「最初はすごくショックだった…」人気クリエーターが感じた<地球の現実と将来>

公開: 更新: テレ東プラス

この数年で、SDGs、エシカル、サスティナブルという言葉が浸透し、世の中の流れは大きく変わった。そして今年、日本の夏は、経験したことがないほどの猛暑に…。温暖化の影響で魚が減り、農作物にも甚大な被害を及ぼした。誰もが今、環境問題から目を背けられない時代へ突入した。

今回の「エシカル特集」は、海洋プラスチックをアップサイクルしたアクセサリーブランド「sobolon」(One Earth株式会社)の山崎姫菜子さんを取材。小学生の頃から環境問題と向き合ってきた山崎さんに、自身のルーツや社の取り組み、作品に込められた思いなどを語ってもらった。

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【動画】プラスチックと共生する方法とは?

環境問題は、“楽しく”なければ伝わらない


山崎さんが環境問題に向き合ったのは、小学生の時。社会や理科の授業で温暖化や環境問題について学び、大きな衝撃を受けたことを覚えているという。

「元々感受性が強いタイプで、大きなネガティブに遭遇すると“どうすればいいの?”“何から始めたらいいの?”と焦ってしまうのですが、10代のうちは、環境問題に向き合うといっても、何をどう始めたらいいのかわからない。学生時代は悶々としているだけでした。
根底にそのような思いを抱えていたからかもしれませんが、既存の職業では、なかなか自分がやりたいと思えるものに巡り合うことができず、“環境問題を解決したい”という思いだけが徐々に深まっていきました」

葛藤を抱えながらも、大学へ進学。その後は地元のカフェで働き、縁あって、東京の古民家をリフォームしたビーガンカフェで働いたが、体調を崩してしまった山崎さん。

「ずっと自分をごまかしながら、“なんとか世の中に適合しなくては…”と思い続けて頑張っていましたが、無理したことで体のサインとして出てしまったんですよね。でも、この時初めて、“あなたが目指す先は、そっちじゃないよ、こっちだよ”と導かれているのかなと思いました。“自分が本当にやりたいことをやらないと、布団からも出られないし、元気にならない…”そう気づき、“このままではいけない”と、自分がやりたいことに向かって立ち上がろうと決意しました」

東京から地元の岐阜に戻った山崎さんは、知り合いのハンドメイドアクセサリーの仕事を手伝うことに。これが転機となり、中学時代のブラスバンド部の仲間と、アクサリー作りを始める。

「最初は、友人たちと作るアクセサリーとは別軸で、一人で環境のこと、地球のことに取り組む予定でした。でも、たった一人で環境問題を訴え、ネガティブに発信するのは自分もしんどいし、おそらく誰にも伝わらないと思ったんです。こと環境問題に関しては、押しつけがましいのはNG、楽しくなければ、伝わるものも伝わらないと考えました。
環境問題はポジティブなものと掛け合わせなければ伝わらないと思ったので、環境のためになるようなアクセサリーブランドができれば、友達はアクセサリーが作れるし、私の“地球のためにやりたい”という願いも叶います。
やっと私の中で考えがまとまり、友人に話したところ、みんなすぐに“それってすごく大切なことだよね。自分たちもハッピーだし、地球もハッピーになったらいいよね”と共感してくれました。それが今から約5年前、22歳の春の出来事です」

海洋プラスチックが悪者になってしまうのは違うし、もったいない


環境のためになるエシカルな素材はないか…山崎さんが思いを巡らせていた時に知ったのが、海洋プラスチックの存在だった。

「海の近くに住んでいる友人が海洋プラスチックの存在を教えてくれました。すぐに海に連れて行ってもらい、一緒に拾いましたが、最初に打ち上げられた無数のプラスチックを見た時は、大きなショックを受けて悲しい気持ちになりました。
レジャーで遊びに行く海はキレイなところが多く、それまではゴミが落ちているという視点で見たことがありません。でも、改めてよく見ると、めちゃくちゃ細かいゴミが落ちています。驚きと同時に、人間が出したプラスチックゴミがこんな風に海を汚し、海の生き物たちをも傷つけていると知ると、いよいよ環境問題を突きつけられたような気持ちになりました」

