うどんを愛するウルグアイ人女性。本場の讃岐うどんに触れ...驚きの進化を遂げていた!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。
今回は、「ニッポンの味を愛する外国人スペシャル」をお届けします。

新潟で昔ながらの味噌作りを学び、おもてなしの心に触れる

紹介するのは、アメリカ北東部の港町・フィラデルフィアに住む、味噌を愛するアマンダさん。

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味噌にはまったきっかけは、6年前、交通事故で入院していた時に友人からお見舞いでもらった味噌の本。入院生活で健康の大切さを実感していたアマンダさんは、どんな食材とも相性が良く、栄養価を高めてくれる味噌の可能性に魅了されたといいます。

平安時代には、高級官僚の給料として支給されたり、塗り薬として利用されたりと、ニッポンの暮らしとは切っても切れない味噌。昔から「味噌は医者いらず」といわれ、味噌汁を1日3杯飲む人は、乳がんの発生率が40%低かったという研究結果も。新型コロナウイルスが拡大する中、免疫力を高める発酵食品としても注目され、手作りに挑戦する人も増えているそう。アマンダさんも、6年前から独学で味噌作りに挑戦していますが、ニッポンには一度も行ったことがなく、わからないことも多いそう。そんなアマンダさんを、4年前、ニッポンにご招待!

向かったのは、新潟県新潟市にある、創業約90年の「糀屋団四郎」。家族経営の小さな味噌蔵で、全国でも数少ない、天然醸造にこだわった昔ながらの手作り味噌が売りです。早速、熟成させた味噌を試食させていただきます。「麹の粒の食感が楽しめて、とても美味しく感じます」と感想を伝えると、三代目・藤井喜代志さんは「ほとんど我々と同じ感覚」と驚いた様子。

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いよいよ、味噌作りを勉強させていただきます。大豆を煮るのは、100年前から代々受け継いできた和釜。ボイラーで蒸す蔵が多い中、和釜で煮る昔ながらの方法で仕込んでいます。2時間煮た後、一昼夜寝かせることで旨味と栄養が大豆に戻り、ツヤのある柔らかい仕上がりになるそう。その大豆と合わせるのが「麹」。麹は味噌や醤油、みりんなど、ニッポン固有の味を生み出すために欠かせないもの。アマンダさんも自宅で麹を手作りしていますが、うまく育たないことが多いそう。麹には、主に米麹、麦麹、豆麹の3種類があり、米どころの越後地方では米麹が一般的。「団四郎」では自家栽培の米を使っていると知ったアマンダさんは、「米までご自分で?」とびっくり。

1年間寝かせて粘り気を取ったコシヒカリを半日水に浸し、釜で一気にふかします。ここからが麹作りの肝。素早く台に広げ、人肌に近い40度弱まで冷まして種麹をまぶします。
ニホンコウジカビというニッポンにしか存在しない麹菌で、温度が高くても低くても死んでしまうため、手早く付着させていきます。その後すぐさま「室」へ移し、菌が最も好む湿度80%で麹菌を培養。数時間おきに麹の手入れをすることで菌糸が米に付着し、46時間かけて米麹に。この麹を、大豆と煮汁、塩と混ぜることで大豆が発酵。1年以上蔵で熟成させ、味噌が出来上がります。

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夜は、ご家族の皆さんと一緒に夕食をいただきます。自家製の塩麹と甘酒を使った煮しめには、地元の名物・車麩がたっぷり。他にも、自家製のねぎ味噌が入った新潟名産・栃尾の油揚げや、クリームチーズと卵黄の味噌漬けなど味噌づくし! 「最高です。こんなに手のかかる料理をたくさん用意してくださって、皆さんのおもてなしに本当に感謝しています」。

翌日は、固まった麹をもみほぐす「床もみ」を見学した後、奥さまの和代さんに野菜の味噌漬けを見せていただきました。アマンダさんが勉強した本では、3日や一晩漬けるのが良いとされていましたが、こちらではなんと1年も! 長期間熟成発酵させることで、より深い旨味と独特の風味が生まれるそう。

おすすめは、味噌を塗って焼いたおにぎりに出汁を注ぎ、刻んだ味噌漬けをのせる食べ方。アマンダさんは「信じられないほど美味しいです! ニッポンほど発酵食品の文化が進んだ国は、世界のどこにもないと思います」と絶賛。「外国人の方がこんなに一生懸命麹のことを語ってくださるのは嬉しいですね」と和代さんも笑顔に。

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休憩後は、次女・康代さんが自宅でできる味噌作りを教えてくださることに。アメリカで独学で味噌作りに挑戦しているアマンダさんですが、表面に大量のカビが生えてしまうなど、うまくいかないことも。そんな状況を知った康代さんが、多忙な仕込み期間中にもかかわらず、準備してくださったのです。

柔らかく煮た大豆をビニール袋に入れて手で潰し、麹と塩を加えて混ぜます。一度ざっくり混ぜてから、耳たぶくらいの硬さになるまで大豆の煮汁で調整するのがポイントだそう。続いてカビを防ぐため、ハンバーグのように丸めて手に叩きつけ、空気を抜きます。昔ながらの味噌蔵では、住みついた酵母の働きで発酵が進み、風味が良くなりますが、家庭で作る場合は、代わりに好みの味噌を適量加えて発酵を促すという技も教えていただきました。

さらに、気温が高くなり発酵が進む夏に、味噌の表面と底を入れ替える「天地返し」をすることで満遍なく発酵が促進し、味噌をより美味しく熟成させることができるそう。アマンダさんの味噌にカビが生えた大きな原因についても教えていただきました。容器と重しのサイズが合っていなかったことで、空気に触れていた部分にカビが生えたのです。そこで、ラップで味噌の表面を密閉し、袋に入れた塩を重しにする方法を教えていただきました。形が柔軟に変わるため、均一に力をかけることができます。「考えもつかなかったアイデアです!」。

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別れの時。「味噌作りの素晴らしさだけでなく、皆さんからおもてなしの心を学ぶことができました。夢のような日々を本当にありがとうございました」と涙ぐむアマンダさんは、「糀屋団四郎」の皆さんから、アメリカで味噌を仕込むためにと、小さなサイズの樽をプレゼントしていただきました。樽の中には、皆さんと一緒に作った麹が! 感謝しつつ、別れを惜しみました。

あれから4年...。「糀屋団四郎」では康代さんがご主人とともに蔵を継ぎ、四代目として伝統の味を守っています。一方のアマンダさんは、いただいた麹と樽で味噌作りを続けていましたが、現在は両親の介護のためお休み中。再開を心待ちにしているそう。

アマンダさん、これからもニッポンの味「味噌」を愛し続けてください!

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