うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

6月21日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「“海の危機”を救う先駆者~魚は獲らずに育てる!~」。乱獲や気候変動による水温上昇などの影響で、水産資源の枯渇が深刻になり、「魚の獲れない国」になりつつある日本。こうした海の危機を救うため、革新的な養殖技術を研究してきた先駆者たちの“新たな挑戦”に密着した。

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養殖技術で作る「稼げるサカナ」を食卓に!


うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け
東京・銀座にある「近畿大学水産研究所」は、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学がオープンした話題の店。一番人気は、マグロの中トロ、赤身、シマアジなどの「お造り6点盛り」(3人前5700円)で、すべて養殖モノ。店では、近畿大学水産研究所の養殖魚を提供している。
珍しい魚もそろい、ハタ科の高級魚・クエの味の良さとタマカイの成長の早さを併せ持つハイブリッド魚「クエタマ」の料理も。

人が手塩にかけて育てる養殖魚は、今や沿岸漁業や遠洋漁業を上回る漁獲量を誇るが、養殖魚に求められているのは味だけではない。杉村卓哉料理長は、「水産資源が枯渇状態にあるので、それを回避するために食べられる分だけ、提供できる分だけを育てることも可能」と話す。

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愛媛・宇和島市はリアス式海岸が特徴で、養殖業が盛んな地域。湾内に浮かぶ巨大ないけすには、近畿大学 世界経済研究所 有路昌彦教授とアセロラドリンクで知られる「ニチレイフーズ」との共同開発で生まれた新しい魚「アセロラブリヒラ」が泳いでいた。その秘密は餌にあり、果実のアセロラが配合されている。

近畿大学水産研究所は、ブリとヒラマサをかけ合わせたハイブリッド魚「ブリヒラ」を開発したが、ブリの濃厚な味とヒラマサの食感の良さを併せ持つものの知名度はいま一つ。
そこで、ビタミンやポリフェノールが豊富なアセロラを加え、さらに付加価値を高めようと考えたのだ。
アセロラドリンクの生産工程で出た搾りかすを乾燥させ、パウダー状にしたものをブリヒラの餌に混ぜ、最終的にアセロラの成分が体重の約10パーセントになるように調整しながら与えていく。

有路さんの専門は水産資源や食料経済で、長年、食卓に並ぶ養殖魚を研究。8年前には、ウナギの代用品としてナマズの量産に成功し、今ではスーパーでお馴染みの商品になった。
有路さんは、「付加価値がついたものを作り、それを食べたいというお客さんが増えることで、最終的には日本の養殖業者が潤うようにしていくのが我々のミッション」と話す。

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有路さんは大学で教える傍ら、近畿大学が支援する養殖魚の加工・販売会社「食縁」(和歌山・新宮市)の社長も務めている。
早朝5時半過ぎ、宇和島から4キロほどに育ったアセロラブリヒラが運びこまれた。初出荷に向け、生簀から水揚げした魚を、専用の機械を使って一瞬で締める。水揚げ直後の迅速な処理が、身にうまみ成分を多く残すポイントだ。

うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け
魚を下ろして状態をチェックすると、アセロラの抗酸化作用で、血合いの色は鮮やか。アセロラには、魚の劣化を遅らせる効果もあるという。
工場長と刺身を試食した有路さんは、「生臭さが抑えられている。うまみがはっきり分かる」と太鼓判を押す。

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4月23日に開かれた記者会見で、有路さんは、アセロラブリヒラをスーパー「ベイシア」(北関東を中心に133店舗展開)限定で販売すると発表した。
この日、「ベイシア 青梅インター店」に並んだアセロラブリヒラは、100グラム当たり499円と養殖ブリの約1.5倍の値段。早速手に取ったお客さんは、「見た目がおいしそうだったから」と話す。

順調なスタートを切ったように見えたが、ニチレイフーズの本社に気がかりな情報が飛び込んできた。4月末、ブラジル南部で大雨による大規模な洪水が発生。その影響で、餌に配合するアセロラパウダーが想定よりも生産できていないというのだ。さらに、海外に依存している餌の原料価格が高騰し、採算を取るためには販売量を拡大するしか手段がない。
有路さんは、海外での展開も視野に入れ、次の一手に動き出す。

みそ汁の人気具材が大ピンチ!救世主は世界初の技術?