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「その日は、3時間くらいずっと拾い続けましたが、不思議なことに、だんだん海洋プラスチックに愛着がわいてくるというか…。次第に“悲しい”というところから、可愛い色や形、いろんな個性を持つ子がいて、“これが悪者になってしまうのは違うし、もったいない”という気持ちに変化しました。愛着をすごく感じて、今でもゴミ拾いに行く度に“海洋プラ大好き”みたいな気持ちになります(笑)。ゴミだけどカラフルだし、“このまま捨てられてしまうのはもったいない、これならアクセサリーの素材として使えるかも…”そう思いました。
また、ぼろぼろな海洋プラスチックを見て、挫折を経験した自分と重なったというのもあります。もう社会での居場所がないと思っていた自分も、見方や活かし方を変えれば、何か価値があるんじゃないか…。“自分を励ましたい”という意味でも、海洋プラスチックに感情移入していました」

今でこそ、海洋プラスチックを使ったアクセサリー作家は多くいるが、5年前は、海洋プラスチックの存在自体、日本ではまだあまり知られていなかった。

「思いは日増しに強くなり、1カ月くらい自分で試行錯誤する中でデザインが固まり、そこからはみんなで準備。22歳の夏に初出店が決まり、12月にはオンラインショップを開設することが出来ました」

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ブランド名「sobolon」にも、山崎さんらしい素敵な思いが散りばめられている。

「日本語の“そぼろ”という言葉には、“ボロボロ”“みすぼらしい”という意味があります。そもそも環境問題が起きてしまうのは、物が過剰に作られ、すぐに捨てられてしまうということが大きな要因となっています。
物を大切にする気持ちや、一見ボロボロで捨てるしかないようなものにも使い道を見つけてあげて、さらなる価値を見いだしたり…そういう埋もれている可能性にみんなが気づけるようになれば、もっと素敵な世の中になるのではないかと思っています。
海洋プラスチックも、海の環境という視点だけで見ると、汚す悪者というネガティブな存在になってしまう。でも、“ボロボロでもかわいくなれるんだよ”という視点、発想の転換や柔軟性をみんなが持てるようになれば、物の価値が高まって、いい循環が少しずつ増えていき、それが地球の調和へとつながっていくのではないかと信じています。
“ボロボロだった子たちがこんなにかわいく生まれ変わるんだよ”という意味で“sobolon”というブランド名にしました」

 

ブランド名からも伝わるように、ポジティブなプロセスで行動してこそ、持続可能となり、世の中に伝わりやすくなると語る山崎さん。

「環境問題には、海洋プラスチック以外にも、さまざまな課題がありますが、それらはすべてつながっていると考えます。アクセサリーを通して、ポジティブなエネルギーを受け取っていただき、そのエネルギーが、皆さんの周りにあるネガティブをポジティブに変える。いい循環に変えていくことで、じんわりと地球や社会が良いものになっていけばいいなと。その結果、やがて大きな環境問題も解消されていくのだろうなと思います」

ネガティブな問題だからこそポジティブに…真のサスティナブルはそこにある。

(取材・文/蓮池由美子)

【山崎姫菜子 プロフィール】
1996年、岐阜県生まれ。ハンドメイドアクセサリー「sobolon」のリーダー。
幼少期から「環境」「食」「暮らし」などに強い関心を持ち、中学生の頃に仲間と全力で吹奏楽に取り組んだ経験から、当時の仲間4人でマイクロプラスチックアクセサリーブランド「sobolon」を立ち上げる。「”可愛い”で地球を守る」を多くの人に伝えるため、クラウドファンディングに挑戦し、「有楽町マルイ」、「銀座ロフト」他、全国各地に多数出店。
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