「テレ東プラス」では、2024年入社の神野裕(じんの ゆたか)アナウンサー、古旗笑佳(ふるはた えみか)アナウンサー、松澤亜海(まつざわ あみ)アナウンサーのバトン連載をお届け! 3人の素顔と初々しい魅力に迫ります。
トップバッターは、取材日当日、「スポーツ リアライブ~SPORTS Real&Live~」(毎週月~木曜 夜11時55分/金曜 夜11時58分/土曜 夜10時30分/日曜 夜10時54分)で地上波デビュー飾った神野裕アナウンサー。「今日は、採用してもらった恩を返し始める最初の日」と真摯に語る神野アナに、入社までの道のりや今後の目標など、たっぷり話を聞きました。
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限られた面接時間で“実況したい”という熱意をどう伝えるか…考えました
――神野アナはスポーツがお好きだそうですが、子どもの頃からアナウンサーを目指していたのでしょうか。
「今春、広島から上京する際、荷物を整理していると小学校の卒業文集が出てきました。読み返してみると『将来アナウンサーになって、プロ野球選手になった同級生のプレーを実況したい』と書かれていたので、“自分はこの頃からアナウンサーを職業として意識していたんだなぁ”と気づいて。
地元・広島には熱狂的なカープファンが多く、私自身もテレビで試合を見た後は、ラジオに切り替えて続きを聞くという生活を送っていたので、当時から野球選手ではなく“実況する人ってカッコいいな”と思っていました。
性格としては、決して人前に出るのが好きなタイプではなかったのですが、実況に強烈な憧れがあり、中学の時、友達の前で真似事をするようになったんです。自分の中では、“即興実況”と呼んでいますが、例えば同級生に『昨日の決勝タイムリーを実況してみて』と言われたら、『マツダスタジアムからお伝えしています。ツーアウト満塁、広島×巨人の15回戦は8回の表が終了して…(流暢に実況を続ける)』と、モノマネではなく、自分でアレンジして披露していました」
――目の前に何もなくても、こんなにスラスラと出てくるものなんですね(笑)。アナウンサー試験でも、大きな強みになったのでは?
「そうですね。就職活動中は、限られた面接時間で“実況したい”という熱意をどう伝えるかを考えました。やはり、その場で実況するのが一番印象に残るのではないかと。そこで、面接の日時からプロ野球選手の背番号にうまくつなげて、その選手のプレーを即興で実況するというアピールを思いつきました。面接官の方にも『この学生は本当に実況をしたいんだな』という熱意が伝わるような気がして…。少しずつではありますが、“本気でアナウンサーを目指したら、もしかしたらチャンスがあるのかもしれない”と思うようになりました」
――アナウンサー試験の場合、面接にたどり着くまでの道のりも大変だと思いますが、神野アナは、どのように就活を始めたのでしょう。
「私は学生キャスターを経験するどころか、東京や大阪にある大手のアナウンススクールにも通っていませんでした。そんな中、地元のテレビ局でアルバイトをしていた時の先輩が、アナウンサーを目指す学生が情報交換できるオープンチャットに招待してくれたんです。
大学3年生の5月までアメリカに留学していたこともあり、“まだ就活は早いよな”と思っていたら、オープンチャットで、春にインターンが始まることを知りました。実際に応募してオンラインで模擬面接やインターンを受けてみると、フリートークが上手い人が多くて、“これは大変だぞ”と。帰国してからはたくさん試験を受けましたが、当時は、目の前のことをこなすだけで必死でした」
――就活中、特に印象的だったことは?
