月曜よる8時から放送の「主治医が見つかる診療所」は、皆さんが知りたい医療の疑問に、第一線で活躍する医師たちがやさしく答える知的エンターテイメントバラエティ番組。毎回、病気の予防法や、今すぐできる健康法などを、最新情報を交えて発信しています!
今回、WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは「熱中症対策」。連日危険なレベルの酷暑が続く中、巷には熱中症対策グッズが溢れています。果たして効果は? さっそく同番組のレギュラー・石原新菜医師にお答えいただきました!
夜も冷房を使い、まずは質の良い睡眠を心がけよう

Q: 40代女性です。毎日35度を超える猛暑が続いていて、熱中症のニュースも毎日のように報じられています。自分もいつか熱中症になるのではないかと不安なのですが、初期症状やサインはどのようなものなのでしょうか?
また、「ネッククーラー」を試してみたいと思っていますが、普段から首コリがひどいため、冷やしていいものかどうか気になります。使っても大丈夫でしょうか? 他に冷やしても問題ない部位、また熱中症予防になる食材などあれば教えてください。
――熱中症の初期症状とはどのようなものでしょうか。
なんとなくだるい、または頭痛や立ちくらみ、めまいや吐き気などがあれば危険なサインです。ただ、こうした症状は、熱中症と関係なく発症する場合も多々あるので「まあ、こんな日もあるだろう」と見逃しやすい。冷房の効いた部屋でそれほど汗をかかず、快適に過ごしているなら別ですが、暑い環境にいるときにこれらの症状が出たら怪しいと思ってください。
熱中症とは「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射症」の4つの症状の総称ですが、初期症状のサインは同じ。今夏は毎日のように酷暑が続いています。とはいえ、今年だけが例外とは限りません。今後もこれまで以上に熱中症の危険に対する意識を高めたほうがいいでしょう。
――熱中症にならないように心がけるべきことは?
日頃から質の良い睡眠をしっかり取ることが大切です。睡眠時間が取れていないと、翌日に夏バテの症状が出やすくなりますし、熱中症にもかかりやすくなります。また、冷房をつけたまま寝ると体調が悪くなるという方もいるでしょうが、熱中症で亡くなる方の約3割が、夜間熱中症が原因になっているともいわれ、最悪、命に関わります。今夏以降は意識を変え、お風呂にゆっくり浸かるなど、体を冷やさない対策を取りながらでも冷房は使用するべきだと思います。
甘酒や味噌汁を飲めば予防につながる!

――質問者さんは40代ですが、年齢によって気をつけるべきことはありますか。
もっとも怖いのは、暑さに対する感覚が鈍っている高齢者と、地面に近く、照り返しの影響を受けやすい子ども。40代の方でしたら日傘や帽子を使う、風通しの良い服装を心がけるなどで大丈夫だと思います。必要以上に過敏になる必要はありません。近年、発売されているいろいろな冷却グッズを利用するなどして、快適に過ごす工夫をしましょう。
――その対策グッズですが、冷え性の質問者さんは「ネッククーラー」の使用をためらっているみたいです。
少し神経質になり過ぎているかもしれません。外出時など、暑い場所にいる状態なら使って問題ありません。一方で、クーラーの効いた涼しい室内にいるなら、あえて首を冷やす必要はありません。先ほどの熱中症の見極めの話と同様、「夏だから」「冷え性だから」とひとくくりにするのではなく、自分の置かれている状況に応じて対策を取ることが大切です。
――首以外にも冷やして問題のない体の部位は?
太い血管が通っている脇の下や鼠径(そけい)部、それに手のひらや足の裏であれば問題ありません。また、氷などで実際に冷やす以外にも、メントール配合のスプレーを使うなど、冷感グッズで感覚を刺激して涼を取る方法もあります。
――ちなみに、熱中症の予防になるおすすめの食材はありますか。
昔から「飲む点滴」といわれる甘酒は、アミノ酸やビタミンB、ミネラルなど、夏に不足しがちな栄養素を豊富に含んでいます。もともとは冬の飲み物だったのが、江戸時代ごろから夏に飲まれるようになったのも夏バテ防止に役立つからだともいわれています。
もう少し身近な食材としては、味噌がおすすめです。甘酒同様、アミノ酸やビタミンなどが豊富です。マラソン大会などのブースで味噌汁が配られるのも、それだけ栄養価が高いと認められている証。普段の食事に味噌汁をプラスするのはもちろん、野菜スティックのディップソースに味噌を使うなど、ちょっと意識して加える工夫するといいですね。
―― 石原先生、ありがとうございました。
【石原新菜(いしはらにいな)医師プロフィール】
イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ講師、本内科学会会員、本東洋医学会会員、本温泉気候物理医学会会員。1980年長崎県生まれ。2006年3月帝京大学医学部卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實医師のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。著書に13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)他、「読む冷え取り」(主婦の友社)、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)、「水出し健康法」(幻冬舎ルネッサンス)、「『冷え』をとれば9割治る!」(海竜社)等、約40冊がある。中国、香港、韓国、台湾、ベトナムなどでも翻訳されている。2児の母でもある。
※この記事は石原新菜医師の見解に基づいて作成したものです。
今回お話を伺った石原先生も登場する、次回の「主治医が見つかる診療所」は【救急救命“真夏の現場”&昭和と令和で真逆の健康新常識】!
真夏の壮絶現場
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