キントリの真壁有希子が帰ってくる――。
2014年よりシリーズ化され人気を博している天海祐希さん主演のドラマ『緊急取調室』(テレビ朝日系、21:00~)の新春SPが、2022年1月3日に放送。シーズン4で解散となったはずの緊急事案対応取調班(※通称キントリ)が、大事件を前に臨時再結成される。
警視庁特殊犯捜査係へ異動となった有希子(天海)をはじめ、それぞれの場所で職務を全うしていたキントリメンバー。そんなある日、梶山勝利(田中哲司)が尽力していた8億円強奪事件の被疑者とみられる遺体が、民家の敷地内で発見された。迷宮入りの可能性が高まる中、元キントリメンバーに非常召集がかかる!
遺体が発見されたのは、法を知り尽くした法曹一家の自宅。有名大学の法学部教授である夫・悦男(井上順)、東京高裁のトップ判事で妻の秀子(高畑淳子)、大手弁護士事務所のパートナー弁護士の息子・修一(木村了)、さらには何やら秘密がありそうな家政婦のしおり(菜々緒)まで……クセ者だらけの一家を前に、有希子たちキントリはどうやって事件を解決に導くのか!?
今回、新春SP撮影中の天海さんにインタビューを実施。これまでの経験を生かしながらも、新しい風を取り入れて進化し続ける『キントリ』に迫った。
――今回の再結成に関して、天海さんご自身はどう感じておりますか?
私は、(脚本を担当する)井上(由美子)先生がおやりになるとおっしゃるのであれば、ぜひやらせてくださいとお答えしました。
個人的にはキントリのみなさんにお目にかかれるのが楽しみでしたし、光栄でありがたいことだと思いました。
――キントリから離れている間、有希子は切り替えて仕事をしていたのか、それともまだ未練があったのか? 天海さん自身はどう感じていましたか?
彼女はとても前向きだったと思いますね。 “7年間キントリで培ったものがあるから、次にも生かせる”と、前向きに次の職務に取り組んでいたのではないでしょうか。
――キントリにはこれまでのメンバーに加えて、生駒亜美(比嘉愛未)と酒井寅三(野間口徹)が加入します。有希子としては、2人にどんなことを期待していると思いますか?
キントリは、7年前に初めて発足した部署で、自分たちがベースを作ってきた自負がある。だからこそ誰がきても“変わらないもの”は絶対ある、と思っていると思うんです。けれども、新しい風が入ることで、さらに成長していける部分はあるでしょうし。
新たに加わってくださるメンバーも、それぞれの場所で学び・経験してこられている方たちで、きっと私たちよりも(その分野においては)知識がある。キントリという部署は、そういうものをどんどん吸収して深みを持っていけるんじゃないでしょうか。
――今回のように新メンバーが加わることで、有希子は伝える側の立場になったと思います。今回、有希子として伝えていきたいことはどんなことだと思いますか?
伝えていきたいなんて、大そうな事は考えていないと思いますよ。有希子自身、言葉や理屈で教えてもらったというよりは、いきなり最前線にぶち込まれて、そこで体験して理解を深めていったし、周りの先輩から見せてもらったもの・感じ取れたものを吸収して経験値を上げていったと思っています。台詞にもあるのですが、(新メンバー2人へ)取り調べに関しては「指導はしない」と。「取り調べは人間と人間のぶつかり合い。同じケースは絶対にない」「あなたの方が犯人の心を開くかもしれない」 とあるのですが、まさしくその通りだと思っています。
――役者・天海祐希として伝えていきたいことは?