「ある大阪の局から、『あなたが一番ワクワクする服装で面接会場に来てください』というお題が出たんです。元々“広島カープにいた前田健太投手(現在はデトロイト・タイガース)が見たい”という思いもあり、留学先にミネソタを選んだのですが、現地の球場では、入場者にチームのジャージやTシャツが配られるんですね。お題をそのまま素直に受け取った私は、そのジャージを着て面接の集合場所に行ったんですけど、男性はみんなスーツ姿で“これはまずい!”と。『何者だ』みたいな視線を送られて、あの時は、“もう帰りたい…”と心底思いました(笑)。
でも、いざ会場につくと、人事の方が『野球の実況がしたいんだよね? それでいいんだよ』とおっしゃってくださったんです。面接官の方も『それだけ喋りたいなら、全国の放送局を受けた方がいい』と勧めてくださったので、それを機に、“どんな結果であれ、1年間はアナウンス職試験に合格するために頑張ってみよう!”と、覚悟が決まりました」
――神野アナのポジティブさが伝わるエピソードですね。
「いえ、自分ではネガティブな人間だと思っています。今朝も8時過ぎに目が覚めてしまい、今日は出社が遅めだったので大丈夫でしたが、『えぇーっ!?』とすごくドキドキしてしまいました」
――ネガティブというよりは心配性?(笑) 真面目なんですね。
「“真面目じゃない人間か”と問われたら、そうではないかなと思います。最近は、『真面目だね』と言われると、素直にうれしいです(笑)」
『世界卓球』と『オリンピック』、野球の『日本シリーズ』の実況をするのが、大きな目標です
――テレビ東京に入社して4カ月ほど経ちますが、印象はいかがですか?
「温かい人が多い印象です。先輩方も本当に優しくて、出先からアナウンス部に戻ると、家に帰ったような安心感があります。とても居心地がいいので、仕事なのに会社に行くのが楽しいような、不思議な感覚です」
――東京での生活は、もう慣れましたか?
「休日に出かける場所が多くて楽しいですし、“高輪ゲートウェイ駅は、品川駅からすぐのところにあるんだ!”とか、今までテレビで見ていた東京のニュースが、一気に現実になりました。入社式の日は、タッチの差で山手線に乗れなくて、“次の電車は何時だろう?”と思って時刻表を見たら、3分後!?と(笑)。そんな驚きもありました」
――忙しい日々だと思いますが、プライベートの時間はどんなことをしていますか?
「時間に余裕がある時は、野球を観戦します。本当に野球が好きなので、関東の球場は全部回りました。仕事が終わった後は、ひたすら買い出しです。実家暮らしの頃、『家を出たら私の偉大さがわかるから』という母の言葉を受け流していましたが、今、本当にいろいろやってもらっていたんだなと痛感しています」
――買い出しということは、自分でお料理も?
「最近は夕飯や土日だけになってしまいましたが、新人研修中は、2カ月弱、毎日お弁当を作っていました。広島で農家をしている祖父母がお米を送ってくれるので、とても助かっています。
同期で“お弁当組”ができたので、近くの量販店にお弁当箱を買いに行ったんですけど、可愛いキャラクターのものしか残っていなくて…。それを買って使っていたら、同期のみんなにいろいろと疑われました(笑)。
お弁当は、ご飯に鮭フレークや梅干し、前日に漬けた浅漬けを入れます。麻婆豆腐が好きなんですけど、今は電子レンジ調理器にひき肉と豆腐、水と“素”を入れるだけでできちゃうんですよ。一度お弁当に入れて持っていったら、『自分で作ったの!?』と驚かれて…。なぜか『レンジで簡単に作れるんだよ』とは言えませんでした」
――でも、ここで言ったらバレてしまいますよね(笑)。ポジティブで爽やかな神野アナ、最後に今後の目標を聞かせてください。
「『世界卓球』と『オリンピック』、そして野球の『日本シリーズ』は、僕にとって大きな目標です。さらに、『この人が読むと、ニュースがすんなりと入ってくる』と思っていただけるような、安心感や信頼性のあるアナウンサーになりたいと思っています」
【神野裕アナウンサー プロフィール】
広島県出身。O型。「スポーツリアライブ~SPORTS&Real&Live~」(水曜)を担当している。
【神野アナから見た古旗アナ】
「古旗アナはとにかく喋るのが好きで、同期3人で話していても、8割方、彼女が喋っています(笑)。すごく明るくて、研修中も『原稿を読みましょう』という場面では、『私からやります!』と先陣を切ってくれる、しっかり者の姉御肌。本番にも強く、笑顔がチャームポイントの頼れる同期です」
【神野アナから見た松澤アナ】
「松澤アナと初めて会ったのは、先ほどお話しした、僕がジャージを着ていったあの試験でした(笑)。その時は、“こういう人がアナウンサーになるんだな”と別世界に住んでいるように見えましたが、今は印象が変わって、すごく柔らかい人だなと。人懐っこくて、何事にも一生懸命。常に周りを見ていて、いざという時にサポートしてくれる頼もしい存在です」
(取材・文/nakamura omame)