脚本家の三谷幸喜が、アガサ・クリスティ原作の長編推理小説「アクロイド殺し」を野村萬斎、大泉洋ら豪華キャストでドラマ化した『黒井戸殺し』(フジテレビ系)が、4月14日(土)19時57分より放送。先日、都内で取材会が行われ、三谷が本作の見どころやキャスティングへのこだわりなどを語った。
三谷は前回脚本を担当し、2015年にドラマ化された『オリエント急行殺人事件』制作の際、「これがうまくいったら(主人公の)勝呂武尊シリーズをまたやりたいですね、と周囲と話していた」と告白。さらに、アガサ作品なら「アクロイド殺し」がやりたいということを、当時から考えていたという。
アガサ作品については、「脚本家として読み直すと本当によくできている」とリスペクトしている様子で、「学生の頃からファンだった」とニッコリ。故に、脚本を書く際もこだわりがあるといい、「変に脚色したりいじったりしてはいけないものだって思っているんです」と持論を述べた。
今回の作品でも、アガサがやろうとしたことを崩さず、「可能な限り原作に忠実にしました。(作品時間)3時間で殺人事件は一回しかない。それでもお話が面白ければもつんだよというお手本のような作品。物語の推理の部分をぜひ楽しんで欲しい」と見どころを紹介した。
また今回、三谷にキャスティング権はなかったというが、「こういう話なのでキャストを見てだいたい犯人がわかってしまうみたいな風にはしたくなかった」といい、事前にプロデューサーにそのことだけは伝えたことをコメント。
野村と大泉のコンビについても「大泉さんをイメージはしていましたけど、大泉さんが良いとは言葉では言っていなくて。念じていたらそうなったんです(笑)。去年の春くらいにキャスティングをしていたみたいなんですけど、それがちょうど(三谷脚本の)NHK大河ドラマ『真田丸』が終わったくらいのタイミング。スタッフが真田丸のファンなのか、真田丸色の強いキャスティングになったのでは」と、自身が思い描いていた通りになったと明かした。
しかし唯一、斉藤由貴だけは三谷が希望してキャスティングしたといい、「(斉藤演じる)キャロラインのキャラクターはキーパーソン。クリスティ全作品の中でも、もっとも印象深いキャラクターかもしれません。詮索好きでおっちょこちょいで悲しげなものもあり、母性もありで、斉藤由貴さんのイメージが強かった」とその理由を明かした。
ドラマについては「映像も綺麗だし、ミステリーとしても良い骨格になっている。それはクリスティさんのおかげ。日本のテレビドラマもまだまだもっといいものができるんだよってことを視聴者の方にわかってもらえると思います。シリーズ化も進めたいですね。あと50作くらいはできると思います」と話し、笑顔を見せていた。