佐藤健主演、実写映画『亜人』は漫画やアニメより「エンタメに振り切っている」

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【綾野剛が佐藤役で良かった…『亜人』が“実写化したからこそ”出来た部分】

――佐藤役の綾野剛さんとは、『るろうに剣心』以来の共演。現場ではどのようなお話を?

アクションシーンは、“演じる”というより“作る”作業だったんですよ。なので、僕も綾野さんも意見を言い合いました。初対面の人だとなかなかお互いが遠慮して腹を割って話せないので、『るろうに剣心』で共演したということもありましたし、もともと信頼関係ができていた状態で入れたので良かったです。その結果、お互いが満足できるシーンが出来上がりました。佐藤というキャラクターは、原作ではかなり歳が上なんですよ。もしもその年齢に合わせて大御所俳優さんがキャスティングされていたら、こんな風にディスカッションできなかったですから。綾野さんで本当に良かったです。そのおかげで良いシーンが撮れました。

――本広監督とは初タッグ。人柄や、現場の雰囲気はどんなものでしたか?

とても良い人です。優しいですし、撮影ではほとんどが1発OKでした。俳優が芝居しやすい環境を作ってくれる。また、役者の「こうしたい」という意見を尊重してくれる方でした。

――本広監督といえば、『踊る大捜査線』。作品は見たことはありますか?

僕は“踊るっ子”ですからね(笑) 『踊る大捜査線』に育てられました。映画はもちろん、連ドラやスペシャルシリーズも全部見ています。その本広監督とやると聞いた時は、本当に嬉しかったです。「あれレインボーブリッジじゃないんだ」とか、色々な裏話を聞けました(笑)

――『亜人』で“本広監督らしさ”が出ている部分はありますか?

SAT(特殊急襲部隊)が出てくるシーンや、最後の戦う場面でアーミーなユニフォームを着るところ。そういう小物にこだわる部分が、“本広さんっぽい”と思いました。

――『るろうに剣心』や『ROOKIES』など実写化作品に多数出演されていますが、出演する際の心構えなどはあるのでしょうか?

漫画の実写と言っても、作品によってアプローチが全然違う。違うべきものだと思います。漫画の実写だからキャラクター像を全部寄せなければならないという固定観念を持つのではなくて、「この作品を実写化するんだったらどういう方法がベストなんだろう」ということを考えることが大事。でも、漫画が面白いからって映像化作品も面白くなるわけではなくて。残念ながら、全部が全部成功するとは限らない。だったら、「僕が好きな漫画が実写化する際には、僕自身が出演して、何としてでも良いものにしたい」という気持ちで挑んでいます。

――『亜人』で、実写だからこそ出来た部分はあると思いますか?

実写だからできたと言うよりも、“実写映え”するとは思いました。「リセット」を戦法として利用しながら戦うということが、原作でも面白い部分なのですが、実写でもやはり見どころの1つになりました。僕が『亜人』を映像化したいと思った一番の理由がそこにあります。

――戦法もそうですが、やはりアクションシーンも必見だと思います。前もってどんな準備をされたのですか?

アクションシーンというのは、基本的に台本に描けないので、現場で作っていく感じです。今回は『るろうに剣心』のアクションチームだったので、信頼関係が完璧にできていて、クランクインする前から、どういうアクションを目指していくか、かなり話し合いました。僕も意見を出させていただき、ゼロから一緒に作っていきました。

――そんなアクションシーンを、ご自身で見た感想は?

僕はこの作品で、今までに見たことがないアクションを作りたいと思っていました。1つ目は、「リセット」を戦法として使える“亜人”だからこそできるアクション。もう1つは、IBMとのタッグを作戦として使うアクション。僕たちはこの2つの武器が使えたので、それを最大限に活かした、今までに見たことがないアクションになったと思います。IMBはCGなので、現場でなかなか想像ができない部分もありましたが……出来上がった映像を見せていただいた時、本当に完成度の高いCGで、僕たちが目指していた以上のクオリティで動いていて、本当に感動しました。

――これまでも意見を出すなど、作品作りから参加したことはあったのですか?

あります。アクション作品は、先ほども言ったように台本に描けないところがクライマックスシーンになってくるので、その映画の“オチ”となる部分を、クライマックスにふさわしいものにしなければならない。映画『るろうに剣心』では、最後のアクションに行く前の「殺してやるからかかってこい」というセリフは、原作にはあるのですが、実は映画の台本にはなかったんです。でも、そのセリフをきっかけにアクションに行けば、きっとクライマックスにふさわしいシーンになると思ったので入れました。また、「京都大火編」「伝説の最期編」でも、剣心と志々雄真実(藤原竜也)の戦いがどう終われば良いものになるのかをずっと考えていて、とりあえず「最後に藤原竜也さんが叫べばいい」ってことになりました(笑) アクション作品に関しては、毎回参加させていただいています。

――『亜人』では、実写だからこそより臨場感が出る部分が多いのかもしれませんね。

1つ言えるのは、アニメや漫画よりも、エンタメに振り切っている。漫画やアニメは時間をかけて丁寧にテーマ性や心情の深い部分を描けるのですが、映画は2時間しかない。漫画やアニメでやったことを映画でも全部やろうとすると、中途半端になってしまうんです。なので、今回はもう「エンターテイメントに振り切ろう」と最初から決めていて。その分、かなり密度の高いアクションが見られると思います。