ひかる(若月佑美)をクビにして追い出したシオン(鈴木康介)が抱く“ただしさ”に対する葛藤と喪失感。そして、セレブが本音を明かすとき。『セレブ男子は手に負えません』(第8話)

公開: 更新: ABCマガジン

“ただしさ”と“ただしさ”のぶつかり合い――。

人生崖っぷちヒロインのひかる(若月佑美)と、超オレ様セレブ男子・シオン(鈴木康介)の衝突が沸点超えした第8話。この二人の衝突、少し視点を変えて観てみると、なんだか現代社会のいたるところで起きているぶつかり合いの縮図をみているようで、信頼を築き上げてきたはずの二人でさえ、立場が変わるだけで同じことを思っていても言い争いになってしまう(涙)。そんな哀しさを感じさせながらも、ラブコメ・エッセンスを交えて描かれていく。

「お前はクビだ。出ていけ!!」 VIPが集まったパーティで、ひかるを一方的に解雇したシオン。幼いころから両親に帝王学を教え込まれ、他人に厳しい人生を歩んできたシオンにとっては、会社を守るために選んだ冷徹な態度。しかし、相手の想いに届かない厳しさは、他人だけでなく自分の心に哀しみを満たしてしまうだけだったことを知る。そして、密かに抱いていたひかるへの想いを自ら焚きつけていく…。

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シオンの“ただしさ”は本音とは裏腹に、建前を纏った“かなしさ”が漂っているようにみえる。ひかるがいなくなってしまった広いリビングに一人たたずみ、ひかるを思い起こすシオンは、前を向いているようで前を向けていない。

一方で、シオンのためを思い、彼にとって大切な人を守りぬこうとしたひかる。その“ただしさ”は、周囲の人たちの“たのしさ”へと向かう前向きなまっすぐさがあったことがわかってくる。

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ペントハウスを追い出されたひかるは、赤いエプロンを着けて家事代行会社で働き始めていた。同僚にも恵まれ、クビにおびえることないこの職場では、1週間で3人もの指名を受ける繁忙ぶり。その頃、ひかるがいなくなったペントハウスでは、シオンが1週間で3人のシェフをクビにしていた…。本当はおにぎりが好きで、ひかるの“おにサンド”に胃袋を掴まれたシオンにとっては、もはや超一流シェフが作る高級な味が口に合わないのだ。

自立しているひかると、実は自立できていないシオンが対象的に描かれていく。

ペントハウスを出たひかるを探しにきたのは律(本田響矢)だった。

「僕、寂しいんだぁ。部屋もすっごく汚いし」

「戻ってきてよ!」

ひかるとのわだかまりが解けた律は、素直(=甘えん坊)に気持ちをぶつけるが、ひかるにはシオンとのわだかまりが残ったままだ。律はコンサートチケットを手渡し、「みんなと一緒に来てほしい」と告げるのだった。

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その頃、ひかるにプロポーズをした彰人(中尾暢樹)は人生の大きな転機を迎えていた。

親に敷かれたレールの人生を嫌い、海外に活躍の場を求めていた彰人だったが、心根ではひかるの存在が大きなものになっていた。そんな父・浩彰(橋爪淳)とのシーン、言葉ひとつで雰囲気を変える中尾の表情の変化にも注目してほしい。

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そんな中、いよいよシオンが動く。ひかるの職場へとやってきたシオンは、

「契約期間がまだ残っている」と平静を装うが、本音を打ち明けたその表情はとても柔らかくて穏やかだ。

ひかるが宝物のように大切にしていた母親のマフラーを、みずからシオンの首に巻くシーンは、二人の距離の縮まりだけでなく、心の変化を象徴するようなハイライトシーンだった。

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シオンとのわだかまりが解け、ペントハウスに戻ってきたひかるを待ち受けていたのは、散らかりまくった部屋と、彰人、シオンとの熾烈な三角関係!? 恋愛したら即クビのはずが、彰人は結婚指輪(超高そう!)を、シオンはひかるのためにデザインしていたドレス(超一流ブランド!)を用意していた…!

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わがまま放題で手に負えなかったセレブ男子が、ひかるへの恋心で手に負えない展開を見せていく『セレブ男子は手に負えません』は、TVer・ABEMAで無料見逃し配信中。

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<文・ニノマエヒビキ>