現代日本において、さまざまな原因により、セックスレスに陥るカップルは多いという。
改善を望む場合は早めに専門家に相談し、アドバイスを受けることが有効だが、一歩踏み出すのに躊躇してしまう方も多いのでは?
そこで「テレ東プラス」は、心理カウンセラーと性機能を熟知した専門医がタッグを組む「カウンセリングルーム Esolve」で、オーガナイザー・アドバイザーを務める木村将貴氏にインタビュー。
前編では、セックスレスの定義やセックスレスに陥らないための方法を模索したが、後編では、カウンセリングを受けることの重要性について話を聞く。
【動画】「夫に拒否されてつらい…」セックスレスに悩む妻を堀田茜が熱演
基本的に、カウンセリングはカップルで行うことが推奨されます
――「草食」という言葉が定着し、恋愛に消極的な若い人たちが増えていると言われるようになって久しいですが、これはセックスレスの増加と何か関連しているのでしょうか。
「一概には言えませんが、環境ホルモンなどの影響により、世界的に男性の精子数や性欲をつかさどる男性ホルモンのテストステロンが減少しているという研究結果は出ています。それが男性の草食化につながっている可能性はありますね。精子の濃度や運動率が減少するとともに、セックスレス傾向で人工授精・顕微授精・体外受精などの需要は増加しています」
――セックスレスに陥ると、精神面だけではなく、身体的にも影響があるのでしょうか。
「性行為には健康へのさまざまなメリットがあると言われています。例えば、ED(勃起不全)で性行為ができない人は、できる人に比べて体調や精神面での健康リスクが高まるとされています。
また、男女ともに性行為によってオキシトシンとセロトニンが分泌され、精神的な安定や幸福感、ストレス耐性の向上につながります。
さらにセックスは、免疫力の向上やダイエット効果も報告されています。30分の性行為による消費カロリーは約100kcalで、15分のランニングと同等の消費です。
男性においては、セクシャルアクティビティが高いと、"若返りホルモン"とも呼ばれるDHEAが増加すると言われています。これは認知機能や筋力、アグレッシブさに影響を与えるので、アンチエイジング効果が期待できます。そして、定期的な射精は、前立腺がんの予防にも効果的とされています。
女性の場合、40代で性的な触れ合いが全くないと、イライラなど、更年期障害に似た症状が現れることもあり、我々のカウンセリングを通して再び性的な触れ合いが生まれると症状が改善されることも。これは、女性ホルモン・エストラジオールが分泌されることが要因かもしれません。
セックスレスの女性は、“求められない自分”に不安を抱えていることが多く、例えば高価なプレゼントなどでは代替にはなりません。求められない不安から男性に対して強くあたる、その結果、男性が心因性ED(精神的・心理的な要因で起こる勃起不全)になってしまうケースもあるので、セックスに関する問題は、手遅れにならないよう、早めに対処することが重要です」
――カウンセリングも、思い立ったら早めに行った方がいいということですね。
「そうですね。ここ最近、ポピュラーになってきているとは言え、セックスカウンセリングの敷居が高く感じられることは理解できます。しかし自己流で解決しようとすると、一時的に問題が解消しても、再び戻ってしまうこともあります。例えば、女性側に強い痛みがある性交疼痛症、男性器を受け入れられない挿入障害や性嫌悪、男性の心因性EDの場合などです。その際に、無理に挿入を試したり、薬を服用したりして勃起出来たとしても根本的な解決にはつながりません。
カウンセリングではじっくりと話を聞き、スモールステップで心の問題を解決します。もしもセックスレスが再発しても、段階的に戻って問題に取り組むことができます」