さんの目がテン!】

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“ハイブリッド”や“水素で動く車両”など 様々な進化を遂げる架線が必要ない鉄道【2024/5/26 所さんの目がテン!】
“ハイブリッド”や“水素で動く車両”など 様々な進化を遂げる架線が必要ない鉄道【2024/5/26 所さんの目がテン!】

5月26日(日)放送の日本テレビ「所さんの目がテン!」は、自力で走ることができる、架線が必要のない鉄道についての科学・後編です。

「リゾートしらかみ」の旅を堪能

都市を走る列車はそのほとんどが、パンタグラフを利用して電線から電気を供給して走る電車です。しかし、架線を引かない区間を走る列車も数多く存在します。

架線がない鉄道の魅力の一つは絶景。前編では三陸鉄道を訪れ、軽油を燃料とし、ディーゼルエンジンで動く車両の仕組みを紹介しました。

ディーゼルエンジンのみならず、時代の経過とともに他にもさまざまな仕組みで動く車両が登場しています。後編ではそれらの車両を紹介。前編に続き日本テレビの藤田大介アナウンサーがリポート。

まず訪れたのは秋田駅。案内してくれるのは、東日本旅客鉄道 秋田総合車両センター 松川朋樹さん。今回乗車するのは通称「リゾートしらかみ」橅(ブナ)編成。この車両はハイブリッド方式を採用しています。

「リゾートしらかみ」は秋田駅〜青森駅間を走行する臨時快速列車。秋田県の東能代駅から青森県の川部駅までのJR五能線の区間を経由しながら走ります。東能代駅から五能線の線区に入線すると、架線がない非電化区間に入っていきます。

「リゾートしらかみ」の1号車・4号車には展望スペースがあり、架線がなく遠くまで見渡せる景色もゆっくり楽しむことができます。途中駅のあきた白神駅では、満開のさくらを見ることができました。

車内の内装には橅、秋田産の杉、青森ビバなど沿線の木材が使われており、開放的な窓と相まって大自然と一体となったような気分を味わえます。

次に向かうのは深浦駅。ここでは6分間駅に停車。藤田アナはホームへと出ていきます。インターネットで事前予約をしておくと地元の飲食店が駅のホームまでお弁当を届けてくれるのです。

藤田アナはお弁当屋さんから作りたてのお弁当を受け取り、列車は深浦駅を出発。車内で、絶景を見ながらお弁当をいただきました。

この先列車は海岸線を沿うように走っていきます。藤田アナのおすすめが驫木駅。ホームのすぐ目の前に海が広がっている絶景スポットです。

こちらは各駅停車のみが止まる駅で、先ほどの深浦駅で一般車両に乗り替えが必要。こちらでは開放的な空と海が堪能できます。自然と一体となって走る姿が五能線の魅力です。

ハイブリッド車両の仕組みとは

そんな「リゾートしらかみ」橅編成の動力はディーゼルハイブリッドシステムというもの。一体どんな仕組みで動いているのでしょうか?早稲田大学 先進理工学部で鉄道システムを研究している近藤圭一郎教授に聞きました。

近藤先生は「ディーゼルエンジンで発電をし、蓄電池を備えているのが一番の特徴です」と解説。気動車はエンジンで燃焼させたエネルギーを回転力に変えて走行しますが、この車両はディーゼルエンジンを発電機として使って電気を作り出します。作り出した電気でモーターを回転させて走らせているのです。

「例えばディーゼルエンジンは100馬力の時よりも、中間のパワーの方が燃料を効率よく出力に変えられる。エンジンを一番効率のいい(中間の)ところでずっと動かしておいて、フルパワーがいる時は電池から足してやる。そこまでパワーがいらない時は余分なパワーがエンジンから出てきますから、それを使って発電して電池にエネルギーをためておく。そういう使い方をすることで燃費を良くする」と近藤先生。

ハイブリッド車両には蓄電池が備わっており、エンジンのエネルギーが余った時は充電し、逆に不足した時には蓄電池から足りない分を供給できるので無駄がありません。また、モーターを備えているため、減速時にはブレーキエネルギーを電気に変換して蓄電池に充電することができ、さらにエネルギー効率が良くなっているのです。

「バッテリーが十分に充電されている限りは、エンジンがストップしたまま走行することができるため、これまでのディーゼル気動車のように常にエンジンが回転している車両に比べると静かに走行することができます」(松川さん)と、走行中のエンジン音も静かになります。

「リゾートしらかみ」では、そんな静かな車内を活用し、鰺ヶ沢駅から五所川原駅の間で津軽三味線の生演奏が楽しめる列車もあります。

スタジオではその他にも「TRAIN SUITE四季島」も紹介。全国のさまざまな長距離区間を旅できるクルーズトレインで、異なる路線を跨いで走行するためのシステムを搭載。架線がある区間ではパンタグラフを使い電車として走り、架線がない区間はパンタグラフを下ろし、電気を供給せずにディーゼルエンジンで走ることもできます。

2030年度の実用化を目指す水素で動く車両

将来的には新たな動力源で走る車両も。神奈川県にある鎌倉車両センター中原支所で東日本旅客鉄道 イノベーション戦略本部 大道修さんが紹介してくれたのは、水素で走る水素ハイブリッド電車 「HYBARI」です。

一見普通の車両と変わらないように見えますが、パンタグラフもエンジンもついていません。一体どのような仕組みなのでしょうか?

車両の上には、水素を貯蔵する箱が4つついています。中に合計20本の水素タンクが入っており、気圧の約700倍に圧縮した状態の水素を詰め込むことができます。

車両の上にある水素は配管を通って車両の下へ送られ、車両の下に配置されている燃料電池に送られます。燃料電池の中に水素と空気中の酸素を取り込むと、水素が電気の元である電子を放出。この電子が導線を通ることで電気が流れるという仕組み。水素と酸素が化学反応することで電気を生み出す仕組みになっています。この時に車両の外に出てくるのは、水素と酸素が結びついてできる水だけです。

実際にシステムを起動してみると、空気が吸い込まれていき、下から水滴が落ちてきました。発生するのは水蒸気。「HYBARI」は、CO2を出さず水だけを発生させる列車。脱炭素社会に向けたクリーンなエネルギーで動く次世代型車両なのです。

では、水素を一回容器に詰めるとどのくらいの距離が走れるのでしょうか?大道さん曰く「まだ試験車両ですので、大体一回充填をすると140kmくらい」とのこと。一回で約140kmの距離を走行することができ、最高速度は時速100kmに達します。2030年度の営業運転実用化を目指しているそうです。

今回、運転台も覗かせていただいた藤田アナ。大自然の山並みと飛び交うヒバリをイメージされたシートデザインにも感動。今後の実用化が期待されます。