3年半ぶりに「マジ歌ライブ」開催!佐久間Pが語るターニングポイントと現在地

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3年半ぶりに「マジ歌ライブ」開催!佐久間Pが語るターニングポイントと現在地
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テレビ東京の人気バラエティ『ゴッドタン』の「マジ歌ライブ」が帰ってきた!

9月21日、同番組の人気企画「芸人マジ歌選手権」の生ライブ『ゴッドタン マジ歌ライブ2023 ~マジオールスター歌謡祭~』が、さいたまスーパーアリーナで開催されます。

3年半ぶり10度目となる本ライブ。マジ歌シンガーの日村勇紀バナナマン)さん、角田晃広東京03)さん、秋山竜次ロバート)さん、後藤輝基フットボールアワー)さん、岩井勇気ハライチ)さん、バカリズムさん、劇団ひとりさんらが、アーティストの聖地で「マジ歌」を披露します。

今回、プロデューサー・演出を務める佐久間宣行さんにインタビューを実施。ライブのことはもちろん、民放公式テレビ配信サービス「TVer」で配信中の第19、20回の「芸人マジ歌選手権」についてもお聞きしました。

売れっ子芸人の“歩み”を追える魅力

――2020年2月にさいたまスーパーアリーナで開催された前回の「マジ歌ライブ」の振り返りからお願いします。ちょうど、コロナが流行しはじめたときでしたね。

(マジ歌ライブの)翌週か翌々週の東京ドームでやるはずだったアーティストのライブが、直前で中止になったのを覚えているので、本当に最後の大規模興行だったかもしれないですね。

――その中でも、1万7000人を動員しました。会場について驚きはありましたか?

「マジ歌」に関しては、一足飛びではやっていないんですよ。最初は日本青年館ホール(2009年)で1000人から始まって、渋谷公会堂(2013年)、東京国際フォーラム(2015年)、日本武道館(2017年)、横浜アリーナ(2018年)とか……なんていうか、地道にライブをやっているロックバンドのような育ち方をしているんです(笑)。国際フォーラムで演出方法をガラッと変えて、そこからの積み重ねなので、ビックリはしなかったですけど、“広いな”とは思いました。

――どのような演出に変えたのですか?

肉眼で分かるコント的な笑いは伝わらないなと思いました。国際フォーラムから「マジライブ」の要素を取り入れて、次にやった武道館で新しい方向が見えたって感じです。

それまでは、おぎやはぎとバナナマン設楽さんがマジ歌の人たちをプレゼンして、それを見た観客のみなさんが笑う構図だったんですけど、今はマジ歌の芸人と観客が一体となっていて、その現象自体をおぎやはぎとバナナマン設楽さんがツッコむという構図。観客の立ち位置が変わったというか……武道館あたりから「観客が参加者」になった感じですね。

――今回、コロナでの休止期間を乗り越えてのライブとなりますね。

前回は、エンタメが閉まる直前だったので、やれたのがラッキーだったとはいえ、全員マスクをしていたんですよ。その中でもよく笑ってくれた方だとは思うんですけど、それでもやっぱり声出しは気を遣っていて……。今回は、みんな気持ちよく笑えるんじゃないかなと思うので、楽しみですね。

――今年のマジ歌ライブ開催決定を受けて、演者の反応を教えてください。

とにかく後藤さんが、めちゃくちゃやる気です。後藤さんには、後藤さんのやりたいことがあるので、僕は演出に関わっていなくて。報告を聞いているだけですが、まあスゴいです。

――またギターにお金がかかっていそうですね。

それもかかっているし、後藤さんの演出だけで(予算を)結構取られちゃう。力が入っています(笑)。

――個人的に注目しているアーティストは?

秋山が毎年エグいんですけど、この2、3作、本当にヒドい歌を歌っているんですよ。それをライブでやるんで……(笑)。どうライブで再現するのか、楽しみにしてほしいなと思います。めちゃくちゃ面白いです。

――佐久間さんは、どういったかたちでライブに携わるのでしょうか?

今回のライブだったら、お正月に「セットリスト」という名の軽い台本まで作っちゃうんですよ。この曲をこの順番に並べて、こんな演出を少し入れる……という叩きを作って、担当ディレクターに振り分けます。

僕が直接担当するものもありますが、それぞれ芸人に当ててもらって、芸人がやりたいことと、こっちの演出プランをすり合わせていく。芸人がやりたいことがあるなら、そっちにお任せしてもいいと思っているので、僕の演出プランが 7で芸人が3の時もあるし、僕のプランが1しか残らないときもあります。

――マジ歌ライブを制作する際のこだわりを教えてください。

「芸人が本気の芸を見せている」が肝だと思うので、芸人が後悔のないように、というか。ウケようが、スベろうが、自分のやりたいことをやっている、というのがお客さんに伝わればいいなと思っています。僕はその舞台を用意して、 周りを固める感じですね。だから、中身のコアは全部芸人に任せています。

――毎回、裏方としてライブを支える中で、マジ歌ライブの醍醐味や手応えはどのように感じていますか?

彼らは芸人として売れきっているので、そこでの感慨というのは、横アリ、たまアリくらいで終わっていて。ここからは、「こんなに売れているのに、くだらないことをやっている」みたいな時期に入っていくんじゃないかなと思いますね。あんなに売れきっている人たちなのに、付き合ってくれるのがありがたいな、という気持ちです。

――ここまで、マジ歌ライブが集客できるようになった要因は何だと思いますか?

