鈴鹿央士、菅野美穂ら大先輩からの演技を受け取って「“愚直”に表現したい」俳優としての信念【連載PERSON】

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鈴鹿央士、菅野美穂ら大先輩からの演技を受け取って「“愚直”に表現したい」俳優としての信念【連載PERSON】

人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、現在放送中のドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日系、毎週木曜21:00~)で箭内稟久役を演じる鈴鹿央士さんが登場します。

2019年に俳優として活動を始め、デビュー作となった『蜜蜂と遠雷』では天才ピアニスト役を熱演。ここでの演技が評価され、「第44回報知映画賞」「第41回ヨコハマ映画祭」「第74回毎日映画コンクール」「第93回キネマ旬報ベスト・テン」「第43回日本アカデミー賞」といった映画賞の新人賞を総なめ状態に。その後も、社会現象となったドラマ『silent』『18/40~ふたりなら夢も恋も~』など話題作に立て続けに出演するなど、今最も注目を集める俳優です。

そんな鈴鹿さんが出演する『ゆりあ先生の赤い糸』は、今年の「第27回手塚治虫文化賞」で頂点となる「マンガ大賞」に輝いた入江喜和さんの同名作が原作。突然目の前に現れた夫の“彼氏”“彼女”“隠し子”と奇妙な同居生活を開始!? 時にぶつかり合い、時に手を取り合い……みんなで意識不明状態となった夫の介護に勤しみながら、これまで想像もしなかった数奇な人生と血の繋がりを越えた“家族”の絆を編み上げていく新時代のホームドラマです。

鈴鹿さん演じる稟久は、主人公・伊沢ゆりあ(菅野美穂)の“夫(田中哲司)の彼氏”という役どころ。「気持ちを汲み取るのが難しかった」と語る鈴鹿さんは、そんな役をどう作っていったのでしょうか?

菅野美穂、松岡茉優らのハイレベルな演技に「毎日勉強」

――公式コメントで、「稟久の感情に寄り添って、上手く芝居で表現したい」と語られていました。実際に演じてみていかがですか?

感情の全てを表に出す役ではないので、言葉や行動の裏にあるものを汲み取るのがすごく難しいです。そこには絶対に妥協したくなくて、感情一つひとつを大切に拾っていくのが難しくもあり楽しい作業でもありました。まだ絶賛撮影中なので、最後までしっかり稟久の感情に向き合い続けたいと思っています。

――クールで冷たい性格ながら、“彼氏”伊沢吾良(田中)のことになると熱くなる姿が印象的な稟久。そのギャップが魅力にもなると思いますが、演じていて難しかった/掴みにくかった部分はありますか?

稟久の感情は自分にはないものばかりなので、掴めないところだらけです。だからこそ、先ほど言った「向き合い続ける」に繋がるのですが、自分の彼氏の奥さんと一緒に住み始めたり、自分の方が愛されているとアピールしたり、僕だったらそんなことできない。最初に台本を読んだ時は、「なんでこんなことするんだろう?」と思う瞬間が多かったです。

――吾良の妻・ゆりあ、吾良の彼女・小山田みちる(松岡茉優)と3人で会話するシーンも。この3人の関係性が今後の展開に大きく作用してくると思うのですが、菅野美穂さん、松岡茉優さんと演技についてお話したことはありますか?

シーンや演技について話すことはなかったのですが、お芝居を見ているだけでヒシヒシと伝わる何かがありました。もう、ハイレベルすぎて……! 僕は、そこで感じたままのものを出すだけ。皆さんから受ける芝居と同じレベルのものを返さなければならないので、毎日勉強ですね。

――本読みの際、菅野さんに「(役に)ピッタリだね」と言われたそうですね。では、菅野さんが演じるゆりあについてどう感じましたか?

ドッシリしているなと。菅野さんだからこそ、ゆりあのブレない芯のようなものを出せている気がします。あの真っすぐなお芝居は、菅野さんにしかできない。菅野さんだから成立していると思わされる瞬間が何度もあります。

――菅野さんは鈴鹿さんの過去作を見て、素晴らしいお芝居をする方だとおっしゃっていました。

ありがたい限りです! 松岡さんと共演した『蜜蜂と遠雷』のほか、1クール前に出演していた『18/40~ふたりなら夢も恋も~』も見ていらっしゃったようで、「ダンスすごかったね!」と言ってくださいました。本作の1話を見て、稟久に対しての思いや考えも語ってくれたりして、なかなか同業者の方から感想を聞く機会はないので、すごく貴重な時間でした。それが稟久を作るための要素にもなっています。

――菅野さんをはじめ、先輩俳優さんたちが多くいる現場の雰囲気は?

楽しいです。皆さんが楽しくお芝居されているのが伝わってくるんですよね。「お芝居を楽しむ心が大事だよな!」と認識させられる現場です。

先輩から受け取ったものを「愚直」に表現

――ここからは、鈴鹿さんとテレビの関わりについて聞かせてください。影響を受けたテレビ番組はありますか?

今パッと思い浮かんだのは『ドラえもん』。幼少期、あまり映画館で映画を観るという経験をしてこなかったのですが、『ドラえもん』だけは映画館に観に行って、すごく泣いた記憶があります。特に印象に残っているのは、『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』。ピー助には本当に泣かされました。今見ても泣いてしまいます。

――では、今見ているオススメのテレビ番組があったら教えてください。

スポーツ番組全般です。サッカーやバレー、バスケなど、スポーツ系は情報番組も試合中継も見ます。最近見たのは、9月に沖縄で行われた『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』。『パリオリンピック』出場権を獲得した瞬間の感動は今でも思い出して鳥肌が立ちます。

――最後に、鈴鹿さんが役者として大切にしている信念や言葉を教えてください。

「愚直」です。俳優として活動する中でもらう言葉はたくさんあって、自分の中で大切にしているものは何個かあるのですが、それを実際に活動で活かすには「愚直」でなければいけない。この『ゆりあ先生の赤い糸』でも、大先輩方の演技からたくさんのものを受け取って、僕なりに「愚直」に表現していきたいと思います。

取材・文:米田果織
撮影:フジタヒデ

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