日本人に恩返しをしたいと400円のデカ盛りメニューを提供! いわれのない中傷で倒産寸前になったことも...マンスールさんの試練そして幸せ:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

アメリカ同時多発テロでイスラム教徒のイメージが最悪になり、いわれのない中傷でお店が倒産寸前に…

続いては、母国を離れ、ニッポンでお店を開いた外国人の方たちを応援する「ニッポンお店開いちゃった人応援団」! 紹介するのは、東京・上板橋で居酒屋を営む、イラン出身のマンスールさん。

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「ニッポンに来た時、たくさんの日本人にお世話になりまして、義理と人情、愛情をたくさん受けましたので、その恩返しとしてこの店をオープンしました。少しでも恩返しできればいいなと思って頑張っています」と話すマンスールさんが、2歳年上の妻・きよみさんと二人三脚で営んでいるのが、居酒屋「花門(かもん)」。「花門」では、50種類のデカ盛り料理を大赤字の400円均一で提供しています。※前回の記事はコチラから!

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巨大なオムライスも1.5キロのカルボナーラも400円! 残ったらお持ち帰りも可能!「みなさんが喜んでいる笑顔を見ると最高です」と話すマンスールさんは上板橋でお店を始めて29年。地元の人たちの憩いの場として愛されてきましたが、コロナ禍で売り上げは半分以下に。お客さんが1日に2組ということもしばしば。

そんなマンスールさんが初めてニッポンに来たのは今から33年前。イランで流行っていた「おしん」がきっかけでニッポン好きになり、日本語を学ぶために来日しました。当時の生活はどうだったか尋ねると、いつも明るい笑顔のマンスールさんの顔が曇り「思い出したくないんですけど…」と前置きしながらも、お金がなくて食器用洗剤で顔も体も洋服も洗わなくてはならないほど困っていたと、当時の話をしてくれました。アルバイト代から学費と家賃を支払うと、残るのはわずか1万円ほど。そんな苦しい時代に出会ったのが、アルバイトをしていた居酒屋さんのマスターだったそう。アパートの保証人になってくれ、ろくに食べていないマンスールさんのことを心配し、「お店の食材なら自由に食べていい」とまでいってくれたと話します。

「たくさんの日本の方々にお世話になりまして、少しでも恩返ししなくちゃいけないな、という気持ちですよね。まだ何もしてないんですよ。これからです」。苦しい時代に何度も救われた居酒屋で自分も困っている日本人を助けたい、その一心で29年前に居酒屋「花門」をオープンし、400円均一のデカ盛り料理で恩返しを始めました。400円メニューを続けるため、お店の営業前に近所の生コン会社で20年以上アルバイトを続けているといいます。

アルバイトを終えたら、食材の仕入れへ。東京と埼玉で4店舗を展開する「グリーンマートHANO」は、マンスールさんが東京中を巡って見つけ出した値段と品質が抜群に良いお店。自分の目で確かめて、時にはお店の人と交渉し、良い食材を仕入れています。良い食材を安く提供するためには手間を惜しまない。400円でお腹いっぱいになってもらうため、毎日都内を駆け回っているのです。

そんなマンスールさんには心強い味方が。お隣にある豆腐店の女将さんが余ったお豆腐を持ってきてくださいました。マンスールさんからのお返しは卵。お隣同士、物々交換で助け合っているのです。開店前の忙しい時、買い忘れがあった時は、なんと常連さんに買い物を頼んでしまうそう。現金をチャージしたカードを渡して買いに行ってもらいますが、時々残高が足りず、常連さんがチャージしてくれることも! お礼はお店のサービスでお返しします。

来年で結婚30周年! 今も仲睦まじいマンスールさんときよみさん。その出会いは運命的なものでした。トレンディドラマが流行り始めた1988年。来日したばかりのマンスールさんは、学費と生活費を稼ぐため、毎晩池袋の居酒屋でアルバイトをしていました。そんなある日、お店にお客さんとしてやって来たのが当時OLだったきよみさんでした。

「なんて美しい女性なんだ♡」と一目で恋に落ちたマンスールさん。その後は仕事が全く手につかず、とうとうきよみさんの帰り際、「すみません! Do you love me?(僕を愛してくれますか)」。なんと出会ったその日に告白してしまったのです。その後も猛アタックを続け、5回目の告白でお付き合いが始まったそう。「絶対悪い人じゃないだろうな、っていうのは直感的にあったので」と当時を振り返るきよみさん。突然の告白から4年の交際を経て、29年前に結婚。同年、居酒屋「花門」をオープンしました。

