180年継ぎ足し続けた『宝のダシ』コロナ禍で断絶の危機…道頓堀のおでん屋さんを救った常連客の行動とは

公開: 更新: カンテレTIMES
180年継ぎ足し続けた『宝のダシ』コロナ禍で断絶の危機…道頓堀のおでん屋さんを救った常連客の行動とは

127日午後、カンテレ『ウラマヨ!』で、大阪にある創業1844年のおでん屋さん「たこ梅」を特集。180年もの間継ぎ足してきたダシが途絶えかける大ピンチが訪れるも、無事に未来へとつながった裏側が明かされました。

 今回の番組は「冬グルメフェス~湯気の向こうの裏話~」と題し、全国で150店舗以上を展開する名古屋発祥の鍋料理専門店『赤から』の“うま辛鍋”開発秘話や、豚まん激戦区・神戸で行列必至“老舗BIG3”の意外と知られていない秘密などを大公開しました。

 その中で登場したのが、“日本最古のおでん屋さん”と言われる『たこ梅 本店』。道頓堀の繁華街で180年営業を続けています。コの字型のカウンターを挟む接客スタイルで、客の求めに応じて店主が四方八方に手を伸ばす様子が「たこのようだ」と表現されたことから、屋号に「たこ」がついたそうです。

 他ではなかなか味わえないくじらのメニューが名物で、そのほか定番の厚揚げやこんにゃく、箸で崩れるほどほろほろに炊いた聖護院大根など30種類。遠くは東北地方から通う常連客もいるというこの店、最大の特徴はダシです。

 現在、店の歴史を守る店長・和田訓行さんは「うちの場合はカツオだけでひいた白いダシと、くじらでとったダシです」と伝統の2種類を紹介した上で、「ただダシをとって具材を入れかえて煮込むだけではダメで、お客様がご来店されて食べていただくことで具材が回転してダシをつないでいってもらえます。逆に食べていただけないと、うちのダシは生きられないんですね。ずっとそうして180年継ぎ足されたダシを今ここでお客様に提供しています。うちとしてはこのダシは宝です」と胸を張っていました。

 戦時中も「空襲の際は持って逃げた」という“宝のダシ”。実はこれが202047日に出された新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言によって、一度途絶えかけていたというのです。

「食べてもらう、もらわない以前に、店の営業ができなかったんですよね。まぁ今後の人生でもあるかないかぐらいのプレッシャーやったですよ。その時は本当にピンチでしたね」と振り返った和田さん。営業ができないとおでんを食べてもらうことができず、創業以来つないできたダシが未来へつながらなくなってしまいます。

 もしかしたら、自分の代で180年の歴史が途切れるかもしれないという大ピンチ。そんなたこ梅を救ったのは多くの常連客たちでした。

「買いましたね。店の売り上げがないから、そういうのでちょっとでも売り上げを…と思って()」多い時で週3回ほど通っているという常連客がそう語ったのが“通販のおでん”。

 和田さんいわく「通販は大々的にはやってなかったんですけど、一気に動き出して。そのおかげで通販の商品を作るのに食材を炊きますし、ダシもとらなあかんちゅうので、店の営業と変わらんくらい食材が回ったんです」とのこと。お客さんとのつながりを大事にする営業スタイルだったからこそ、180年の伝統を持つダシを未来へとつなぐことができたのです。

「今までご来店いただいたお客様とか、そういった方々の支えっていうんですかね、やっぱりそういうのはすごく感じました。改めて僕らもやっぱり感謝ですよね」コロナ禍という未曽有の事態をお客さんと共に乗り越えた和田さん。たこ梅の歴史はこれからも続いていきます。


(関西テレビ127日(土)午後1時放送『ウラマヨ!』より)