『VIVANT』テントは「悪」ではない?乃木とベキをつなぐ共通の思想

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『VIVANT』テントは「悪」ではない?乃木とベキをつなぐ共通の思想
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謎が謎呼ぶ日曜劇場『VIVANT』(TBS系、毎週日曜21:00~)。第6話は、乃木憂助(堺雅人)の心にある空洞が浮き彫りとなった。

「F」は「Friend」の「F」なのだろうか

愛国のダークヒーロー・乃木。その強い愛国精神は何から生まれたのか気になっていたけれど、彼がこれだけ国を思うのは、人に対する愛を知らないからだった。

幼くして両親と別れ、過酷な幼少期を過ごした乃木は、愛というものが何かわからない。守るべき家族がいない乃木にとって、自分の命を賭してでも守りたいと思えるものが、国だった。彼の愛国精神は、その血に人間らしい感情が流れていることの証明と言えるものだった。

「F」という別人格が生まれたのも、強い自己否定から逃れるため。「F」は、孤独な少年だった乃木にとって初めてできた友達。ある意味、イマジナリーフレンドのような存在だ。そう考えると「F」は「Friend」の「F」なのだろうか。一見すると人当たりのいい乃木だが、その内心には想像以上の孤独を抱えていた。

柚木薫(二階堂ふみ)は、そんな乃木のミューズ。薫とジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)に献身を尽くすのも、家族を守りたいという父性的な感情からだった。薫も、乃木に好意を寄せるようになるが、なんとなくこの流れには引っかかるものがある。

ついこの間まではどちらかというと野崎守(阿部寛)に関心を寄せていた薫が、どこで気持ちが傾いたのか。「乃木さんのこと、もっと知りたくなったじゃないですか」という台詞は愛の言葉のように聞こえる一方、どこか空々しい。「乃木さんにはいつも助けてもらってばかりで、私も何かお返ししたいと思っていたんです」と乃木を見つめる薫の目は、蠱惑的のようで、なんだか別の思惑が垣間見える。

ここで薫が乃木にすり寄るのには、何かしらの策略めいたものを感じずにはいられない。薫はただの聖母なのか。あるいは乃木の足元をすくうジョーカーとなるのか。引き続き注視が必要なキャラクターだ。

また、少年・乃木を救った戦場ジャーナリストの名前は飯田であることが判明。今のところ主要人物に該当する名前はいない。今後、この飯田という人物は本筋に関わってくるのか。それともただの引っかけか。飯田という人物の行方も気になる。

乃木が愛国なら、ベキは憂国のヒーローか

テント側の動向も徐々に明らかになってきた。今回は、組織の資金を横領していたメンバーを、衆人環視の中、制裁するシーンが。ノゴーン・ベキ(役所広司)が振るったのは、日本刀。日本の名を捨てたベキだが、その心には、客人に対して茶を立てる乃木と同様、国への誇りが今もなお息づいているように見える。

次々とテロを仕掛けている(とされる)テントだが、彼らを「悪」と一刀両断するのは早計な気がする。裏切り者は許さないベキと、アリ・カーン(山中崇)の命は救いながら、国を売った山本巧(迫田孝也)については容赦なく粛清した乃木。敵対する立場のようだが、根底にある考え方はかなり近いように思える。

乃木が日本を守りたいという一心で別班として活動しているように、ベキもまた日本を救いたいという気持ちからテントを立ち上げたのではないだろうか。強いて言えば、乃木が愛国の士ならベキは憂国の士。立場は違えど、どちらも国を思う気持ちが引き金となっているとしたら、そう簡単に善悪は決められない。

半沢直樹』をはじめ、勧善懲悪が福澤克雄の持ち味。しかし、今回はもう少し善悪の入り混じった複雑な構図を敷いているように見える。「正義の反対は悪ではなく、また別の正義」というのは使い古されたフレーズだが、別班VS公安VSテントの三つ巴はまさにそれぞれの正義のぶつかり合いとなっていきそうだ。

たぶん竜星涼は尾行に向いていない

一方、公安サイドの野崎はというと、ここ最近は乃木にいいようにやられっぱしの展開が続いている。今回も、別班の協力者となった天才ハッカー・太田梨歩(飯沼愛)の根城まで突き止めながらも、決定的な証拠を掴めず煙に巻かれた。

どうでもいいけど、あのアパートって賃貸なのだろうか。あれだけ豪快に壁をぶち抜かれていたら、さすがに大家さんも訴訟を起こすレベル。手段を選ばないにも程がある。

今のところ野崎はニタニタと笑っているか、チャーミングにウィンクするかしかしていない。阿部寛をこのままかませ犬で終わらせていいはずがないだろう。そろそろ野崎の反撃も見たいところ。

ただ、国を守るという意味では別班も公安も志は同じなわけだから、乃木の尻尾を掴んだところで、はたして敵対関係になるのかはわからない。それこそバルカ共和国から脱出を試みたときのように、再び共同戦線を張ることだってあり得る。今後、乃木にとって野崎がどういう存在になっていくのだろうか。

とりあえず竜星涼を尾行にまわすのはやめた方が良くない? ひとりだけスタイルが良すぎて人混みの中でも目立ちまくっている。もうちょっと群集にまぎれられる容姿をした人を公安は調達してきた方がいいと思います!