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ところが9年目の2001年、大きな転機が訪れました。アメリカ同時多発テロで、イスラム教徒のイメージが最悪になり、いわれのない中傷でお店は倒産寸前に。そんな最大のピンチに救世主が現れました。テレビ東京の番組「徳光和夫の情報スピリッツ」から取材の話がきたのです。マンスールさんは、「お店の宣伝になれば」と藁にもすがる思いで初めてのテレビ出演を決意しました。「テレビに出たおかげで、次の日からお客さんがたくさんいらっしゃいました。テレビ東京さんには感謝しています。徳光さんにも感謝しています。本当にいろいろありました」と、今思い出してもつらかった時のことが蘇り、涙がこぼれてしまいます。

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きよみさんは優しくマンスールさんの背中を叩き、涙を浮かべて「頑張ろうね」と声をかけます。「頑張ります」と微笑むマンスールさん。今でも徳光さんが心の恩人だといいます。日本人に支えられ、その恩を返したいと身を粉にして働いてきた29年。決して多くはない売り上げの中から東日本大震災への義援金も毎年欠かさず捻出しています。そんなマンスールさんに応援サプライズ! 「会ってほしい人がいる」とだけ伝え、徳光さんをお店にご案内!

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驚きつつ、今度は嬉しくて涙が出てきてしまったマンスールさん。「会いたくて! 感謝感謝をいいたくて」と長年の感謝の気持ちを伝えます。ところが詳細を聞かされていない徳光さんは「驚かせちゃってすみません。僕ね、まだピンと来ないんですよね。どういう風にお目にかかったのか…」と事情が呑み込めていない様子。ここでマンスールさんが、経緯を説明し、徳光さんと一緒に当時の番組のビデオを観ることに。

テロ事件の影響でお客さんが来なくなってしまったことを話すマンスールさんと、身を粉にして働くマンスールさんを支えたいと話すきよみさんの映像が流れます。映像を観た徳光さんは「変わらないですよね、このご夫妻は。それこそ20年前、番組に出演された時とまったく変わらずにやっていらっしゃるのが素晴らしいなって」と感想を伝えます。実は、20年前のこの時の徳光さんのコメントがマンスールさんの支えになったそう。

「これからですよ、マンスールさん。頑張ってください。立派なイスラム教徒だと思いますから」(番組映像より)

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「頑張ってくださいって言われたことがとても印象的で…。徳光さんに頑張ってくださいっていわれたことが」。徳光さんの一言がどれほどマンスールさんときよみさんを励まし、そして支え、お店の危機を乗り越えて日本人に恩を返す原動力となったのか…2人の表情からとてもよく伝わってきます。すると徳光さんが、店内に貼ってあったマンスールさんのポスターに“人柄が味に染み入る花紋(門)かな”とメッセージを書いてくださいました! 「あなたたちの人柄で持っている店ですよ。つくづく今日伺って僕はそれを感じたね。僕の好感度も上がったと思います(笑)」。日本人に恩を返すためお店を守っていきたい、そんなマンスールさんの決意表明は…。

「まだまだ日本の皆さんに恩返しできなくて。これから居酒屋『花門』で恩返しするために頑張りマンスー! 花門にカモーン!」日本人に恩返しを続けるマンスールさん、これからも頑張ってください!

4月26日(月)夜8時放送! 月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」は…。

●ニッポンにご招待したら人生が変わっちゃった!感謝のビデオレター
ニッポンの“大衆食堂”を愛するメキシコ人カップルからの感謝のビデオレター完結編!7年前に「たま食堂」をオープンし、大将と女将として二人三脚で食堂を営んでいる2人。「伝統的な大衆食堂に行って学びたい」という願いを聞き、約2年前、ニッポンにご招待。そんな2人からお世話になった皆さんに感謝のビデオレターが届く。そしてメキシコとニッポンをネットでつなぎ、生中継も!

●新企画「ニッポンお店開いちゃった人応援団!」
ニッポンに移り住み、自らお店を開いて暮らしている外国人の方たちを応援!“日本旅館”が好きすぎて旅館の若旦那になったアメリカ人男性。そんな彼に番組から応援サプライズ!

どうぞお楽しみに!

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