80億円盗む完全犯罪!?銀行から強奪成功後…犯人が次々襲われる衝撃の結末とは

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80億円盗む完全犯罪!?銀行から強奪成功後…犯人が次々襲われる衝撃の結末とは
80億円盗む完全犯罪!?銀行から強奪成功後…犯人が次々襲われる衝撃の結末とは

2005年、ブラジル・フォルタレザ。厳重な監視体制の銀行の金庫から現金80億円だけが消えた。それは、ある男たちによる恐ろしいほど綿密な計画による犯行だった。

2004年、2人の男がブラジル中央銀行フォルタレザ支店から大金を奪う計画を立て始めた。男の名前はアントニオとモイゼス。

モイゼスは鉱山で採掘作業をしている男に連絡をとっていた。その男は穴掘りのスペシャリスト。モイゼスはトンネル設計の資格を持つ男を誘い、一方アントニオは地元のギャング、フェルナンドという人物に相談を持ちかけ、80万レアル(約4000万円※当時のレートで換算)を20倍にして返すことを条件に借りた。

アントニオとモイゼスはこうして計画のための資金を手に入れると、銀行の近くに家を借りた。さらにアントニオは警備会社で現金輸送の仕事をしている男2人を金で買収、銀行の金庫室の見取り図を書いてほしいと依頼。

1週間後、金庫室の写真と見取り図が完成。そこには監視カメラが5台あり、動作感知のセンサーもあった。一方、土日には金曜の閉店後金庫は電子施錠され、月曜の朝までは誰も入ってこないという。

ある日、穴掘りのスペシャリストと資金を出したフェルナンドが借家に集まった。そして大金を強奪する計画が明かされた。それは借家から銀行までトンネルを掘って金を奪うというもの。この計画を思いついたモイゼスにはそれを成功させた過去があった。2001年、カランジル刑務所に服役していたモイゼスは脱走用の穴を掘り、100人以上の囚人を脱獄させていたのだ。

しかし設計士は、この土地の土は海が近く、砂を多く含んでいて崩れやすいため、最低でも4mの深さは必要だと言う。それに水道・下水・電気・電話回線、地下に埋まっているいろんな配線を傷つけたら、すぐに計画がバレるため慎重を要し、最低でも半年はかかると主張。しかしフェルナンドは3か月で終わらせることを要求。2005年5月、計画は始まった。

最初に始めたのは、この借家に芝生用の土を販売する会社の看板を掲げることだった。さらにこの会社が本物であるとアピールするために、街頭でプロモーション用の野球帽を配布。

作業も、まず借家の床を剥がすところから始まった。ここから銀行までのトンネルを掘っていく。音を軽減するために道具に特殊なコーティングをし、周囲に気づかれないよう、細心の注意を払っていた。

コンクリートをドリルで壊し、まず縦に堀り進めた。その後、金庫室までの80mを横へと掘り進める。トンネル設計のプロが測量器で正確な方向を見極めた。

穴掘り作業は午前、午後、夜、深夜の4班体制で昼夜を通して24時間続けられた。赤道に程近いこの街は高温で、トンネル内は酸素も薄くなるため、エアコンを改良し、強力な扇風機で冷たい空気を送った。

そして地上との連絡が取れるインターフォンまでつないだ。掘り進めると出る大量の土は、ロープにくくりつけた入れ物に乗せて一気に移動させる。

掘り出された土はひとまずガレージへと移動させトラックで運び出していたが、犯人たちは芝生用の土を販売する会社の看板を掲げていたため、怪しまれることなく大量の土を運び出せていた。

掘り始めて1か月、トンネルの長さは30mに達した。

アントニオは銀行に勤める警備係も金で買収していたため、金庫の精密な設計図を手にしていた。そのため金庫室の地下のコンクリートの厚さが1.5mで、一部スチールで補強されているが、問題なく破れるであろうことがわかった。買収された警備係はその後も銀行警備を続けていた。

掘り始めて2か月、トンネルの長さは60mになっていた。そして最後の難所に到達。中央銀行の手前を走る4車線の幹線道路の下にさしかかったのだ。

崩落の可能性があるため、トンネル設計士のアドバイスで、天井や壁を補強しながら掘り進める。

現金強奪の決行日は8月5日に決まった。銀行に勤める警備係からの情報で、この週末に限って足のつかない大量の古い紙幣が中央銀行に移される予定だという。その額は1億6000万レアル(約80億円)。当時、ブラジルの平均年収は約65万円。盗もうとした額はその約1万2000倍だった。

