Jリーグ6代目チェアマン・野々村芳和の挑戦!サッカーを魅力的な“作品”にするための改革案に注目

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4月2日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、Jリーグチェアマンに就任した野々村芳和がゲスト出演。スタジオではMCの勝村政信や解説の都並敏史らと日本サッカー界の未来について、トークを繰り広げた。

1995年に慶應義塾大学からジェフユナイテッド市原に加入した野々村は、2000年にコンサドーレ札幌に移籍。翌年、29歳で現役を退いた後は、解説者などを経て、2013年に株式会社コンサドーレの代表取締役社長に就任した。社長時代は自ら広告塔となり、テレビやラジオに出演。過去には、同番組にもアジア戦略の第一人者として登場している。

そんな野々村が3月15日に前任の村井満からバトンを受け取り、6代目のチェアマンに就任した。元Jリーガーのチェアマンは史上初で、49歳という年齢も史上最年少。勝村や都並から拍手でスタジオに迎えられた野々村は、まずチェアマンとしての自身の方針を語る。

ビジネスでJリーグを飛躍させた村井の考えを継承しつつも、サッカーに基軸を置くことを明言した野々村は「原則としてフットボールが一番大事だということをみんなで認識しなきゃいけない時期」と言葉に力を込めた。

そのために掲げたのが「サッカーを作品に」というキーワード。野々村は、マーケティングがいくら成功しても、軸となるサッカー自体が不出来であれば売上を伸ばすことはできないと断言。サッカーを“作品”として捉え、その完成度を上げることが、ファンを増やすことにつながるのだと話す。

そして、魅力的な“作品”を共に作り上げるための布陣にもこだわった。Jリーグの理事には、新たに森島寛晃宮本恒靖中村憲剛内田篤人といったレジェンド級の元日本代表OBが就任。野々村は、サッカーに対して持っている全員の意見をかけ合わせることができれば、いい結論が出せるとし、「Jリーグには何が大事かというのをサッカー面でもビジネス面でも地域貢献面でも持っている人たちなので、それを活かしてくれればいいと思います」と期待を寄せる。

また、作品づくりには“選手ファースト”という視点も欠かせない。野々村は真夏と真冬の試合では、ほぼ全ての選手がコンディションという面では真冬を選ぶという意見を基に、「夏にたくさん試合をやらなくてもいいようなスケジューリングは絶対に必要になってくる」と指摘。一方で、東北のベガルタ仙台で監督経験のある都並が真冬に練習や試合を行うことの大変さについて訴えると、寒さ対策や大雪対策の案を出しながら、「現実的に今はできなくても、将来的にできたほうがよくないですか、というのは僕の中にあります」と返した。

さらに、改革のためのキーワードとして「サッカー脳で考えるビジネス戦略」を提示。北海道コンサドーレ札幌の社長時代にアジア戦略を進めた野々村は、「タイのメッシ」と呼ばれるタイ代表のチャナティップ・ソングラシンの獲得に成功しており、札幌のスタジアムには多くのタイ人サポーターが訪れ、タイでは日本製品の売上がアップするなどの相乗効果を生んだ。この経験から、Jリーグではタイやベトナムなど提携8か国の選手は外国人枠にカウントしない規則を作っている。野々村は、東南アジアの選手を獲得するためのスカウティング能力を持つ強化部長などの人材育成と、支払うべきコストの重要性について説いた。

3つ目の「社会連携で強くなる」というキーワードについては、「地域での影響力をどれだけ大きくできるかが各クラブの頑張る一番のポイント」と強調。自身の札幌での経験を踏まえながら、「地域の人たちが作ってくれる空気でホームゲームが勝てるということ。サポーターの力で勝たせてもらっていた」と振り返った。

社会連携が上手くいけば、地元で愛されるスター選手が生まれ、おのずとサポーターも増えるはず。野々村は「その地域でクラブがある種のシンボルになるような露出をリーグでサポートできたらいいのかなとは思っております。“おらが町のあいつはすげえんだ”みたいな感じでやっていくのがいいような気がします」と展望を語った。

野々村の様々な改革案を聞いていた勝村は「野々村さんが大きな船の船長になられて、この船がどこに向かって力強く進んでいくのか楽しみですね」と笑顔を浮かべる。最後は野々村が視聴者に向けて、「自分でできることは限られているので、どれだけ多くの人に仲間になってもらうのかが大事だとずっと思っています。みんなでいいサッカー界を作っていけるようにぜひ協力してください。お願いします」と呼びかけた。

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