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愛媛・西予市。去年10月から稼働し始めたアオサの陸上養殖場には、大小合わせて48基の水槽設置されている。この養殖場をほぼ一人で管理しているのが、みそメーカー「マルコメ」の松島大二朗さん(32)だ。

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創業は江戸時代末期の1854年で、長野県に本社を構えるマルコメ。「料亭の味」シリーズなどがヒットし、売上高500億円を超える味噌業界最大手だ。マルコメは、なぜアオサの陸上養殖を始めたのか。

うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け
みそ汁の具材として人気が高まるアオサの市場規模は5年前から約4割拡大しているが、海水温の上昇などにより、収穫量が減少。生産量の6割を占める三重県では、この20年余りで収穫量が3分の1近くまで減っていた。
危機感を抱いたマルコメは、2017年に、世界で初めて陸上養殖による量産プロジェクトを開始。松島さんは入社1年目で責任者に抜てきされ、「養殖したアオサを商品化したい」と意気込んでいる。

うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け
そんな松島さんが頼りにしているのが、徳島文理大学 薬学部 山本博文教授。愛媛県の陸上養殖場は、山本さんにアドバイスをもらいながら作り上げた。

山本さんはアオサの陸上養殖を世界で初めて成功させた人物で、研究を始めたきっかけは、海藻類の減少に危機感を持ったことだった。アオサ以外にも、ワカメやノリなどの海藻が採れなくなっている日本の海。海藻の減少は、沿岸に生息する魚の減少にもつながっている。

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5月20日、いよいよアオサの収穫が始まった。網をセットして水槽の水を抜くと、10トン水槽1つから30キロほどのアオサが採れた。浄化した海水で洗い、脱水後はトレーに丁寧に広げる。仕上げは乾燥機に入れ、風を当てて余分な水分を飛ばすが、乾燥させること約2時間…陸上養殖したアオサは、商品化できるレベルに仕上がったのか。

“魔法の水”は日本の漁港を救えるか?


うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け
宮崎・都農町は古くから漁業が盛んな町だが、最近はカマスやフグが獲れなくなり、漁師も少なくなって水揚げが減る一方だという。危機感を抱いた都農町は陸上養殖場を作り、“特殊な水”でハタ科のタマカイを育てている。天然ものならキロ1万円の値を付けることもあるほどの高級魚だ。
この特殊な水を開発したのが岡山理科大学 山本俊政准教授(65)で、都農の人々は漁協の未来を託していた。番組は14年前から、この特殊な水の開発に注目。

うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け
当時51歳の山本さんが作ったのは、不思議な白い粉だ。金魚が泳ぐ真水の水槽に真鯛を入れると、あっという間に瀕死の状態に。しかし、そこに山本さんが開発した白い粉を入れると…瀕死状態だった鯛がすぐに息を吹き返した。

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白い粉を入れた水は「好適環境水」と言い、山本さんは、海水の中から魚が育つのに必要な成分だけを取り出し、配合した粉を作って特許を取得。この水は魚をより早く育てることができ、病気にかかるリスクも少ないことが確認された。当時の山本さんは「場所を選ばない魚工場、山村を漁村にしたい」と話している。

うまみがすごい「アセロラブリヒラ」とは?“革新的な養殖技術”で海の危機を救う:ガイアの夜明け
6月3日、都農町の陸上養殖場。好適環境水で育ち、1年で1.8キロに成長した1匹のタマカイが水揚げされ、商品化に向けた試食会が開かれた。鍋、カルパッチョ、フライ…。試食した坂田広亮町長も「弾力があってやわらかい。甘い」と満足した様子だ。
そんな山本さんの技術は世界に進出。ある国で驚きの展開を見せていた…。

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