『ジャパニーズスタイル』“ほぼ本番一発勝負”のシットコムだからこそハジける俳優の遊び心

公開: 更新: テレ朝POST

<土曜ナイトドラマ『ジャパニーズスタイル』第2話レビュー 文:横川良明>

土曜ナイトドラマ『ジャパニーズスタイル』の第2話が放送された。

1日だけの約束で実家の温泉旅館・虹の屋に転がり込んだ柿丘哲郎(仲野太賀)。しかし、数日経っても出ていく気配はなく、浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)に媚びを売り、雑用を買って出るなど、すっかり居座る気満々。

そんな中、料理長・浮野奏太(KAƵMA)に指名手配犯の疑惑が浮上。哲郎は、目の敵である仲居頭の浅月桃代(檀れい)を追い出すべく、浮野を採用した責任を追及しようとするが……というのが第2話のストーリー。

◆《ほぼ本番一発勝負》だからこそハジける俳優の遊び心

30分《ほぼ本番一発勝負》が見どころの本作。

第2話ということもあり、キャストたちもこのスタイルに馴染んできた感があり、会話がよりリズミカルに。俳優たちの遊び心が垣間見える場面も増え、ライブならではの楽しさが感じられるようになってきた。

間合いの良さが光っていたのが、仲野とゲストの松尾諭の2人だろう。

この2人と言えば、思い出されるのはドラマ『拾われた男』(NHK)。松尾自身の体験に基づいて描かれた同作で、仲野が松尾をモデルとした主人公の役を演じていた。ある意味、モデル本人と演者による“奇跡の共演”だが、そんな縁もあってか息はばっちり。

松尾が演じたのは、哲郎のバレー部時代のコーチ・笹原。哲郎が務めたリベロのポジションを“孫請の工場”に例える笹原に対し、「リベロのこと、孫請の工場だと思っていたんですか」とツッコむ哲郎と、一瞬フリーズして別の話題に切り替える笹原。それに哲郎が「話変えないでください!」とツッコむまでのくだりが、見事なテンポ。

松尾の間のあけ方も、それにかぶせる仲野のツッコミのタイミングも絶妙で、そうそう、こういうやりとりが見たかったと思わず手を叩きたくなる妙演だった。

緩急の良さという意味では、檀れいも痛快だった。哲郎に「クソババア」と暴言を吐かれたことに、息子の凛吾郎が激怒。

「ママにクソババアと言ったこと謝れ〜」としつこく繰り返すが、凛吾郎の言い回しが「クッソババア」とヒートアップしたところで、「もうやめて。余計に傷つくから」と自主規制。ここなんかは、石崎ひゅーいとのテンションの高低差がいい緩急を生んでいて、クスッと笑える場面になっていたと思う。

回を重ねるごとにレギュラーキャストの息がどんどん合っていくのも見ていて楽しい。

今回で言えば、浮野が指名手配犯かもしれないと知り、2時間ドラマオタクの支配人・影島駿作(要潤)が張り切る場面がそうだろう。

刑事のように手袋をつけ、両手をサッと挙げる要と、その横で「ちょっと意味わかりませんね」と影島の動きを真似る仲野。ここもキメキメの要に対し、仲野の抜け感がいいコントラストになっていて、思わず吹き出してしまった。

こういった動きはおそらく前日のリハーサルで芝居を合わせながら生まれてきたネタなんじゃないかなと思う。そんな俳優の遊び心が見られるのも、こうしたシットコムの大きな魅力。

信じられないクズ発言をした哲郎に影島がデコピンをするのも、本気で怒っている寺門・ルーシー・数子(市川実日子)とのギャップで面白かったし、突き飛ばされた哲郎がわざと2回体を打ちつけるのも面白かった。

ここでちゃんと笑いを入れることで、クズだけど憎めない哲郎のキャラクターが担保されていた。《ほぼ本番一発勝負》という失敗の許されないシチュエーションでも、遊び心を忘れない仲野のコメディセンスには惚れ惚れさせられてしまう。

◆笑いを生むのは、意表を突くような変化球

自己紹介という面もあり、1話はキャラクターの濃さが前面に出ていたが、ひと通りインドロダクションがすんだことで、2話はより会話のキャッチボールにキャストも観客も集中できていたように思う。

画変わりがしないシットコムで視聴者を飽きずに惹きつけさせるには、何と言っても会話が勝負。それも力任せの豪速球ではなく、カーブ、フォーク、スライダーと多彩な変化球が盛り込まれることで、打者である視聴者も翻弄され、その翻弄が意外性となり笑いにつながる。

そういう意味でも制球力のある俳優でないと会話劇は務まらないのだが、その力が十分にあることはこの第2話でしっかりと証明された。となると、ここからさらにどんなピッチングが見られるか、いやが上にも期待が高まる。

何せこの場に集まっているのは、腕に覚えのある俳優ばかり。シットコムというスタイルに慣れてくれば、さらに球種も増え、思いがけない球筋に笑わせられることもあるだろう。ぜひ変幻自在の投球術で視聴者をキリキリ舞いにしてほしい。(文:横川良明)

※番組情報:土曜ナイトドラマ『ジャパニーズスタイル』第3話
2022年11月5日(土)よる11:30~深夜0:00、テレビ朝日系24局

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