オカルトホラー作家・雨穴原案のヒューマンホラーサスペンスドラマ 「何かおかしい」の続編「何かおかしい2」が、2022年8月から動画配信サービス「Paravi」にて先行配信中。1月20日(金)21時から「Paravi」にて、11、12話を配信、YouTubeテレビ東京公式ドラマチャンネルでも、同日同時刻に11話を無料配信する(※YouTubeテレビ東京公式ドラマチャンネルでは奇数話のみ無料配信中)。
「テレ東プラス」では、特別に、第3話「ぷろばびりてぃ」の内容をプレイバックする!
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ラジオ番組「オビナマワイド」は、かつてラジオ東京で人気だった生放送番組。ある事件による大炎上で、ラジオ局ごと潰れてしまったが、「オビナマワイドNeo」としてインターネットラジオで復活することになった。
ある日の生放送、ブースにはMCのさらば青春の光(森田哲矢・東ブクロ)、アシスタントの井上咲楽、番組構成作家の内山(細川岳)がいる。
今日のゲストは、バラエティにドラマに、今ではテレビで見ない日はないほど売れっ子のアイドル・ヒカリ(川島海荷)。
コントロールルームには、ディレクターの土屋(津田寛治)、プロデューサーの上村(浅利陽介)、ミキサーの畑野(松尾諭)が座っている。
ヒカリが会いたい人に、スタッフが代わりに会いに行くコーナーがスタート。まず登場したのは、高校時代のバレー部仲間のトモ(中西悠綺)。高校時代はスポ根少女だったヒカリ、そうなれたのはトモのおかげだという。
中継先の映像がモニターに映る。一軒家の前にリポーターの樋口(上村ひなの)が立っていて、「ヒカリさんがお礼を伝えたいという、トモさんの家に来ておりま〜す」と笑顔でリポートする。
「うわぁ、懐かしい。このお家によく遊びに行ってました」
「では、そのトモちゃんをお呼びしましょう!」
モニターに映るトモは、無表情で車椅子に座っていて、一同少し驚くが、呼びかけられるとすぐに笑顔になり、「こんにちは。ヒカリちゃん、久しぶり!」とトモ。
高校時代、ヒカリはバレー部の補欠で、トモがレギュラーだった。しかし、高校2年生の夏にトモが病気になり、車椅子で生活するようになったため、一時的にヒカリがレギュラーに。その後もトモの具合は良くならず、ヒカリが最後までレギュラーを務めたという。
「だから申し訳ないことしたなって...けど、トモちゃんがいたから頑張れたのも事実で」
「ヒカリちゃんが申し訳ないと思うなんて変だよ。だって、私がこうなったのはヒカリちゃんのせいじゃないでしょ?」
明るく言うトモに、森田が「何があったの?」と車椅子の理由を尋ねる。
「母が夕飯を作ったんですが、よくないものが入っていて、食中毒が起きちゃったんです。しかも、ヒカリちゃんも一緒に食べていたんです。だからむしろ、ヒカリちゃんが無事で良かったよ。これ、ちょうどその日の写真なんですけど」
トモがヒカリとの記念写真を見せる。食卓にはたくさんの餃子が並んでいる。
「私だけちょっと症状が重くて、運悪く神経にまで症状が出ちゃって、歩けなくなっちゃって」
「それは大変やったね...」
「私たちも家庭科の授業で食中毒について習ったばかりだったから、びっくりしました。ねぇ?」
「そうだね...。私もその時までは、部活の練習も適当だったんですけど、手を抜いたらトモちゃんに申し訳ないと思って、すごく練習したんです。その時に頑張った経験が、今このお仕事をするようになってからも役に立っているんです。だから今、こうして頑張れているのも、トモちゃんのおかげだって感謝してるんです」
「......」
「本当に"ありがとう!"と言えて良かったです」
「いやあ、なんだろう。オビナマにはもったいない良い話やな」
「面と向かってだと言いづらいことも、逆に言えたりしますしね」
「そうやな。じゃあトモちゃん、今日はありがとう!」
「また地元に帰ったら連絡するね!」
「うん、遊ぼう! 遊ぼう!」
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番組がニュースへ移ると、トモの顔から笑顔が消える。樋口は不思議に思いながらも、次の中継先へ歩いて移動する。
コントロールルームでは、パソコン画面を見ながら「ヒカリちゃんも、スゴいエピソード持ってますよね」と上村。
