『泥濘の食卓』不倫を続ける吉沢悠“夏生”の本性とは?那須川家崩壊も秒読みに

公開:
『泥濘の食卓』不倫を続ける吉沢悠“夏生”の本性とは?那須川家崩壊も秒読みに

12月9日に放送された土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』(テレビ朝日系、毎週土曜23:30~)第8話では、不倫をする那須川夏生(吉沢悠)や捻木深愛(齊藤京子)の毒親・美幸(筒井真理子)の本性が明かされ、最終話に向けて急展開を迎えた。

不倫が絶えない男・那須川夏生の本性

恋に落ちている深愛は、夏生のことを「落ち着いてて優しいし、私のことよく見てくれる人」と語るが、妻がいながら他の女に手を出す男が優しいはずがない。第8話では、これまであまり明かされなかった夏生の本性が明らかになった。

特に、息子のハルキ(櫻井海音)と対峙する場面では、吉沢の“目”で語る演技が印象的だ。妻の病気について、憔悴し、追い詰められたような目つきで話していたかと思えば、ハルキに「それでも道を踏み外さないのが大人なんじゃないの」と責められると、「じゃあ、俺は子どもだな」とあっけらかんとした表情で自分の非道な行為を認めてしまう。怒りや苛立ちを一切見せず、冷静に言葉を返す夏生の姿は、どこか不気味だった。

また、「深愛さんのこと本気じゃないだろう。ストレスや性欲のはけ口にあの人を利用すんな」とハルキが憎しみのこもった目で告げるシーンもゾッとするところ。夏生はハルキの言葉を気にも留めず、「好きなの?」と嘲るような嫌らしい笑みを浮かべて見つめ返すのだ。およそ父親が息子に向ける表情ではなく、ハルキも弁明しない夏生に失望し「この家出て行くから」と立ち去ってしまう。

さらに、「話するだけだから」と深愛をホテルに誘い、行為が終わってから話を切り出すところからも、夏生の人間性が感じられる。会えば深愛の優しさに縋り「どうしよう……」と弱気な姿を見せるくせに、裏では「嫌な女でいてくれたほうが気持ちよく捨てられるのに」と言い切ってみせるのだ。これこそが、夏生の本性なのだろう。

結局、夏生にとって深愛は、これまで不倫してきたすずらんの女の一人であり、遊びにすぎなかったのである。

キョコロヒー』コンビが共演!毒親・美幸もとうとう正体を現す

これから生まれる子どものために、深愛が昔使っていたベッドや絵本を借りにきた叔母のあかり(ヒコロヒー)。深愛は自分で道を切り開くあかりを「おしゃれでかっこいい」と尊敬しており、あかりも昔から深愛のことを気にかけていた。おそらく、同じ家で育った深愛とあかりは、年の離れた姉妹のような存在なのだろう。だからこそ、深愛はあかりを信頼して、「お母さんにはまだ言ってないんだ」と恋愛話を打ち明ける。

「別にいいじゃん、(お母さんに)話さなくても」と当たり前に告げるあかりに驚き、目を見開く深愛。続けて、あかりは「深愛はもう子どもじゃないんだし、自分のことは自分で決める。自分の人生だよ。お母さんのためじゃない、自分のために生きるの」と力強い言葉を深愛に贈る。

あかりの言葉は、深愛が両親から与えられた「人の役に立つ人間になる」という呪いを解く鍵だ。同時に、毒親から自立するために重要な考え方でもある。

バラエティ番組で何度も共演しているせいか、深愛とあかりの対話では終始和やかな空気が感じられた。元々年齢が離れていることもあり、ヒコロヒー演じる叔母が齊藤演じる姪っ子を見守るという関係性や演技も自然で違和感がない。

だが、穏やかなシーンも、外から会話を聞いていた美幸の存在で一変する。険しい顔で食卓に座る美幸は、「誰なの、結婚を考えてる人って。あかりちゃんに言えて、どうして私に言えないの。言いなさい。誰!?」と深愛に詰め寄り、ヒステリックに絶叫。筒井の凄みのある演技によって、視聴者は改めて美幸が毒親であることを認識させられた。

前回、美幸の過去が明らかになり、同情できる部分もあるように思えたが、成人した娘の恋愛事情に踏み込んだり、あかりと自分を比べて深愛を責めたりするのは、客観的に見て異常だ。やはり毒親は毒親であった。

那須川家崩壊の始まり


これまで、何も知らずに療養をしていたふみこ(戸田菜穂)も、服の匂いから夏生の浮気に気づいてしまう。

突然精神的に追い込まれ、再び病んでいた時と同じ表情を覗かせるのは、ふみこの病気が完治したわけではないことを示しており、非常にリアルだ。たとえ肩書が嘘であっても、「よくなったと思っても、ふとしたきっかけで再発することがあります」という深愛の言葉は間違っていなかった。

ただ、今回のふみこは単なる精神不調でパニックになっているのではない。口元を震わせ、嗚咽を漏らしながらも証拠を探し、答えにたどり着く冷静さを持ち合わせていた。

帰宅したハルキに「あの人、浮気してるよね。相手、教えてくれない?」と尋ねる声はどこか冷たい。ずっと「夏生くん」と呼んでいた夫のことも「あの人」と呼ぶようになっており、いよいよ那須川家と深愛の関係は崩壊していく……。

次回はいよいよ最終回1時間SP。深愛と那須川家、そしてハルキに執着するちふゆはどうなってしまうのか。最後まで目が離せない。

(文:天野スズ)