高校生の自転車と言えば、黒やシルバーなど落ち着いた色が定番だろう。ところがある県庁所在地の高校生は、いろんな色のカラフルな自転車に乗っているという。それは、佐賀県佐賀市!ええ?!佐賀って九州の中でも地味な気がするが、その佐賀の高校生がカラフルな自転車に?!ちょっと信じがたい。
そこで佐賀市へ行き、朝8時に自転車通学してくる高校生を待ち受けてみた。すると!やってきたぞ、女子高生たちが!先頭は、お!黄色い自転車だ。次はピンク!そして水色!また黄色!水色!ピンク!黄色!薄紫!濃い紫!ホントだった!佐賀の高校生の自転車は、カラフルだった!
甲子園の常連、佐賀商業の駐輪場をのぞいてみると、薄暗い中に緑や紫、ピンクのカラフルな自転車が並んで華やかだ。いろんな色の自転車が並ぶと、こちらの気分も明るくなる!
交差点で見かけた高校生たちも、塾に並ぶ自転車も、とにかくカラフル。地味なイメージがある佐賀だが、失礼しました!もう地味だなんて言いません!

下校中の、薄紫とピンクの自転車に乗る高校生ガールズに聞いてみた。自転車の色をほめると、「よく言われます。かわいいって」と誇らしげに答える。「高校生活をこれで過ごすので、色は大事です。テンション上げないと。」
エンジと水色の自転車に乗る、別の女子高生二人にも聞いた。「佐賀は自転車しか交通手段がない、電車とか乗る機会がないから、自転車がいつも乗るものなんです。だから自転車は慎重に選びます。」なるほど、いつも身につけるもの、ということだろう。「ピンクに乗る男子はセンスある。」
すると、ピンク自転車に乗る坊主頭の男子高校生を発見!ピンクとしては濃いのだが、「梅ピンク」という色だそうだ。選んだ理由は「みんなに注目してもらえるから。」ではダサいと思う色は?と聞くと「シルバー。色気がない。」これは他県の高校生、言われちゃったぞ!

そこへ副校長先生が来た。ひょっとして学校としては好ましく思ってないのでは?ところが先生、「全然問題ない。」と断言。「夕方は車多いですから逆に目立って安全。」ともおっしゃる。確かに、交通事故は少なそうだ。
東京では定番の黒い自転車を、オレンジと黄緑のカラフル自転車の男子に見せると「大人しそうな感じですね。陰キャの子ですね。」黒だと陰キャと言われてしまうのか!「東京は派手なので、もうちょっと色の種類があって良くないですか。」と諭されてしまった。「目立ってなんぼですから。」東京を自転車マウントしてきたぞ!
サイクルショップで聞くと、「20色以上はある。黒やシルバーは100台に1台売れるかどうか。」今年のおすすめの色は「抹茶カラーを限定で作りました。女性誌で今年のトレンドはグリーン系だと読んで。」さすが、勉強してらっしゃる!
それにしても、なぜ佐賀市の高校生はカラフル自転車に乗るようになったのか。県内最大の自転車ショップ、セキモトサイクルのオーナー、関本憲二さんに聞いた。20年ほど前に来た高校生が、ここに並んでいない色が欲しいと言うので、どんな色がいいか聞くうちに色が増えていったそうだ。佐賀市の中学ではカラフル自転車が原則禁止だったため、高校デビューの際にいろんな色の自転車を選ぶようになった。
さらに、坊主頭の男子高校生がツートンカラーのかわいい自転車に乗っているのを発見!佐賀のサッカーチーム、サガン鳥栖が好きで、チームカラーの2色を元にツートンにしたという。一緒にいた男子は「自分が負けた感がある。レベルが高い。圧倒的配色が素晴らしい。」とベタ褒めだ。

高校生のカラフル自転車、かわいくていいなあ!他県のみなさんも真似してみては?
【文:境治】