『みなと商事コインランドリー2』記憶喪失で草川拓弥“湊”を思い出せない西垣匠“シン”、甘いクッキーは涙の味

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『みなと商事コインランドリー2』記憶喪失で草川拓弥“湊”を思い出せない西垣匠“シン”、甘いクッキーは涙の味

『みなしょー』でこんな展開が待っているとは。9月6日放送の『みなと商事コインランドリー2』(テレビ東京系、毎週水曜24:30~)第10話は、シンこと香月慎太郎(西垣匠)が記憶喪失に。湊晃(草川拓弥超特急)は恋人関係であることを告げることなく接するが、それはそれは見ていて切ないもので……。

シンに忘れられてしまった湊

湊のことだけ忘れてしまうなんて。シンは妹の桜子(豊嶋花) 、英明日香(奥智哉)、佐久間柊(稲葉友)のことは覚えているのに、湊のことだけ会ったことがあることすら覚えていない。

どうやら頭を打つと特定の記憶を失うことがあるよう。明日香のいう「キスすれば思い出すんじゃない?」は、少女漫画脳を持つ者たちみんなが同意。自分だって同じアドバイスをしてしまいそうだ。

それでも、シンとの恋人関係を黙っていてほしいと告げる湊。「覚えてもいない相手が恋人だなんて余計混乱する」と、シンの気持ちを考えてのことらしいが……自分のためのように思えてならない。まだどこかで、こんなアラサーがシンの恋人だなんて無理があると思っているのではないだろうか。

そんな湊の自己肯定感をいつも上げてくれる存在がシンだったのに、今はそれがない。湊は現在、「アンパンマン」でいうところの「顔が濡れて力が出ない」状態なのだ。

「ただの面倒見のいいコインランドリーの店主で、去年仲良くなって、とっても優しいお兄さんみたいな存在だった」と自分のことを説明してくれという湊。かいつまんだ上で希釈するとそうなのかもしれないけど、一番肝心な「恋愛」部分がすっぽり抜けている。

パーティーの後の部屋に一人で戻るのは人生において寂しい瞬間の一つ。湊、どんな気持ちで幸せだったシンの誕生日の余韻と対峙したのだろう。二人の名前を名彫りしたペアバングルも、今は一人で見つめるしかできない。

その後、本当に甲斐甲斐しく面倒見のいいお兄さんを演じる湊。「ようシン!」のお決まりの言葉から始まり、いろいろな世話を焼いてくれる。不器用だけど、優しいのが湊だ。

ただ、退院したシンは実家に戻ることになる。一緒に暮らしていたことも「ルームシェア」で、リフォームの間だけという説明は間違っていないのかもしれないけど、真実ではない。

シンが撮ったカメラのデータフォルダをどんな気持ちで見つめていたのだろう。とりあえず、消去はしていないようでよかった。これはシンの財産だから。

記憶を取り戻す秘策はトリプルデート?

湊は佐久間孝之(福士誠治)にシンのことを相談。「大切な人の記憶は大切な引き出しにしまっておきたいもの。今はそこにカギがかかってしまっただけ」という先生の言葉が胸に響く。

その様子を遠目で眺めるシン。あとで先生にだけ声をかけて、湊との関係を聞くのはデジャブすぎる。まさかシン、初恋を自らやり直そうとしている……?

湊がコインランドリーに戻ると、シンからのお礼の紙袋が。中に入っていたのは手作りのクッキー。初めてのお礼もそうだったね。そして湊が甘いものが苦手なのを覚えてないシンが作ったクッキーを食べる湊。「あめぇんだよ……」と漏らす悲しそうな顔が切ない。

湊はシンの好みを知っている上で差し入れをしていたけど、シンは湊の好みを忘れてしまっている。その対比がつらかった。

シンがアジフライをつくるシーンも、「湊さんに持って行ってあげたら?」の桜子の言葉に「なんで?」と返してしまうところがしんどかった。アジフライは湊の大好物だからだよ……! でも無意識につくっているのは何かを思い出そうとしているからか?

見かねた桜子は明日香に相談。二人で湊の家に乗り込むことに。それでも湊は頑なに恋人関係をシンに告げようとはしないでいる。

「好きなら好きって言えよ。晃さんの気持ちってそんなもんだったのかよ」。明日香の言葉は視聴者の代弁。サンキュ。それに対して「大好き」の涙がこぼれてしまう湊。これが記憶のあるシンの前で言えていたら、どんなにシンは喜ぶことだろう。

湊の涙に対して明日香の「よしわかった、みんなでデート行こ!」は飛躍がすごすぎて一瞬フリーズした。みんなの「きょとん」がすぎる。よくわからないが湊とシン、明日香と柊、桜子と彼氏のトリプルデートを実行。ここでシンの記憶を取り戻そうというのだ。

安心感のあるいつもの平和なBGMがやっとここで聞けた。これだけで気持ちがちょっと明るくなる。そして桜子と明日香の下手な演技により、トリブルデートは早々に解散。湊とシンは二人きりに。

さぁ湊、どうする? 次回、“シンみな”デート回。期待して待ちたい。

(文:綿貫大介)