いくつかのポイントがあって。芸人側が「本当にいい曲を歌いたい」という気持ちに変わったことで曲のクオリティが上がったこと、劇団ひとりの特殊メイクでキャッチーな爆発力を手に入れたこと、角ちゃんのバンドに(元マネージャーの)大竹くんが入って、この企画でしか見られないスターが生まれたこと、とどめに後藤さんの登場っていう……この企画が何段階にも化けたのをリアルタイムで感じられたことですかね。

最初はパロディ企画みたいなところもあったんですけど、みんながどんどん「マジ」に近づいて完成した上に、めちゃくちゃ実力者の秋山とかバカリズムのネタ、岩井のドキュメント性が加わった。それぞれの芸人人生のいろいろな時期を提供してくれたのは大きいんじゃないかな、と思います。

――佐久間さんの中で記憶に残っているライブを3つ教えてください。

1つ目は、3.11のあとの『まさかのマジ歌フェスティバル in Zepp Tokyo』(2011年)。大地くん(ダイノジ)の「バイト行きなさいよ」の歌で、満員のお客さんが手を振っているのを見て、グッときたことです。

2つ目は、『ゴッドタン マジ歌ライブ2014in中野サンプラザ』ですね。劇団ひとりが、阿藤快フランケンでミュージカルを完成させたのがスゴいなと思いました。

あとはやっぱり、第1回の日本青年館ですね。当時「芸人が歌を歌うライブがチケット6000円で、1000人以上も集まるわけがない」と言われていたんで……。それはそうじゃないですか。でも、チケットが売り切れて、日村さんがステージに立ったとき「ワー!」って盛り上がったんですよ。盛り上がりすぎて、おぎやはぎが笑っちゃったっていう。あのシーンですかね。

――作り手側として、ライブを提供し続けられる原動力は何なのでしょうか?

ライブ会場で、あれだけたくさんの人が笑っている姿を見ることって、多分ないと思うんですよ。爆笑するサイズとしては、日本でも1番か2番の数じゃないですか。その興奮というか、ドーンって笑った時の痺れみたいなものは何物にも変え難いですよね。それを芸人のみなさんに味わってほしいのもあります。

――マジ歌のようにイベント化してみたい企画はありますか?

いつか、両国国技館か後楽園ホールで「西野亮廣キングコング)VS劇団ひとり」をやりたいです(笑)。

佐久間Pが「マジ歌選手権」を振り返り!

――現在、TVerでは、「芸人マジ歌選手権」の19回、20回(最新回)が配信中です。それぞれ振り返っていただいてよろしいでしょうか?

19回は、コロナもあって本当に「どうしよう」と思いながら撮ったのを覚えていますね。ステージに上がる人数、出演者の距離、リハーサルもみんなマスクをつけて少人数で準備したので、とにかく開催できたことと、当日誰もコロナの陽性者がいなくてよかった……と思いながら帰りました。

ネタに関しては、日村さんのマイケルダンスが、めちゃくちゃ面白かった。日村さんって、パフォーマンスをする人として超一流だな、と思ったのと、あとは、街のスタジオで、後藤さんと本番2日前くらいまで、曲を詰めたのを覚えています(笑)。

――20回はいかがでしょうか?

19回は飛び道具で作ったんだけど、(20回は)まだコロナもあったから、シンプルに「曲」に注力して、ゲストも減らしたんですよね。日村さんもストロングスタイルで作ったし、角ちゃんも大竹くんと2人だけ。ハライチも結局ゲストを入れないとか、「本人たちが頑張る」というところを目指してやっていました。

――コロナもあったことで、逆に原点に戻ったんですね。

そうですね。それでもちゃんと面白くしてくれたんで、嬉しかったです。

――20回では、ひとりさん扮するカッパと飯塚悟志(東京03)さんの尻子玉のやりとり(ひとりさんのお尻に飯塚さんが……という爆笑と悲鳴をかっさらったシーン)があったと思うのですが、ライブではどうされるんですか?

多分どこかでやるけど……どうしようかなと思って。お客さん全員に誓約書を書いてもらうとか(笑)。カメラワークを入念に考えてやると思います。

――19、20回は、ライブ前に見ておくには最高のコンテンツですね。

そうですね。小ネタを全部覚えてもらっておいたほうが、何倍もライブを楽しめると思います。

――改めて、3年半ぶりのライブの見どころや思いを聞かせてください。

1万人以上のみなさんの前で、今や「全員MC」という人たちが、全力でネタを作って勝負してくれる現場を、僕は観客として一番楽しみにしています。「マジ歌ライブ」は、お客さんが盛り上がって、それをおぎやはぎ、バナナマン設楽さんが笑っちゃうことで完成するので、その瞬間に立ち会ってほしいですね。

あと、マジ歌アーティストがMCクラスになるのは分かっていたんですけど、まさか(アシスタントの)朝日奈央野呂佳代まで売れちゃったんで(笑)。よくスケジュールが合ったなという。売れていない人がいないって、ちょっとビックリしていますね。

(取材・文・写真:浜瀬将樹)

■『ゴッドタン マジ歌ライブ2023 ~マジオールスター歌謡祭~』

開催日時:2023年9月21日(木) 19時開演
会場:さいたまスーパーアリーナ

【チケット情報】
S席9,000円 / A席8,000円(全席指定・税込)
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=493473

<ライブ配信チケット>
¥3,300円(税込)
※アーカイブ配信期間:2023年10月10日(火)23時59分まで
https://l-tike.zaiko.io/e/god2023

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