『警視庁アウトサイダー』片岡愛之助&斎藤工の“悪のにおい”、ダークな演技に震える

公開: 更新: テレ朝POST

<『警視庁アウトサイダー』第7話レビュー 文:赤山恭子>

西島秀俊濱田岳上白石萌歌がクセの強いキャラクターにふんする刑事ドラマ警視庁アウトサイダー

2月16日(木)に放送された第7話では、長野県春蘭市で何者かに拉致されていた架川英児(西島)のその後の展開、そして水木直央(上白石)が蓮見光輔(濱田)の父のホステス殺人事件の冤罪に興味を持ったため、以後どう絡んでくるのかに注目が集まった。

一方で、水木の父である警視庁のキャリア官僚・有働弘樹(片岡愛之助)と国会議員・小山内雄一(斎藤工)の、黒い関係性が如実に浮かび上がった回でもあった。

「日本をよくしたい」と意気込む小山内、彼をサポートする有働、という明らかに善人の構図だったふたりの驚くべき変化。彼らのいい人感は一気に霧消し、演じる片岡と斎藤が醸し出すダークな雰囲気が、黒幕感を強く押し出した。

これまで悪役をけん引していたはずの信濃一家の組長・当麻秀和(鈴木一真)の存在すら、かすませる勢いの重圧。しかしながら、これぞテレ朝の刑事ドラマといった風格も同時に感じさせた。

◆拉致された架川、犯人から「〇〇〇だな!」

蓮見の父の冤罪が疑われる10年前に起きたホステス殺人事件の手がかりを得るため、長野県春蘭市に乗り込んだ架川は、男に拉致される。その男こそ、慕っていた藤原要(柳葉敏郎)を殺した張本人だと疑わない架川は、拘束されながらも必死に抵抗し、犯人から「メンヘラだな!」とどやされる。

ここでいうメンヘラとは「お前のメンタル、“ヘラクレス”だな」という意味だそうだ。

ヘラクレス、言わずと知れたギリシャ神話の英雄。こんな大ピンチ&緊張感のある場面の最中でも小ネタを盛り込んでくるあたり、製作サイドの『警視庁アウトサイダー』らしさを詰め込みたいという意気込みをひしひしと感じる。

結果、男に逆上され銃口を向けられた架川は絶体絶命に瀕するが、そこへ助けに来たのは蓮見でもなく、水木でもなく、まさかの鑑識係・仁科素子(優香)だった。

架川が間違って電話をかけた相手が仁科だったこと、さらには仁科が鉄道ヲタクだったことから、拉致の場所を突き止めることができた。仁科のただの趣味だと疑わなかった鉄道も、ストーリーに絡む形で役立ったなんて。何だかうまい展開と意外性にハッとさせられる。

しかしながら、仁科というと、これまで架川とは因縁めいた関係をにおわせていた。何かにつけ架川に呼び出されては、不服面で一流の鑑識の腕を発揮していたはずだ。その仁科が、自分の命を張ってまで架川を救いにきたわけだ。

いざ救出しようとした瞬間、仁科が最前線の現場刑事ではないためか、どこかどんくささが見え隠れする。それでも犯人に回し蹴りをくらわすなど、緩急のついた展開で優香の好演が光った。

犯人との必死の攻防戦の最中、ゾンビのように活躍する仁科に対し、架川が発した「お前、メンヘラだな」も、「エモ散らかし」などに代表される“覚えた単語をきっちり使いたがる”その性分が見え、本ドラマらしいふふっとさせられるポイントも炸裂していた。

ここでは、架川と仁科の“何かありそう”だった過去も明らかになる。過去に仁科が犯したミスを架川がフォローしたことがきっかけで、信頼関係が生まれたという。

さらに、仁科は小声でつぶやく。「しょうがないじゃない、一度は惚れた男だもん」と。何も気づいていない様子の架川を見ていると、仁科による積年の切ない片思いの様子。このうっすらとした恋模様のゆくえもいずれ回収されるのだろうか…? そこは気長に待ちたい。

◆有働&小山内の黒い関係

第7話のハイライトと言えるのが、有働と小山内の“黒い関係”が浮かび上がったところだろう。有働が小山内の家を訪ねたそこでは、小山内が週刊誌に暴力団との関係性があるのではとすっぱ抜かれた記事の相談をしていた。

これまでにこやかだった一面しか見せてこなかった小山内が、「掘り下げられるとまずい」と表情を曇らせ、すかさず有働が「写真以外中身のない記事だ、やりすごそう」と返す。

そのくだりも汚職刑事&議員といった風情満載だったが、その後の展開では、小山内がホステス殺人事件に触れ、「10年前を掘り起こそうとしている架川という刑事、私にとって邪魔なのは鷲見組の当麻。このふたりをぶつけさせればいい」と、こともなげに言い放つ。

片岡&斎藤という実力派俳優による演技のすごみも手伝って、このふたりの黒さたるや、アナキンがダース・ベイダーに堕ちたときがよぎるほどだった。

第6話で水木が断言していた「善意のやつは、あやしい」の言葉のままに、もはや無関係とは思えない強烈な悪のにおいを充満させている。何だかまずそうな展開は、刑事&ミステリードラマとしての要素をぐっと濃くさせていた。

そして、この回をもって水木が地域課に異動となった。「何で私が異動なんですか!新エースとして難事件を解決してきた私が!」と、ここへきてもちょっと面白を残して詰め寄る水木。この異動こそ、娘がホステス殺人事件の真相に近づかないようにという、有働からの圧力人事ではと思わざるを得ない。

最悪の結末は、有働や小山内がもみ消しや冤罪に関与したことだけでなく、もしかして犯人に近い像かもしれない、ということだが…。もしそうであれば、後味の悪さだけが残るようなことがないようにと願ってしまう。どのようないきさつがあったのか、私欲だけでない“何か”の理由を、今後見つけていきたい。

架川&蓮見VS有働&小山内の構図が見えてきた第7話。有働の娘である水木は、有働側につくのか、しかしすでに父を怪しんでいる様子なので、架川&蓮見側で“トリオ”の活躍になるのか…。

これまでドラマをにぎわせてきた桜町中央署での事件パートはなくなり、本格的に蓮見の父の冤罪事件に乗り出し、刑事ドラマ色が濃くなった『警視庁アウトサイダー』。シリアスな展開が待ち受けるだろうが、小ネタも顕在のまま進んでほしいと、アウトサイダーないち視聴者として願ってしまう。

(文:赤山恭子)

※番組情報:『警視庁アウトサイダー
【毎週木曜】午後9:00~午後9:54、テレビ朝日系24局

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