『VIVANT』堺雅人“乃木”は二重スパイ?明らかになるテントの実態

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『VIVANT』堺雅人“乃木”は二重スパイ?明らかになるテントの実態
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乃木憂助(堺雅人)の裏切りにより大きく事態が進展した日曜劇場『VIVANT』(TBS系、毎週日曜21:00~)。第8話ではテントの活動実態が描かれたが、乃木の真意は一体どこにあるのだろうか。

乃木はあえて弾を外した?

乃木という男の素性が読めない。もともと別人格の「F」を持つ二重人格者ではあるのだけど、「F」ではない乃木自身のときも、場面によってなんだか印象がずいぶん変わる。

たとえば、第8話の冒頭。ノコル(二宮和也)に銃を渡され、黒須駿(松坂桃李)の射殺を命じられたシーン。乃木は見るからにひどく動揺していた。しかし、一般人ならさておき、自衛隊の中でも超エリートだけが選抜される別班の一員ともあろう者が、たかだか仲間ひとりを撃つことにあれほど狼狽するだろうか。

現に、高田明敏(市川笑三郎)ら他の別班のメンバーを発砲したときの乃木は眉ひとつ動かさなかった。多少黒須との付き合いは長くても、別班はそんな情に流されるほど甘い集団ではないはずだ。

実際、ポリグラフをかけられて尋問をされたときも、精神的な動揺はほとんど見られなかった。突然ノコルにナイフを突きつけられたときでさえ、わずかにグラフが揺れただけ。それほど強い精神力の持ち主である乃木が、あの銃のシーンだけわかりやすくうろたえているのには違和感がある。

黒須に銃を向けたときのあの不自然な取り乱し方は、テントに取り入るための演技だったのではないだろうか。

その後の展開を見ても、まるで乃木の思惑通りに事態が進んでいる。知能テストで圧倒的な成果を出した乃木は、テントの裏帳簿を入手。テントの収支データという超重要情報を知ることとなった。さらに、手にしただけで物の重量がわかるという特殊スペックを用いて、孤児院の不正を見抜いた乃木は、ノゴーン・ベキ(役所広司)の信頼を勝ち取り、ノコルの右腕の地位を得た。驚くほどのスピードでテントの内部に入り込んでいる。

逆に言うと、テントを瓦解させるだけの情報を乃木は手中におさめつつあるということだ。もしも乃木が二重スパイであり、別班を裏切ったようかに見える行動もすベてテントの実態を掴むためのものだったとしたならば、テントは今や乃木に丸裸にされつつある。

はたして乃木は本当に裏切り者なのか。個人的な予想を述べるならば、やはり乃木は二重スパイなのだと思う。乃木ほどの射撃能力がありながら、黒須を撃った弾が外れるということは考えにくい。あれは、わざとと見ていいだろう。

しかも、ノコルの交換した銃には弾丸が1発しか入っていなかった。手にしただけで物の重量を見極められる乃木なら、弾倉の残弾数くらい簡単にわかるはずだ。つまり、あのとき、乃木は渡された銃に弾が1発しか入っていないことを知っていた上で、あえて外した。最初から黒須を殺すつもりなどなかったのだろう。

おそらく残る別班のメンバーも生きていると考えられる。確かにテントの盗撮した映像では、棺におさめられて日本へと搬送されていた。が、そこで立ち会っていたのは、あの野崎守(阿部寛)である。前回、乃木から「あなたは鶏群の一鶴 眼光紙背に徹す」という言葉を託された野崎は、そのメッセージの意味を理解した。その上で、テントを欺くために、わざと別班メンバーが死んだように見せかけた、と考えた方がしっくり来る。

乃木と野崎は見えない共同戦線を張って、テントを追いつめようとしているのではないだろうか。

最後に相手を欺くのは、父か息子か

ただ、テントもテントで真意を測りかねるところがある。たとえば、なぜ黒須を生かしているのか。テントからすれば、いつ自分たちの寝首をかくかわからない野犬を飼っているようなもの。乃木の忠誠心をテストするために捕虜にしたところまではわかるが、用済みとなったなら始末すればいい。それをわざわざ保護していることにはなんらかの意図があるはずだ。

ベキ自身、乃木卓という日本の名前は捨てたものの、伝統的な日本思想は今も色濃く残っている。裏切りを嫌うというのは、その典型だろう。実の息子と名乗りを上げた乃木となかなか接触しようとしなかったのも、乃木が別班から寝返った裏切り者だったからだ。それほど裏切りを忌み嫌うベキが、あっさりと乃木を許すだろうか。ノコルの会社に乃木を入れたのも、監視的な意味合いがありそうだ。

もし乃木がテント壊滅のためにベキに近づいたとしたならば、いずれ乃木とベキが対峙する場面がやってくるはず。血のつながった親子の直接対決。この敵と味方が交錯する騙し合いのようなドラマのクライマックスは、きっとそこだろう。そのとき、最後に相手を欺き、勝利の笑みを浮かべるのは、父か息子か。堺雅人と役所広司という二大名優のぶつかり合いが待たれる。

一方、血のつながった息子の出現により、ノコルの立場は一転して微妙なものに。日本的家族観からすると、後継者は次男より長男。しかも、ノコルはベキとは血がつながっていないと言う。ならば、遠くない未来、ナンバー2の座を乃木に奪われることはじゅうぶん考えられる。当然、ノコルからすると面白くないだろう。

また、単に権力争いというだけでなく、父からの愛を奪われるという点でもノコルは乃木に嫉妬心を抱いているように見える。この複雑な兄弟の確執が生むのは争いか、それとも新たなる共闘か。

いよいよ物語は佳境へと突き進んでいるが、今のところどんな決着を見せるのか想像もつかない。乃木は最後まで無事に生き残ることができるのか。この大冒険の行方は、まだ誰も知らない。