山田裕貴が『志村けんとドリフの大爆笑物語』への思いを語った。
志村けんさんの半生を描いたドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(12月27日放送/フジテレビ)は、山田裕貴が志村けんさん役を演じ、脚本・演出を、福田雄一が手がける。
また、いかりや長介さん役を遠藤憲一、加藤茶役を勝地涼、高木ブー役を加治将樹、仲本工事役を松本岳、荒井注さん役を金田明夫、志村けんさんの父・憲司(けんじ)さん役に渡辺いっけい、志村さんの母・和子(かずこ)さん役に宮崎美子、また、ムロツヨシもある役で出演することが発表されている。
<『志村けんとドリフの大爆笑物語』のフジテレビュー!!関連記事>
このたび、志村けんさん役を演じる山田が本作に対するコメントを寄せた。

『志村けんとドリフの大爆笑物語』は、12月27日(月)21時より、フジテレビで放送される。
<山田裕貴 コメント>
——今回の話が来たときはどう思いましたか?
「本当に僕ですか?僕で大丈夫ですか?」と、信じられませんでした。
俳優人生で、志村けんさんを演じるなんてことを考えたこともなかったです。このようなドラマは何回も放送されるものではないですし、楽しみよりもプレッシャーの方が大きかったです。
——役を演じる上で気をつけた、意識した点は?
気をつけたことといえば、数えきれないほどあります。まず、どれだけみなさんの頭の中、心の中にある志村けんさんに近づけるのかということをずっと考えながら演じました。
それはしゃべり方や、コントのときのテンポや間など、本当にいろいろなことに気を配りました。
放送当日、本当にザ・ドリフターズがよみがえったのではないかと思ってもらえるようなドラマになればいいなと思います。そして、このコロナ禍でつらい思いを抱えている人たちが、放送を見ることで思いっきり笑って吹き飛ばせるような、そんなドラマになればいいなと思いながら、いろんな思いで“志村けんさんを生きること”に気をつけました。
——志村さんと山田さんご自身に共通点はありますか?
「人に笑ってもらいたい」と思う気持ちは一緒かもしれません。僕もすごくお笑いが大好きだし、小さいころから周りのみんなが笑ってくれていると安心する性格でした。
「あ、僕、ここにいていいんだ」とほっとして。実は、コントシーンの撮影の日が誕生日だったんです。すごくうれしくて。それも、志村さんからのプレゼントだなと思って演じました。
——実際に演じてみて、いかがでしたか?
「山田君、顔怖いよ」と、初日に福田監督に言われて。たぶん、すごいプレッシャーや、責任感を感じていたのだと思います。
でも、ドラマの中でもそういうシーンがあって。志村さんも、そのときは一生懸命で、面白いものを作らないと、という感覚でその場にいらしたのかなと思いました。
実際には、初日、『ドリフ大爆笑』のオープニングシーンで、1カット目を撮ったらふっと力が抜けて、あの歌とセットにスッと入って行くことができました。
本当におこがましいかもしれませんが、途中から「あ、わかる、志村さんの考えていたこと」と思い始めてきて。
今回、この役をやらせていただいて、本当によかったです。心残りだったのは、本当に志村さんに似てきたのか、撮影現場でずっと一人で考えていたので、スタッフさんとか監督とあまりコミュニケーションがとれなかったことです。
普段はおしゃべりな方なので、もうちょっと会話したかったなあと撮影が終わった今、感じています。でも、やっぱり志村さんを全うするには、それは必要なことだったと思います。
肥後克広が残したメッセージに…
——山田さんが思う、志村けんさんとは?
