義父の作品は神田明神や善光寺にも!職人YOUが人生を懸けて挑む伝統工芸品:YOUは何しに日本へ?

テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを、空港や街でアポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回のテーマは、「時を越え海を越え...YOUとニッポン人の運命の赤い糸SP」。 ホットな赤い糸を辿る95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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空港を飛び出し、日本全国の市町村で面白YOUをガチ捜索する「出張YOU」!

今回の出張先は、人口約5万4,000人(うち在住YOUが約295人)のベッドタウン・茨城県那珂(なか)市。ここは一大イベントのひなまつりや、火切り神事が壮観な菅谷まつりなども盛んなお祭りタウン。常陸牛やかぼちゃなど、グルメ食材も豊富だ。

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とはいえYOU探しに難航し、スッポンの異名を持つDがYOUと出会えず6日が過ぎた頃、ついにYOUを知る方との奇跡の出会いが! 那珂市の国際交流協会の副会長だった方が、市川海老蔵似のYOUがいると教えてくれたのだ。

お礼を伝え、さっそく教えてもらった住所を訪ねると...、たしかに海老蔵風のYOUが歓迎してくれDはひと安心。3年前に購入したという素敵なご自宅にお邪魔して話を聞くと、ラッジ ジェフさん(42歳)の出身地はフランスだが、国籍はイギリス(父方)&ドイツ(母方)のハーフとか。那珂市出身の日本人妻・聡子さんと、海路(13歳)くん、美波(9歳)ちゃんの4人家族だ。
そんなジェフさんのお仕事は...、なんと"提灯"作り!

義父が提灯職人で、ジェフさんも3年前から一緒に作り始めたという。インパクトのある提灯を作るというが、いったいどんな!? 取材をお願いすると、快諾してもらえたので密着決定!

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翌朝8時、ジェフさんに付いていくと、車で約30分の職場に到着。ここは義父で、ジェフさんの師匠・飯島實さん(82歳)が住む妻の実家だ。敷地内にある工房へ入ると、まずは脚立に上り、専用の道具を使って竹を裂く作業から。一瞬で均等に竹を裂く職人技には驚きだが、まっすぐに裂けるようになるまでにはかなり時間がかかったそう。裂いた竹ひごに糊を付け、輪にして和紙で固定し、提灯のパーツを約40本作る。

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続いて、提灯の木型に輪のパーツを組んでいくと...、デカい提灯の骨組みが完成! 「これは水府(すいふ)提灯っていうの。水戸の提灯」と實さん。

水府提灯とは、江戸時代に水戸藩が下級武士に作らせた提灯が始まりとされ、提灯作りは水戸藩の経済を支える重要な地場産業の一つだった。現在は八女提灯(福岡県)、岐阜提灯(岐阜県)と、ここ茨城県の水府提灯が日本三大産地で、實さんは伝統工法を守り続けるスゴ腕の職人なのだ。しかも實さんの提灯は、神田明神(東京都)や善光寺(長野県)など、全国各地の神社や寺で使われているんだって、スゲーッ!

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全盛期は水戸市内に約30店以上の提灯問屋があったが、今は3店にまで減少。實さんも妻が先立ち辞めようと悩んだ時期もあったが、ジェフさんに話したらやりたいと言ってくれて続けることになった。

当時ジェフさん夫妻は、ニュージーランドのりんご農場で働いていたが、提灯職人になるため日本へ。「日本はテクノロジーが優れた国だけど、昔からの文化も残る国。伝統文化を残したい!と思ってこの仕事をやろうと決めた」と一大決意し、3年前に義父に弟子入り。こうした温かい想いで匠の職人技が伝えられていたのだ。

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さて、竹ひごを組んだら縦に糸を通し固定するが、ここが最難関。竹ひご1本1本にしっかり糸を巻き通すこの作業が、丈夫な提灯にできるかが決まる大事なポイントとか。實さんが「これは糸掛けって言うんだけど、普通の人はまっすぐできない」と指摘するとおり、まっすぐにするのも幅を均等にするのも、すべてはミリ単位の繊細な職人技なのだ。

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午後3時には、縁側で親子に戻って憩いの時間を過ごす。義父のちょっとしたケガも心配するジェフさんを、「優しくて愛情深いというか、今の日本人はそういう部分が廃れたけど、ジェフは逆に日本人っぽいですよ。本当の息子だ」とベタ褒め♪

そんな實さんには、なんとフランスでオーナーシェフを務める実の息子さんもいるそう。ジェフさんが「代わりに(フランスから)私が来たね」と言うと、實さんは「だからプラスマイナスゼロ」と笑う。こんな不思議な縁てあるんですね~。

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休憩後は、いよいよ大事な仕上げ。和紙を貼るため竹ひごに糊を付け、シワが入らないよう和紙を貼っていく。以前に比べ早くなったと褒められたジェフさんは、「次はもっと上手く作る! いつも挑戦。自分との戦いみたい」と意欲的だ。開始から6時間、本日の作業はここまで。

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6時15分に帰宅したジェフさんは速攻キッチンに立ち、夕飯の支度を。妻が遅い日はジェフさんの担当で、本日はジャガイモとソーセージの炒め物をメインに、好物の味噌汁も準備。
そこへ妻・聡子さんが帰宅し、TV撮影に驚きつつ歓迎してくれた。みんなで食卓を囲むと、「今日は美味しいね」と手料理を子どもに褒められ、照れるジェフさん。

食事が終わって話を聞くと、ジェフさんが提灯職人になると聞いたとき、聡子さんはありがたく思い、父も喜んでると振り返る。しかも「最悪私が働けば何とかなるんで(原子力関連の研究施設に勤務)。ジェフさんには好きなことをやってもらえれば」と、働く妻は良き理解者でもある。

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翌日、昨日の提灯が仕上がった。和紙も乾燥し師匠も納得の出来栄えで、あとは別の職人さんに送って、絵や文字を書いてもらったら完成だ。

實さんは、提灯作りをあと5~6年続けたらジェフさんにバトンタッチしたい、責任重大だと期待の言葉を。するとジェフさんは、「一生懸命習わないと。挑戦していく!」と、覚悟を決める。そして「日本で見つけた提灯作りの伝統を絶やさず、次の世代に伝えられるようにがんばる」と、人生を懸けた決意を教えてもらったところで密着は終了。ジェフさん、これからも提灯作りがんばってね!