みたことのない文字を生み出す藤田重信の信念とは?

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6月13日の『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合、毎週月曜22:25)は、書体デザイナーの藤田重信が登場する。

去年9月、世界の2大PCメーカーのひとつが標準装備するフォントを新たに追加、グラフィックデザインに携わる者たちを中心に大きな話題となった。中でもデザインの可能性に幅が広がる、と注目を集めたのが、硬筆の味わいをもつ「クレー」、特徴的な丸みを持つ「筑紫A丸ゴシック」と「筑紫B丸ゴシック」だ。これらの書体を、ひらがな・カタカナ・漢字などおよそ3万字を5年の歳月をかけ、一から生み出したのが、この道30年のフォントデザイナー・藤田重信だ。

藤田がつくるフォントの特徴は、文字そのものが「緊張感」「おいしそう」「重厚感」といったイメージを“つぶやく書体”と評される。その製作スタイルは、型破り。たとえば明朝体であれば、多くの書体デザイナーが筆を用いてデザインするところを、藤田は全ての作業をPCの中で完結させる。「ハネ」や「止め」「カーブ」なども文字ごとに基準値が細かく設定されているが、藤田はその基準値をギリギリまで攻め、限られた範囲の中で文字を躍動させていく。

時に、“文字が暴れている”“邪道だ”という表現されることもあるが、藤田は「客が良い書体だ、と言ってくれればやり方は問題じゃない」と自らのスタイルを貫き通し、を込めていく。業界の異端・藤田の流儀に迫る。