飛びながら眠る渡り鳥に立ったまま眠るキリン…眠りのメカニズムに迫る

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海外のよりすぐりのドキュメンタリーを放送する番組『地球ドラマチック』(Eテレ、毎週土曜19時)。4月16日は「動物はなぜ眠るのか~睡眠の科学~」と題し、クモからゾウまで多種多様な生き物の眠りから、そのメカニズムを解き明かしていく。

生きとし生けるものにとって、睡眠はなくてはならないものだ。しかし、そのスタイルは実にさまざま。ほとんど眠らない動物もいれば、一日20時間を寝て過ごす動物もいる。いったいそのメカニズムはどうなっているのか?

たとえば渡り鳥。大海原の上を何日も飛び続ける彼らに、羽を休ませる場はない。彼らは「飛びながら」眠っているのだ。また、首が長く、横たわると起き上がるのに時間がかかるキリンは、ライオンに襲われてもすぐ逃げられるよう立ったまま眠る。渡り鳥やキリンの睡眠は、右脳と左脳を数分おきに交互に眠らせているという。このため、完全に眠ることはない。じっくりと長時間睡眠に集中できるのは、捕食者がいないことを意味し、非常にぜいたくなことなのだ。

生物はなぜ眠るのか? どんな動物にも体内時計が備わっているが、その体内時計が睡眠をつかさどっている。眠るときに目を閉じるのは、単に疲れているからではない。科学的な根拠がある。睡眠を引き起こすホルモン、メラトニンは光のないところで分泌されるため、眠るときには光を遮断する必要があるのだ。眠ることでエネルギーを温存するだけでなく、哺乳類などでは睡眠中に脳内で情報の整理も行われる。また、子どものホエザルは大人の3倍の睡眠をとることもある。眠っている間に成長ホルモンが分泌され、体の発育を促すからだ。最新の研究では、睡眠が多いほど免疫システムが効果的に働くという結果も出ている。動物たちの眠り方を通して、知られざる睡眠の世界を科学する。