能登半島地震から半年…復旧復興はなぜ進まないのか:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

6月28日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「進まぬ復興 その真実」。
「能登は見捨てられた…」元日に起きた能登半島地震から半年、復旧復興はなぜ進まないのか。ガイアの独自取材で明らかになった真実とは……。能登に生き、復興を諦めない人たちの姿を追った。

【動画】能登半島地震から半年…復旧復興はなぜ進まないのか

止まらない廃業、人口流出…瀬戸際に立たされる能登


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石川・珠洲市で唯一のタクシー会社「スズ交通」は、能登半島地震の津波で車両を失った。3月に会社を閉めたが、配車を依頼する電話が絶えない。「仮設住宅から病院に行きたい」など、電話の相手は多くが高齢者。町の人にとってなくてはならない存在なのだ。
「スズ交通」に勤めて23年、運転手兼配車係の白木憲一さんは、「非常に心苦しい。今まで使っていただいた恩がある」とお金やお礼の品を受け取らず、昔からのお客をマイカーで送り届けている。「スズ交通」は、一日も早く事業を引き継いでくれる相手を探している。

地震後、能登半島では110を超える事業所が廃業になった。この先、能登はどうなるのか。

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去年7月にオープンしたベーグル店「こめとわとベーグル」(石川・輪島市)は、地元の米粉で作ったもっちりしたベーグルと日本海を望む絶景がウリで、観光客の人気を博していた。しかし、能登半島地震で目の前の崖が崩れ落ち、地滑りの危険があることから立ち退きを余儀なくされる可能性がある。
信用金庫からの借入額は3000万円で、オーナーの山下祐介さんは「スタートしてすぐに地震が発生し、全てが狂った」と話すが、被害は店だけではなかった。
山下さんの本業は米農家だが、田んぼの多くが地割れしてしまい、水が引けなくなってしまったのだ。今年は2割しか田植えができなかったという。

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そんな山下さんを気にかけているのが、ベーグル店の融資を決断した「のと共栄信用金庫 輪島支店」の堂角清志支店長。堂角さんは、何らかの支援ができないか模索していた。
輪島支店は職員6人の小さな支店で、堂角さんは、日々取引先に被害と資金繰りの状況を確認している。輪島で事業を再開できたのは約半分で、すでに50近く(予定も含む)が廃業していた(6月10日時点 輪島商工会議所)。

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輪島支店は、かつて、活気にあふれた能登の一大観光スポット・輪島朝市がある場所に建っていた。しかし、地震による火災で200棟以上が焼失。輪島で生まれ育った堂角さんは、「この町を元気にしたい…」その一心で働いてきた。

被災者向けの補助金が活用されないワケは?


5月。「のと共栄信用金庫 輪島支店」で、中小・零細企業に向けた「なりわい再建支援補助金」の説明会が行われた。この補助金は、地震で建物や設備が損壊した事業者に国や県が復旧費用の4分の3を補助するというもので、堂角さんは「復興の第一歩のスタートになってくれれば」と話す。
だが補助金の申請には、罹災証明書の他、事業計画書や工事の見積書など、山のような手続きがあるのが実情。説明会の参加者からは「日々の仕事で頭がパニック。それプラス難しい書類が出てくると、個人では対応できない人が多い」という声が上がる。

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輪島支店の大事な取引先、包装資材店「三辻商店」(※辻の字は一点しんにょう)が被害を被ったのは倉庫で、資材を保管する3棟が全壊し、三辻敬社長は補助金を申請したいと考えていた。
倉庫は自治体の補助で解体することが決まっていたが、のと共栄信用金庫の復興支援チーム・盆下直喜さんは、補助金を申請するには、解体する前に“全壊した倉庫の修繕見積もり”を取らなくてはいけないとアドバイスする。「全く知らなかった…」と三辻さん。

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数日後、三辻さんは「宮下工務店」の宮下和博社長に見積もりを依頼。宮下さんは一つずつ聞き取りをし、手書きで図面を起こしていく。倒壊し、元の姿がわからない建物であっても図面を作る必要がり、三辻さんは記憶を頼りに元の姿を細かく説明していく。見積書は、本来ならば、部屋ごとのコンセントやスイッチの数、壁紙一枚一枚の金額まで記載しなければならず、50ページになるケースもあるという。
「建て替えない倉庫の見積もりも取らなくてはならない。それが納得いかない。無駄な時間」と宮下さん。しかも、宮下さんが行う見積もりの費用は無料で、「その費用を(県に)出してほしい。輪島で見積もりのお金とっている人はいないと思う」と本音を漏らす。

この日、見積書の聞き取りに約1時間かかったのを目の当たりにした盆下さん。これまで盆下さんのところには補助金の相談が110件以上来ているが、申請できたのはわずか2件だけだった。この見積書の作成に、遅れの一因があるのではないか…。

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「のと共栄信用金庫」本部(石川・七尾市)に戻った盆下さんは、補助金の申請を増やすため、電話で県に掛け合う。「工事するかどうかも分からないところに時間を割いて、無料でやるというのはなかなかできないのが現状。それが、(申請が)進まない理由の1つなのかなと。例えば見積書いくらぐらいか県として予算を組んでもらえたら、(申請が)加速するのでは?」。盆下さんの必死の訴えに、県の担当者はどう答えるのか。

珠洲の解体業者が向き合う「公費解体」のリアル


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5月下旬、石川・珠洲市。元日に震度6強の地震に襲われた珠洲市では、半年が経った今も地震直後と変わらぬ景色が続く。倒壊した家屋には「危険」と書かれた紙が貼られ、立ち入ることはできない。
行政が建物の解体費用を負担する公費解体を請け負うのが、地元・珠洲の解体業者「やなぎ企画」。社長の柳和彦さんは40年以上解体業に携わってきたが、今回の公費解体は勝手が違った。

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倒壊した家屋の屋根を一気に解体するのかと思いきや、瓦だけを丁寧に剥がしていく。熟練職人の柳さんでも、屋根の瓦を全てはがすのに40分かかった。続いて木材を2本のアームでつかみ、へし折ってトラックへ。別のトラックには、カーペットや布類だけが載っていた。すべて分別して廃棄しなければならないのだ。これは東日本大震災の時に取り入れられた方法で、柳さんは「全部まとめて捨てられるなら早いけど」とこぼす。

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この家に住んでいた藤野文博さんは柳さんとは古い付き合いで、柳さんは、藤野さんたちに確認しながら解体作業を進めていく。屋根の下から出てきたのは、子どもの時の卒業証書など、わずかに残った思い出の品…。藤野さんたちの思いに寄り添いながら解体するため、1軒に10日前後費やす。「やなぎ企画」のような規模の解体業者では、月に2~3軒が限界だ。
実は柳さんの自宅も全壊していたが、「自分の家は見たくないし、あまり行っていない」と、家の中はあの日のまま…。今は週1回の休みで、給料は月に30万円ほど。「やなぎ企画」の作業員はみな能登出身で、住むところを失った被災者でもある。

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柳さんは、解体が終わった後も作業に追われていた。現場で行った一つ一つの工程を記録し、書類として提出しなければ、解体費用を得ることができないのだ。「胃が痛くなる。疲れる…」。
石川県は、来年10月までに公費解体を終えるとしているが、柳さんは「(公費解体は)来年いっぱいでは終わらないと思う」と実情を話す。

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これは、番組が独自に入手した珠洲市の公費解体の推移と見通し。解体済みはわずか3パーセントだが、来年までに終わるのか。伊藤信太郎環境大臣を直撃した。

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