ハンドボール選手の“レミたん”が500万人を魅了!SNSを活用して競技を普及する理由

ハンドボール選手の“レミたん”が500万人を魅了!SNSを活用して競技を普及する理由

“レミたん”の愛称で親しまれているハンドボール元日本代表の土井レミイ杏利が、2月26日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。SNS上で圧倒的な人気を誇る土井の活動に迫った。

フランス生まれの千葉育ちで、現在32歳の土井は、小学3年生の頃にハンドボールを始め、高校で頭角を現すと名門・日本体育大学へ進学。2013年には23歳で本場のフランスに渡り、2019年に帰国する。昨年の『東京オリンピック』ではキャプテンとしてチームを率い、33年ぶりとなる歴史的勝利を掴んだ。

コートに立てば、パワフルかつ華麗なプレーで観客を魅了する土井だが、コートの外ではTikTokクリエイターとしての顔を持っている。若者からの絶大な支持を受け、そのフォロワー数はなんと500万人以上。香川真司のInstagramのフォロワーが約157万人、本田圭佑のTwitterのフォロワーが約104万人と、媒体は異なるが、日本の人気サッカー選手と比べても、その数字は圧倒的だ。

ハンドボールのスーパープレー動画などを投稿しているのかと思いきや、土井のTikTokにアスリートらしい動画は皆無。コメディアンのような笑えて楽しい動画で溢れていた。SNSを始めたばかりの頃はハンドボールのプレー動画を投稿していたという土井は「結局ハンドボールが好きな人や関係者しか見てくれなくて、ハンドボールの分母を増やす活動には繋がってなかったんですね」と回顧。その反省から、まず自分を知ってもらうための活動として、ハンドボールとは無関係の動画を配信しているのだという。

「ハンドボールの外にいた人たちを引っ張ってくるようなイメージ」という土井は、当初、自分がハンドボール選手だということも伏せていた。「初めて“実はハンドボールをやっているんです”って投稿したときに、90%以上のコメントが“どうせ合成だろう”とか、“そういうネタいいから”みたいな感じで、全然信じてもらえなかったですね」と笑う。

ハンドボール選手であることを明かすと、その情報は一気に拡散。「ハンドボールを知るきっかけ」というアンケート調査では、テレビや新聞を抜いて、“レミたん”が2位になったことも。MCの勝村政信は「若者はテレビや新聞を見ないし、そう考えるとやっぱりSNS。レミたんの時代なんだ」と納得。解説の北澤豪も「相当レミたんの影響力が大きいよね」と感心していた。

土井のTikTokがきっかけでハンドボールを始めたという子供もおり、高校生の競技人口も増加。その影響力は計り知れないが、本人は「単純に皆さんに楽しんでほしいっていうのが一番なので、それに対して見返りを求めることは一切ない」とあくまで謙虚。フォロワー数にも囚われることなく、人を楽しませればおのずとハンドボールのファンも増えていくという考え方なのだとか。この真摯な姿勢に勝村は「まだ若いのに、昔お寺で修行したとかですかね?」と茶々を入れていた。

一方で、土井の本業はアスリート。認知度が高まれば高まるほど、良い成績を出さないと、すぐに批判が飛んできてしまう。大きなプレッシャーの中で、土井が考えたのは“個”よりも“公”として結果を残すことだった。2019年にフランスから帰国した土井は、『東京オリンピック』へ向け、個人よりも日本代表のレベルアップを優先。「個人的なことだけ考えていればフランスリーグの方が自分もレベルアップできると思うんですけど、やっぱり集団として結果を残したかったから日本に帰ってきました」と打ち明けた。

しかし、日本においてハンドボールはプロ化していないアマチュア競技。帰国した土井は日本選手のプロ意識の低さに衝撃を受ける。フランスでプロとして活躍していた土井は、まず選手たちの意識改革に着手。その方法について「将来的に日本代表を支えていく選手をつかまえて、少しずつ彼から変えていく。味方を少しずつ作っていって、集団全体を変えていくというイメージで取り組みました」と説明する。

確かな結果を残した『東京オリンピック』を経て、日本ハンドボール界に新たな動きも。土井は2024年に向けて、プロリーグ化を目指す動きがあることを明かし、「僕に良いイメージがなかったらみんなにも応援してもらえないと思うので、そういったところは注意を払いながらやっていこうと思っています」と意気込んだ。

そんな日本ハンドボール界を牽引するトップスターの土井だが、フランスリーグでは6年間に渡って人種差別を受けていたことを告白。辛い体験を経てきたからこそ、他の人に同じ経験をしてほしくないと思いは強い。TikTokを筆頭に、SNSは簡単に世界をつながることのできるツール。土井は「SNSは指一本で人を殺せてしまう世界。でも逆に言えば指一本で人を幸せにもできるんですよね。僕はそういった世界を目指して、行動しています」と前を向く。

日本のサッカー界にも新しいスターが求められているが、土井は「試合中の更衣室や私生活なども含めて、普段皆さんが見られない裏の部分にやっぱり価値がある」と提言。「見たいという好奇心が生まれたところにどんどん発信していくことで、個人の認知度が上がり、そこからポンッとスターが生まれたりすると思う」と予測する。

最後にスターの定義について、「プレーで魅せるスター選手はたくさんいますが、例えば、地元の学校でサッカーを教えた人は子供たちにとってのスターになると思う。自分は誰かのスターでいるんだということをまず認識して、そういう応援してくれる人たちのために頑張ろうと思えた瞬間に、人はスターになるんだと思います」と、自身の考えを語った。

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