“神の手”をもつ人間国宝・井上萬二のろくろテクニック

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4月23日(土)20時からBS11にて『有田焼創業400年 人間国宝 井上萬二 新たなる創造と挑戦』が放送。

日本で初めて磁器が焼かれた佐賀県有田町。その歴史は江戸時代まで遡り、2016年に有田焼は創業400年を迎えた。そして、その有田焼を代表する陶芸家、人間国宝・井上萬二は、有田焼ろくろ成形の第一人者であり“神の手を持つ”とも称されている。一切の加飾に頼らず、やわらかな造形だけで、凛とした風格を表現する「白磁」の神髄を追い求めてきた求道者だ。

2012年に放送した『人間国宝 井上萬二~有田焼「白磁」の魅力~』では最後のメッセージとして「今の夢は、創業400年を迎える際形が違う白磁を400個作ること」と語っている。85歳を過ぎてもなお、親子3代展や、若手芸術家とのコラボ企画展など新たな創造への試みを続ける彼にとって“有田焼創業400年”とは何を意味するものなのか?

今回番組では、2013年から3年間にわたり、井上氏に密着取材を行った。その類い稀な感性と技で人間国宝にまで上り詰めた井上氏だが、これまでの歩みは決して平坦ではなかったという。「あの人がいなかったら、今の自分はなかった」とも明かしており、ターニングポイントとなったのは“ある人との出会い”があったから。また、「人との良い出会いをつかむには、日頃の努力、精進」とも語っている。

井上氏の活動は、国内だけにとどまらず、アメリカでの作陶指導などを行ったり、書道家・武田双雲とのコラボレーションを試みたりするなど、新しい挑戦にも意欲的だ。このように、有田焼の歴史を受け継ぎながら、新たな伝統をつむいでいる井上氏は、「器用な人より、努力できる普通の人がいい」と、有田焼の未来を担う世代への指導にも力を込める。

そして、創業400年を記念し、技の粋と情熱を注ぎ込んだ400点の作品がついに完成。有田焼の魅力を伝えるために挑戦しつづける人間国宝・井上萬二のありのままの姿を描く。