私も、伝えていきたいなんて偉そうな事はないですが、ただ、そのシーンをどう感じたのか、この台詞をどう理解しているか、自分の言葉で「私はこう思う」って伝えて議論することが、とても大事だと思っているんです。みんながやりやすいのか・やりにくいのか、なんでやりにくいのか……全員で理解しあうと、そのシーンがより深みのあるものになるかなと思っています。
いざ話してみると、その方の背景や人生経験・演技経験に触れられるような気がしますし、自分では思いつかなかったことを考えて来られる方もいらっしゃる。先輩方はそういったことをしてくださったのですが、最近私が経験している中では、お互いの芝居を邪魔しない程度に、“こうしちゃいけないんじゃないか、迷惑なんじゃないか”という思いのもと、少し引いている感じもしています。
でも、そこで話しかけたりすると、堰を切ったように話してくださる方もいらっしゃる……。キントリは、“せっかくそう思っているなら、みんなで作っていこうよ!”という現場でもあるので。
私がたくさんの先輩から学ばせていただく機会があったのと同じように、話し合いをすることによって、何かを感じていかれたらと。常に“みんなで作っていけたらいいな”と思っています。
――天海さん自ら話しかけることもあるんですね。
キントリについては、毎回のゲストが主役だと思っていて、私たちは(ゲストの)芝居を受ける側。特に周りの“おじさん”たちは百戦錬磨の方々たちなので「どうこられても受け止めますよ。好きなことやってください」とお話ししています。
ありがたいことに、毎週来てくださる各ゲストの方々たちが、魅力的に映れば映るほど『緊急取調室』も面白くなると思うので、私たちがグイグイいくというよりは、被疑者の方たちが好きなように暴れてくれた方がいい。だからこそ声をかけますし、どういうふうにやりたいのかちゃんと伺うようにしています。

――しおり役を務める菜々緒さんとの共演も見どころです。楽しみにしている点があれば教えてください。
菜々緒さんとは映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』でご一緒したのですが、とても前向きにお芝居に取り組まれている印象があります。今回の役柄に関しても、ご自分ができる限りのことを目一杯頑張ってくださるだろうなと思っています。(劇中で)対峙することになるのですが、とても楽しみですね。お互いに譲れる部分・譲れない部分を攻めぎあえたら楽しいだろうなと。
――秀子を演じる高畑さんとはすにで撮影に入っているそうですね。天海さんと高畑さんの攻防も楽しみです。
(目の前にすると)やっぱり迫力がありました。お芝居に魂をこめてこられる方なので、一緒にいる私まで引っ張ってくださいました。とても楽しかったですね。
――2014年より4シーズンのレギュラー放送とスペシャルがありました。『緊急取調室』に出会って良かったことはありますか?
ひとつの役をこれだけ長くやらせてもらったのはこの作品が初めてなので、とても幸せなことだと思っています。ひとつの役ができるということは、一緒に作ってきたスタッフ・キャストの皆さんとも、深く関われているということだから、その関係性を作れたのはとてもありがたいです。
それに、毎回違う方(週替わりのゲスト)とがっぷり四つでお芝居できることってなかなかないことなんですよ。『キントリ』でなければ、(過去にゲストで出た)三田(佳子)さん、桃井(かおり)さんなど…、素晴らしい先輩方とお芝居できなかったと思いますし、その方たちのお芝居を特等席で見られますからね……。ありがたく思っています。
――天海さんにとって有希子はどういう存在ですか?
取調べのシーンはワンシチュエーションのお芝居をやっているようなもので、(シーズン1は)撮り方から芝居のやり方から、何もかも手探り状態でやっていました。そのあたりは、有希子が初めてキントリに来たときと同じくらいの戸惑い方だったと思うんですね。その分、この7年間で一緒に成長できている自負はありますし、私の人生の中でも、とても長い時間一緒にいる役なので、大きな存在だと思っています。
――有希子は毎回取り調べを通じて被疑者を丸裸にしていきます。天海さん自身が取り調べをしたいほど話を聞いてみたい著名人や有名人はいますか?
そうですね、誰でしょう……。
――例えばメジャーリーグの大谷翔平選手とか?
そんな! 大谷くんは丸裸にしちゃいけないです。ある一定の距離を保って見守ってあげないと!
――(笑)。
日本人として誇りに思うし。あんなスーパーな方は……。しっかり距離をとりつつ心の底から応援しなきゃ!! だから(話を聞いて)窮屈にさせちゃダメ!(笑)。

(撮影・取材・文:浜瀬将樹)