“ケニアの三笘”が赤土のピッチで奮戦!ジョージアとケニアのサッカーを現地の日本人選手がレポート

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“ケニアの三笘”が赤土のピッチで奮戦!ジョージアとケニアのサッカーを現地の日本人選手がレポート

11月4日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、ジョージアとケニアのサッカーリーグで戦う日本人選手を特集した。

異色の海外組を取り上げる新シリーズ「辺境のサムライ」の初回は、東ヨーロッパのジョージアで戦う加賀山泰毅と、東アフリカのケニアで戦う草場勇斗がリモート出演。MCの勝村政信や、解説の北澤豪らとトークを繰り広げた。

京都サンガF.C.の下部組織でキャリアをスタートさせた加賀山は、JFAアカデミー福島から名門・関西大学に進学し、フィンランドとマレーシアを経て、今はジョージアのクラブチームであるFCサムグラリ・ツカルツボに在籍している。

最初に渡ったフィンランドでは76試合に出場し、18ゴール。昨シーズンはマレーシアでプレーし、27試合で5ゴールを決めている。2つの国で結果を残してきたが、マレーシアからジョージアへの移籍は、ヨーロッパのコンペディションを目指す加賀山にとっては願ってもないチャンスだったという。チームは現在リーグ4位につけており、UEFAヨーロッパカンファレンスリーグへの出場も視野に入れている。

また、加賀山自身もジョージアに渡った今シーズンは、ここまで18試合で5ゴールを記録。一般的ではないルートながらも、異国の地で結果を出し続けていることについて、北澤は「本当にどこでハマってくるかわからない。Jリーグではオファーがなかったかもしれないけど、違う国で自分が必要とされて、チームにフィットして評価されるタイミングがくる」と、サッカーにおけるキャリアの多様化について言及した。

一方、草場は立正大淞南から桃山学院大学と、高校・大学は名門でプレーし、社会人リーグを経て、日本からおよそ1万1千km離れた赤道直下の国・ケニアへ渡ることになる。初年度となる昨シーズンは4部リーグで11試合に出場し8ゴールを決め、今シーズンからは1部のケニアプレミアリーグでプレー。現地では三笘薫の人気が高く、ナイロビシティスターズに所属する草場も「ケニアの三笘」と呼ばれ、人気選手となっている。

そもそも、ケニア行きを決めた理由について、草場は「日本人がプレーしたことがない、話題性のあるリーグでプレーしたいっていうのが一つ判断軸になっていた」と説明。知り合いはもちろん、日本人すらいないケニアのサッカーリーグへの挑戦に、勝村も北澤も驚きを隠せないでいた。

そんな2人が自らカメラを回して、現地の様子をレポート。自宅から徒歩10分の場所に練習場があるジョージアの加賀山は、チームメイトとの練習風景や試合前日の様子などを伝え、サッカー環境や設備が充実していることをアピールした。

片や草場が主戦場とするケニアは、選手たちの練習時のユニフォームがバラバラで、練習場も芝ではなく、砂埃の舞う赤土のグラウンド。これから2連戦だという草場は、バスで敵地に向かうことに。しかし、集合時間になっても草場以外は誰も集まらず、1時間遅れで出発したバスの中では、なぜか同乗していた近所の子どもも交えて、選手たちの大合唱が始まっていた。バスによる片道5時間の移動による疲れもありながら、2日目の試合では草場がゴールを決め、サポーターが入り乱れての大喜び。ケニアならではの祝福スタイルに、勝村も「これはすごい、頼もしくなるよね」と感心していた。

過酷な環境でのサッカーに、草場は「いつ大怪我するかわからないぐらいだったので。“食ってやる”ぐらいのハングリーさがないと、本当にやられてしまう」と主張。リーグのレベルとしてはトップチームが日本のJ3に相当するとしながらも、ケニア人選手の力強さに刺激を受けていることを示唆した。

ジョージアのサッカーレベルは、トップチームがJ1とJ2の間くらいだそうで、加賀山は「かなり縦に速くてアグレッシブ。サイドに速い選手を備えて、速攻でガンガン仕掛けていくイメージですね」と特徴を解説。そのジョージアサッカーを支えているのがワインとチーズだった。ワイン発祥の地とも言われるジョージアではホームメイドでワインを作ることもあるという。所属するチームの食事は栄養面も考えたビュッフェスタイルで、加賀山も「ジョージア人はチーズが大好きなので、みんな結構取ってます」と報告した。

ケニアもチームからランチが支給されるものの、草場は「美味しいのでしょうか?」と懐疑的。実は一度、ケニアの料理を口にして腹を壊した経験があるという草場は、「衛生状況が悪くて、食材自体たぶん1~2週間は置きっぱなし。それでもケニアの人は食べられる。それを“お前、ちょっと食べてみ”みたいな感じで一口もらったら、次の日、病院送りになりました」と、仰天エピソードを披露した。

日本とは異なる環境の中で戦い続ける2人が目指すところはどこなのか。加賀山は「指導者になりたいと思っていて。こういう風に海外でプレーしてきた選手はそれほど多くはないと思うので、そういうところをアンダーカテゴリーにどう伝えていけるのかと考えています」とし、将来的にはヨーロッパの主要リーグの監督を目指していることを打ち明けた。

草場は「アフリカにサッカーをしに来る選手が増えるように、自分がサポートできたらと思います」と、日本とアフリカの架け橋になることが目標だと告白。同時にアフリカでの人材発掘にも力を注ぎたいと明かし、「アフリカ人はすごく能力が高い選手が多い。オルンガ選手がJリーグで活躍していましたけど、そういう人材がたくさん眠っているので、そうした手助けも自分ができるんじゃないかと思っています」と展望を語っていた。

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