『真夏のシンデレラ』恋を取って駆け出せ、現代のシンデレラたち!森七菜“夏海”・吉川愛“愛梨”・仁村紗和“理沙”に幸あれ

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『真夏のシンデレラ』恋を取って駆け出せ、現代のシンデレラたち!森七菜“夏海”・吉川愛“愛梨”・仁村紗和“理沙”に幸あれ

それぞれの恋の行方を刮目せよ!『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)9月18日放送の最終話は、蒼井夏海(森七菜)と水島健人(間宮祥太朗)が破局? そして滝川愛梨(吉川愛)、小椋理沙(仁村紗和)の恋の結末は? と、要素がてんこ盛り。これを見なくちゃ、今年の夏を終えられない!

愛梨と理沙が選んだ恋の顛末

あわや夏海が交通事故に? という終わり方だった前回。牧野匠(神尾楓珠)がかばったことで夏海は無事だったが、匠は足を骨折。このままでは大工仕事はもう難しいとのこと。

「夏海ごめん、近くにいてほしい」と匠。このタイミングでそれを言うのはズルい……と思いながらも、それほど匠の心も弱っているということだろう。

「うん、一緒にいる」と夏海。一緒にいるっていつまで? どういう意味? 関係性は恋人に変わるの? といろいろ気になる。

もちろん健人は、その会話を聞いてしまう。夜、夏海と健人は話すことに。まず事故について「夏海は悪くない」と言ってあげる健人。そうだね。でも、それでも自分が悪いという夏海。どこまで自己犠牲型のヒロインなんだ! この性格を変えてあげるにはやはり、夏海をちゃんと肯定してあげ続けられる人間(=健人)が近くに必要だと思う。

どう考えても信号を無視して横断歩道につっこんできた車が悪いし、今後の展開が刑事ドラマになってでもいいからちゃんと犯人が捕まったか追ってほしいぐらい悪質な事故なんだよ、これは!

「別れたいってこと?」「うん」「それが夏海の本当の気持ち?」「うん」。二人とも目がうるんでいるこの状況は悲しい。その言葉は嘘だとわかっているのに、意思として受け入れるしかない。

最終話でメインカップル破局の状況、どうする? とその前に、ほかの人達から見ていこう。早川宗佑(水上恒司)は上司から転勤の打診が。地方の医師不足はたしかに問題だけど、そうなるとこの町はやはり都会と対比されるほどの田舎ではなかったということか。

宗佑ぐらい熱い男だったら、行くに決まっている。宗佑は理沙に一緒に行こうとプロポーズを交えながら誘うが、理沙は息子の春樹(石塚陸翔)の育つ環境を優先しこの町に残ると返事。

気持ちは通じ合っている二人。いつか会いに行くと約束を交わしてハグをしていた。遠距離ではあるが、どうか続いてほしい。今度はきっと、医者を目指す春樹が二人の仲をつないでくれることだろう。

そして愛梨に告白した山内守(白濱亜嵐)は、やはり振られたよう。佐々木修(萩原利久)に「お互い傷を舐め合おう」と言っているけど、どこか楽しそう。振られることはわかっていたのだろう。だって愛梨と修のアシストを相変わらずしてくれている。

愛梨のもとに走った修(走り方の拙さが修らしい。まさか修、人生で初めて走った?)は、愛梨のスタイリスト合格をお祝いし、再び告白。無事復縁する運びとなった。順番を無視したほっぺのキスで、修の固い頭も少し柔らかくなっただろうか。

「恋を取って駆け出す」ことを決めた夏海と健人

「ただの罪悪感で一緒に居てくれるなら帰ってほしい」。匠、ついにそれに気づいたか。夏海を縛り付けても、傷つくのは匠なんだよ。それにこのまま自分を責め続ける今の夏海は、幸せとは程遠い場所にいる。

夏海の幸せを優先するなら、夏海を解放すべきだ。「最強の幼馴染」。そういう関係でいるのが、二人にとっての幸せの形なのかもしれない。

夏海は健人からもらったビーサンのまま、走り出した。これでこそ月9のヒロイン! 行け、真夏のシンデレラ!

一方、健人も自分自身に向き合おうとしていた。「自分の人生を生きてみたい」「夏海と一緒にいたい」と父親に宣言しにいったのだ。それでは会社を継がせられないという父の言葉に、これ会社を辞める流れか? と思ってヒヤヒヤしたが違った。

自分の人生を諦めることなく、両親の期待にも応えたいという健人。一兎ではなく二兎を追う選択、いいと思う。ここで反旗を翻して会社を辞めても、きっと健人は幸せになれない。建築士としての夢を追いながら恋愛的な幸せもゲットする。それぐらいのことを「東京の男」として要領よくやってみせてくれ!

それに対する父の返答は、諦観なのか悲観なのかわからない「好きにしろ」。これにより、健人は親の呪縛から解き放たれた。そして会社を出て夏海に電話を入れると、そこには夏海の姿が。

東京のウォーターフロントは、夏海が住む町の浜辺に匹敵するほど素敵な、恋を盛り上げる舞台装置だ。二人は改めてお互いの気持ちを確かめ合い、互いに必要な存在だと気づく。第1話から前回まで、今作は象徴的なシーンでは雨が降っていたが、ここでやっと「雨降って地固まる」となったよう。

その後、夏海にもちょっとした変化が。夏海の父・亮(山口智充)と海斗(大西利空)は家事を分担してくれるようになった。これにより夏海の母親代わりという呪縛も少しは解き放たれることだろう。そもそも母親は家族の世話をなんでもする存在ではないと気づけただろうか。

シンデレラを現代に焼き直すのであれば、こういう自発的変化は必須。王子がすべてを救う物語ではなく、各人が自力で問題に気づき、成長する物語でないと。このシーンがあってよかった。

なんだかんだいって、夏海と健人には海が似合う。夏の海はすべてをスローモーションにしてしまう。夕日が沈む前の海辺での最後のキスシーンは、まさにこのドラマのラストにふさわしかった。

「それでもふたりは恋を取って駆け出した」。緑黄色社会の主題歌にあるように、恋を駆け抜けた3か月だった。夏の気分を後押しする恋愛ドラマってやっぱり必要だと思う。来年の夏もこういう作品があることを願いたい。

(文:綿貫大介)