「儒教」は貧困からの脱出の希望となるか?

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5月16日の『ETV特集』(NHK Eテレ 毎週土曜 23:00~24:00)は、中国で急速に復活しつつある「儒教」に迫る。番組では、中国の山村で貧困から脱出すべく、子どもたちに「論語」を教え始めた青年・石卿傑(せき・きょうけつ)さんに、2010年から5年に渡り密着した。

2500年前に儒教を唱えた孔子の生まれ故郷・山東省の曲阜(きょくふ)では、地元政府が観光の目玉にしようと高さ73mの巨大な孔子像を建設中だ。また、都市部では子ども向けの「論語」塾が続々と誕生し、儒教教育が一大ブームとなっている。背景には一人っ子政策でわがままに育った子どもに、儒教の礼儀や道徳を学ばせたいと考える親が急増しているからだ。

石さんの暮らす中国南西部にある貴州省の山村では、貧困のため学校をやめ出稼ぎに出たり、結婚したりする子どもが少なくない。しかし、論語を暗記させることで子どもたちの勉強への意欲を高め、大学進学や都会での就職する夢を持たせたいと考え、教え始めたが、子どもたちを取り巻く環境は厳しい状況が続いている。そんな中、彼自身もわずかな収入では結婚もできず、両親の老後の面倒も見られないまま、「親孝行を説く儒教を教えてきたのに」と苦悩する。

孔子の「論語」に始まった、夢づくりの試みの結末は一体どうなるのか。格差が広がる社会の中で、貧困からはい上がろうとする青年と子どもたちの奮闘を、カメラが追った。