宮﨑あおい「自分自身がきっと一番つらい」“憎しみ続けること”への持論

フジテレビュー!!
宮﨑あおい「自分自身がきっと一番つらい」“憎しみ続けること”への持論

宮﨑あおいさんが、先週に続き、ゲーム芸人・フジタさんの人生を読みます。

宮﨑さんは、10月30日(日)14時~放送『ザ・ノンフィクション「あの日 僕を捨てた父は~孤独な芸人の悲しき人生~後編」』(フジテレビ/関東ローカル)のナレーションを担当します。

【前編】宮﨑あおい「すごいものを見てしまった」小2で父に捨てられた男性の壮絶人生

そのゲームテクニックでファンを魅了するゲーム芸人・フジタさん。幼少期に母と死別、その後、小学2年生でふたり暮らしをしていた父に捨てられ、悲しみを紛らわすためゲームに没頭し生きてきました。

そんな父を恨み続けていましたが、昨年、父から呼び出され会ってみると、父は認知症を患っていました。日常生活に支障をきたすなか、離れて暮らす内縁の女性との関係も暗い影を落とし…。

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アパートの1室で大量のゲームソフトに囲まれて暮らすゲーム芸人のフジタさん(45)。華麗なゲームの手腕でファンを魅了する彼には、悲しすぎるほどの孤独のなかで生きてきた過去があります。

『ザ・ノンフィクション「あの日 僕を捨てた父は ~孤独な芸人の悲しき人生~後編」』で登場するフジタさん フジタさん

小学校入学直前に母親が急死し、父とふたりで暮らすことに。ところが、父はフジタさんを残したまま、家に帰ってこなくなりました。フジタさんのクラスメートの母と恋仲になったのです。

父が家を出ていってから約35年。恨み続けた父と女性は、今も内縁関係にありました。

「なぜ、自分を捨てたのか?」

長年の怒りをぶつけたいフジタさんでしたが、様子のおかしい父を病院へ連れていくと「認知症」が判明。病気が生活に影を落とし始めます。

お金の管理ができなくなり、カードローンのキャッシングで借金は膨らみ、買い物へ行けば購入したものを店員に「盗まれた」と主張。ところが実際は、父が買い物した事実はなく…。

支給された年金はすぐに底をついてしまい、挙句の果てに「息子が年金を盗んでいる」と思い込んでしまう。

しかし、どんなに生活に困っても、内縁の妻に渡す「月末の3万円」だけは忘れない。フジタさんに金を借りてまで、女性に会いに行こうとするのです。ずっと憎んできたふたりのために、金を渡すことになるとは…フジタさんの心は大きく揺れ動きます。

ひたすら父を憎み、孤独を生きてきたフジタさん。父を問いただすつもりが、病気の判明により、またしても父に振り回される日々。「せめて記憶があるうちに…」父と息子は、数十年ぶりの旅に出ることに。

『ザ・ノンフィクション「あの日 僕を捨てた父は ~孤独な芸人の悲しき人生~後編」』で登場するフジタさんとお父さん フジタさんとお父さん

フジテレビュー!!では、ナレーション収録を終えた宮﨑さんにインタビュー。前後編にわたり、フジタさんと父の息詰まるようなやりとりを見守った宮﨑さんに、その関係性についての印象などを聞きました。

※インタビューは、前編の再掲載となります。

「本当にリアルに勝るものはない」

<宮﨑あおい インタビュー>

『ザ・ノンフィクション』でナレーションを担当した宮﨑あおい

――ナレーション収録を終えていかがですか?

本当にリアルに勝るものはないな、と思いました。毎週『ザ・ノンフィクション』を見ていますし、ナレーションを担当させていただくこともありますが、改めて、人の人生って…(長く考えて)、家族ってどういうことなんだろうと考えさせられました。

認知症という病気のこと、それを患ったお父さんがいろいろなことを忘れていってしまうという葛藤、息子のフジタさんが聞くと、「自分でお金の管理はしたい」と意思を示したときの表情を見て、すごいものを見てしまったなっていう感じがしています。

――フジタさんにはどんな印象を持ちましたか?

本当にとてもやさしい方だと思いました。大変な過去を背負いながらも、お父さんにあれだけ寄り添って、支えてあげている姿を見て、すごい方だな、と。

なぜ、あそこまでの気持ちになれるんだろうって、思うくらいです。

お父さんとの会話がイタチごっこになって、フジタさんが壁を殴る場面があるのですが、一歩間違えば、あれ(暴力)がお父さんに向いてしまうことだってあるかもしれません。

それでも、感情をお父さんにぶつけなかったのは、やさしいし、強い人なんだなと思いました。

ただ、あのやりとりのなかで、同じ言葉を繰り返していても、だんだんと言い方が変わっていくのには、「ああ、人ってこうなるものなんだ」って。

お芝居でしようと思っても想像が追いつかない…リアルってこういうことなんだと思いました。

――一方、お父さんが涙を流す場面もありました。

お父さんもつらいんだろうと思いました。認知症になるとはどういうことか、わからなくなっていくことを徐々に自覚させられるのは、とてもつらいことだと思いますし、やはり、フジタさんに対して大きな負い目もあるんだろうな、とも思いました。

ですが、ナレーションにもあったように、“返ってこない時間”というのもあるので、それをこれからどう埋めていくのか、フジタさんがそれをどう受け止めていくのかが気になります。

――ご自身のなかには今、どんな思いがありますか?

…憎しみ続けるってつらいですよね。自分自身がきっと一番つらいから。

フジタさんがずっとお父さんを恨んでいたとしても、その恨みや憎しみからいいものは生まれないですし、フジタさんはそこに気づいて、先に行けた人。

でも、世の中には、憎しみの中にいる人がたくさんいて、そして、その憎しみは、自分の力ではどうしようもできないことがほとんどだと思うんです。相手がいることですから。

今回みたいに、そういったときに、そばに冷静さや客観性を持った人がいてくれるのは本当に大事なことなんだと思いました。

――改めて、視聴者のみなさんへのメッセージをお願いいたします。

私も毎週、番組を見ていますが、また、すごい作品がやってきます。

(昨年9月、自身がナレーションを担当した)マエダさんの回(『人生の終わりの過ごし方~「ダメ人間マエダ」の終活~』)もすごかったですけど、今回は、また違う、人生の面白さ、人間臭さのようなものが見られます。

ちょっと見逃しちゃいけない回ですよ、とお伝えしたいです。

<ナレーションの一部を先行紹介>