掘り始めて3か月、ついにトンネルは中央銀行の真下にまで達した。トンネルは80m真っ直ぐに伸びていた。なにもかも順調に思えた現金強奪作戦。しかし彼らは、この後、とんでもない事態に陥る。

運命の8月5日、中央銀行はいつも通り閉店、午後6時に金庫室は閉鎖された。それと同時にモイゼスたちは金庫室に向かって縦穴を掘り始めた。地上に近づくと、コーティングされた機械で音を出さないように、何枚もの刃を使ってスチールで補強された厚さ1.5mのコンクリートを砕いていった。6時間後、遂にトンネルは金庫室の手前に。

この夜の当直は買収した警備係。男は動作感知センサーのスイッチを切った。だが、監視カメラのスイッチは切れない。

しかしそれも計算済み。午前0時、金庫室の床に穴があいた。この時穴は監視カメラに映っていなかった。カメラから穴が隠れるように、警備係が木製の荷物台を立てかけておいたのだ。これにより侵入する姿をとらえられる事なく穴から出た。

事前に金庫室の見取り図で監視カメラの位置を確認。姿が映らないように慎重に移動。そして目標の古い紙幣が入れられたケージの方へと移動する。このスペースもカメラからは死角となっていた。こうして目標の80億円の前へ到着。次々と古い紙幣を袋に詰め、リレーで運び穴に落とした。

そしてトンネルの中で80mを一気に横移動させ、最後はバケツを使い引き上げた。1つの袋を銀行の金庫室から80m離れた借家に数分で運んだ。

こうして1億6000万レアル、重さにして3.5トンもの紙幣を誰にも気づかれることなく、11時間をかけてすべて金庫から運び出したのだ。そして札束の入った袋を車に積み、指紋などが採取されにくいように部屋中に石灰を撒いてアジトを後にした。

この犯行に関わったのは全部で36人。1人の命も奪うことなくブラジル犯罪史上最大の金庫破りを遂行した。しかし彼らはこの後大失敗をする。

月曜の朝にようやく事件は発覚。警察はすぐにトンネルからアジトを発見したが、もぬけの殻。事件から2日後、警察は犯人が使用したと思われる車を発見。車内には50レアル札が散らばっており、5000レアル(約25万円)が入ったバッグも見つかった。

犯人グループはすでにブラジル各地へ逃亡。警察は犯人への糸口をつかめないでいた。だが、この完全と思われた犯行は、思わぬ展開を迎える。

穴掘りに加わった男たちの取り分はリーダーがまとめて受け取っていたが、そのリーダーと連絡がとれなくなっていたのだ。しびれをきらした穴掘りの男は、酔った勢いで警察に通報。犯人たちが輸送される中古車の中に金を隠していると暴露した。

警察はすぐに中古車を輸送する車両の検問を始めた。そして事件発覚から2日、銀行のあるフォルタレザから遠く離れた街で、中古車輸送車両を調べたところ、通報通り、車の内部に札束が隠されていた。500万レアル(2億4500万円)が発見された。

逮捕されたのは運送会社を経営する人物。この男も犯人に金で雇われていた。この男が捕まったことで事件に関わった人物たちが明らかになっていく。

まずは資金を出したフェルナンドは、街中で何者かに誘拐された。誘拐犯の中には警察がおり、金目当ての警察官が身元のわかった犯人たちを誘拐して金を横取りしようとしたのだ。フェルナンドの妻は身代金約1000万円を支払ったが、フェルナンドは結局殺害された。

さらに強盗団に協力し約2500万円を受け取った警備係は、妻と息子2人を誘拐された。身代金を払い家族は無事解放されたが、この誘拐犯の中に警備係の甥が加担していたことが判明。やはり、金を横取りしようとしたのだ。

事件のリーダー格であったアントニオも弟が誘拐された。弟は兄のアントニオと接触していないとされ、解放されたが12日間にも及ぶひどい拷問を受け、解放されたときには話すこともできないほどだったという。

金を手にしたものの、犯人たちの逃亡生活は常に危険と隣あわせ。そのため、リーダー格のアントニオとモイゼスは警察の懸命の捜査によって逮捕された時には、まったく抵抗することなくあっさりと犯行を認めた。

結局、犯行グループ36人のうち26人が逮捕されたが、誘拐事件が6件も発生し4人が殺害された。逮捕された男たちは最長49年の禁固刑となり、盗まれた80億円のうち25億円が回収された段階で捜査は打ち切られた。

犯行に使われたトンネルは、その上を車の行き来が激しい道路が通っており危険なため、全てコンクリートで封鎖された。