『コタツがない家』父親の投資詐欺に息子の進学問題…小池栄子“万里江”はそれでも「幸せ」と前を向く

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『コタツがない家』父親の投資詐欺に息子の進学問題…小池栄子“万里江”はそれでも「幸せ」と前を向く

夫vs舅のバトルって新しすぎる! 10月25日放送の『コタツがない家』(日本テレビ系、毎週水曜22:00~)第2話は、深堀万里江(小池栄子)の夫・悠作(吉岡秀隆)と父の山神達男(小林薫)が一触即発! 父が深堀家に居座るのには理由があって……。

夫vs舅の攻防戦が勃発!

万里江の父・達男が家に来てからはや5日。おいしいご飯もつくってくれるし、掃除もしてくれる。家庭においてなかなかの戦力だ。

舅というと、今まで家父長制にしがみついてきた頑固おやじ像がドラマの大半を占めてきたことを思うと、時代の変化が感じられる。といってもかつては達男もそっちのタイプだったわけで、それ故に熟年離婚されたのだから、自分を顧みた結果でもあるんだろう。でも、それでだけはない。達男、実は投資詐欺に遭ってしまいお金がなく、深堀家にいる選択肢しか今は残っていなかった。はたして再就職先は見つかるのだろうか。

そんな引け目はあっても、悠作のことは気になって仕方がない。普段の堕落した生活を逐一メモして万里江に報告。ミシュランの調査員ばりの密偵っぷりには笑った。達男は悠作の体たらくぶりがどうも気に食わない。

「仕事も家事もしないで遊んでいるような奴は俺に言わせりゃ犯罪者以下だ」とヒモ男の存在価値をきっぱり否定。万里江の元カレのパイロットをいまだに評価しているあたり、達男は男の価値をお金をたくさん稼げる「仕事」で計っているようだ。

悠作はそんなこともつゆ知らず、隣の家の男の子とラジコン遊び。編集者の土門幸平(北村一輝)はそんな悠作に、やれ離婚までの話を描け、やれ舅との共同生活を描けと、けしかけ続けていた。実体験漫画はリアリティがあって人気だし、テーマとしてもおもしろいし、結構敏腕編集者かも。

悠作は頑なに描かないと言うけど、これらのアドバイスは今後効いてくるはず。頭の片隅に家族を漫画にする案があることで、より深く家族を観察するようになるのでは? と期待している。そうすればこの家に潜むいろいろな問題を悠作も自覚できるようになるかもしれない。

「幸せ」とちゃんと口にできる万里江の強さ

食卓でのゴングは今回2回鳴った。1回目は、お好み焼きを囲んでいる最中。発端は息子・順基(作間龍斗)の指定校推薦を断る宣言。受験勉強もしてこなかったくせに、もっといい大学を目指すってどういうこと? 浪人前提で話しているところもびっくりする。これは万里江が怒るのも無理はない。

志望校は慶應らしいけど、何か狙いがあるのだろうか。まさか! 櫻井翔のような慶應卒の「高学歴アイドル」の肩書を狙っている? アイドル戦国時代、それも武器の一つには十分になりえる。だとすれば順基はまだアイドルを諦めていない? という淡い期待を抱いてしまう。

「アイドルになるのきっぱり諦めて一流の大学目指す息子と、言われた通り推薦の大学行った後もしつこくアイドル目指す息子、どっちがいい?」と順基は究極の2択を出していたけど、いや頼む。アイドル目指してくれや! まぁ人生の岐路でなにを選択したらいいのか、揺れていることだけはわかる。とにかく順基、君はアイドルを目指すのが正解だから信じて突き進んでくれ!

息子への不安要素を少しでも減らしたい万里江は「推薦で行ってくれたらこの先ああしろこうしろ一切言わない」と説得していたけど、順基どうする? 今回は結論先延ばし。

第2のゴングは手巻き寿司。ネタは万里江と悠作の結婚話だった。達男は反対だったと言うし、悠作は結婚したくなったと言うし、カオス状態。でも、思わず飛び出す達男と、追いかける万里江が得た親子の時間は特別なものだった。

「お父さんが思っているより幸せだから安心して」。娘の口から出た「幸せ」という言葉、どんなに嬉しいことだろう。悠作のことをフォローする万里江の言葉に、ちょっと微笑んだ表情をしていた。

万里江は、母の貝田清美(高橋惠子)にも悠作のことを「付き合って居心地がよかった」と言っていたし、なんだかんだ今の生活に充実感を感じているよう。今や大黒柱は男だけに課せられたものではなく、家族の誰がなってもいい。これは『わたしのお嫁くん』でも掲げていたテーマだった。こういうテーマ設定の積み重ねが、人々の意識をちょっとずつ変えていくんだろう。現実には男女の賃金格差も問題もあるけど、家庭の共同経営者である夫婦二人が納得していればどっちが稼いでもいいと思う。

「ん〜、幸せ」。ガパオライスをランチで食べながら、つぶやく万里江。「幸せ」ってちゃんと口に出せる人は強い。まだまだ問題山積みだけど、深刻になるのが一番良くないから。美味しいものを食べて幸せだって思えるくらいの心持ち、私たちもほしいものです。

毎日食べるランチから、進学、就職、結婚まで。人生って選択の連続だ。だからこそ、あのときああしていたら……なんて思うことだらけなのは間違いない。でも、ベストな選択じゃなかったとしても、選んだ道に間違いはなかったと思ってやっていくしかない。万里江をみていると、そう思えてくる。

(文:綿貫大介)