ダチョウ倶楽部の肥後克広さんが出演している、あるコントのシーンのときに、僕がずっとカメラの後ろをウロウロしていたのですが…どういう表情や動き、どんなテンポにしようか、目をバッキバキにしながら。
それを見た肥後さんがスタッフさんに「志村さんも(山田さんみたいに)ああやって、カメラの後ろをウロウロしていたから、安心していいんじゃないかな」とメッセージを残してくださったんです。それを聞いて少し安心しました。
僕自身、日に日に撮影をするにつれて、家に帰ってからお酒もよく飲むようになりました。「こうやってお酒を飲みながら志村さんもお笑いのことを考えていたのかな?」とか思えてきて、少しでも志村さんに近づけたんじゃないかと思います。
そしてものすごくストイックに、コントに向けて、奥の深いお笑いのために、人のためにやっていたからすごく悩んだこともあるでしょうし、苦しんだこともあったと思います。
僕らの仕事もそうですけれど、多くの人を笑わせるって、すごい闘いじゃないですか。僕も志村さんを演じて、ずっと闘い続けようと、人のためにやろうと思いました。人の心を突き動かすために志村さんみたいに頑張れたらいいなと思いました。
——勝地(涼)さんとの現場でのコントシーンの練習が印象的でした。
勝地さんは完璧に研究していて、でも一緒に合わせながら引っ張ってくださいました。一緒に練習していく中で、ほろっとかけてくれる一言が、俳優として、人としてすごくやさしくて。
コントも、勝地さんと何度も合わせて、どうやったら、僕たちらしさと面白さをこのプレッシャーの中で楽しんでできるか模索して作り上げていきました。
現場では、合間に勝地さんがぼそっとセリフを言いはじめて、僕もそれに続けて言うと、自然とコントの練習になっていって。ごく自然にパスを出してくれていたように見せて、でも実は、考えてやってくださっているのを感じました。本当に勝地さんには助けられました。
——コントシーンはいかがでしたか?
コントとアドリブを台本でおこしてそれを覚えて自然にやるという、ひとつ行程としては多い作業には苦しみました。
勝地さんが完璧でしたから、僕が合わせるセリフ、叩くタイミング、笑うタイミング、声を出すタイミング、動きのタイミングとか、やりながらずっと考えていたから、目がバッキバキになっていたんでしょうね(笑)。
でも、「威勢のいい風呂屋」のコントはすごく楽しかったです。志村さんがいかりやさんにやっていたように、僕が大先輩の遠藤さんに思いっきりやるっていう…こんなことないですからね(笑)。
コントシーンをやってみて、志村さんが考えていたこととかが、何となくですが、こうだったんだろうなみたいなことが徐々にわかってきたんです。
「今のずれたなぁ」とか、「もうちょっと早いタイミングで言えばよかったかな」とか、「もっと顔動かしておけばよかったな」とか、そういう間とタイミングの細かい部分を、たぶんものすごく気にされていたと思うんです。
絶対的に面白いものを作るということに、緻密で繊細な計算がそこにあったからあれだけ面白いし、それをずっと経験してザ・ドリフターズのみなさんでやってきたからこその空気だったり、お笑いになっていると思うんですけれど、僕はそれをこの短い期間で少しでもそこに近づけるようにやらなくてはいけないという重みをすごく感じていました。
——印象に残っているシーンは?
いかりやさん(遠藤憲一)との二人のシーン、『ドリフ大爆笑』のオープニング…全部ですね。
コントシーンでは、勝地さんとは10ページ以上の台本のコントもあって。それはたぶん、志村さんや加藤さんがアドリブでやられていた部分もそのまま台本として文字起こしされていて、それを僕らはアドリブに見せつつ、お芝居をするという。本当にハードルが高く難しいことでした。
両親とのシーンも、今まで演じてきたいろいろな思いを、お父さんとお母さんに込めることができて、撮影が最後の日でよかったと思っています。

——福田監督の現場はいかがでしたか?
福田監督はコメディのイメージがあると思いますが、今回のようなヒューマンな作品が合う方なんだろうなと思いました。
何回も本番をやらずに必要最低限のカットで、お芝居を埋めていって、スタッフさんの組み立て方もとても素晴らしいと思いました。
家族とのシーンも僕の芝居を優先して撮ってくださって。そういうところのチームワークや安心感。現場でも「それ面白い」、「ここまではやらなくていい」とはっきりされていますし、それ以上のことはおっしゃらない。すごく気持ちがよかったです。
実際はどういうふうに思っていたのか知りたくなりましたが、その答えは、12月27日にあると思います。
——視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
かつて50%以上の視聴率。大勢の人がテレビの前に座って見ていた番組で、印象に残るキャラクターやお笑いを生み出してきた伝説のグループ、ザ・ドリフターズ。その伝説のグループの志村けんさん役を僕が今回演じさせてもらいました。
ドラマの中でも 「笑いたがっている人、笑わせましょうよ」というセリフがあるのですが、そういうドラマになればいいなと思って臨みました。
その日1日は、志村さんに変わって、みなさんを笑顔にできるようなドラマになっていると信じています。
公式HP:http://www.fujitv.co.jp/shimuradorifu/
公式Twitter:https://twitter.com/shimuradorifu?s=20