「でも、刺激を求めるオビナマリスナーには、それほど響かない感じですね」
「だろうな」
SNSには『感動した』『ヒカリ好きになった』などの書き込みがあるが、アクセス数は微増。
「でも、ここから頑張りましょう」
すると、土屋がキョロキョロしながら「なんか今日、臭くないか? 花の匂いか?」と言う。
「ADの田島ちゃんが昨日ロケハンに行った場所で、花の匂いのする何かをもらったらしく、皆さんもどうぞって」
ADの田島(兒玉遥)は、この後のお天気中継のために山に登り始めていた。土屋が中継カメラを通して「お前のせいでサブが花臭いんだけど、何これ?」と尋ねる。
「それ、花の匂いのする虫除けです。めっちゃ良い香りですよ〜。私、今も花の匂いに癒やされ中なんです」
「癒やされ中って、何の花の匂いだよ」
「『この花がいいんですよ』って、昨日ロケハンに行ったところのおばあちゃんが教えてくれたんです」
「おばあちゃんって、この後のヒカリちゃんの会いたい人だよな?」
「そうですね」
ラジオブースには、まもなく次の中継先に到着する樋口の映像が映し出される。通り道に野菜の無人販売所があって、「田舎っぽくていいねぇ」と森田。ヒカリは「懐かしい〜。私もここで野菜を買ってました」と言う。
「どんな野菜売ってるんですか?」
「ニラとか」
「へぇ〜」
ニュースが終わり、あの人に会いたいのコーナーの続きへ。ヒカリが会いたい2人目は、高校時代にいつもトモと行っていた駄菓子屋のおばあちゃん。
「いつもお店の前にイスを出して座って、日向ぼっこしていたんです。私そこの常連で、おばあちゃんがいつも『悩みはない? 大丈夫?』って聞いてくれたんです。そのおばあちゃん、元気かなって」
「おぉ、いいね。駄菓子屋さんのおばあちゃんの日向ぼっこ」
「"プロばあちゃん"って呼ばれてました」
「悩み相談のプロとか?」
「ですかね? 先輩からそう習ったんです」
駄菓子屋の前にいる樋口と中継が繋がった。「座っていたのはここですよね?」と椅子を示す樋口。
「そこなんですけど、今日おばあちゃんは?」
「実はおばあちゃん、昨年末に調子を崩して、お店休んでいるそうなんですよ」
「そうなんですか...」
「ただですね、昨日うちのスタッフの田島さんが、ダメ元でロケハンに来たところ、おばあちゃんと話せました! そしてなんと、今日はお話を聞けることになりました!」
「本当ですか⁉ 嬉しい〜!」
「この奥にいらっしゃるみたいなので、早速行ってみますね」
樋口が奥に歩いていくと、庭には花が咲いていて、通称プロばあちゃん(宮崎美子)が世話をしている。
「ヒカリです〜! 高校時代3年間通っていたんですけど、覚えてますか?」
「もちろん! 昔からキレイだったからねぇ、今じゃタレントさんなんでしょう?」
「はい、一応」
和やかに会話が進んでいき、「平和すぎんだよなぁ。アクセス数もSNSの反応もイマイチ」とぼやく土屋。
「お花を育てていらっしゃるんですね」
「そう。きれいでしょう? 水仙です」
カメラが庭の水仙を映すと、ヒカリがさっと真顔になる。
昭和の雰囲気漂う縁側に座り、「古いだけの家ですよ」とニコニコするプロばあちゃん。縁側から見える家の中には、幸せそうな家族写真が並んでいる。
「写真も飾っていますね。お子さん、お孫さんですか?」
「はい。幸せなことに、子どもも孫も元気に暮らしております」
家族写真以外にも、階段の上に転がるボール、壊れた自転車、焼けた家の跡の写真が飾ってある。不思議に思った樋口が「この写真はなんですか?」と聞くと、プロばあちゃんは「これはうちの2階の階段です。ボールはそれです」と、庭に転がっているボールを指す。
「10年前に夫がボールにつまずいて、階段から転げ落ちて死んでしまったんです。その記念で」
夫の死を穏やかな口調で話すプロばあちゃんに、一同違和感を抱く。樋口が「知らずにお聞きしてしまって、すみません」と謝ると、「いいのよ。お酒飲むといつも愚痴ばかり言ってたから、楽になったと思う」とプロばあちゃん。
気まずい雰囲気を変えようと、樋口は壊れた自転車の写真について聞く。すると...。
「これは、近所の桜井さんに貸した自転車なのよ。桜井さん、この自転車で車に衝突しちゃって死んじゃったの。その記念で」
「え...?」
「もしかして...」
樋口が庭に置いてあるそっくりな自転車に目をやると、「そう、あの自転車。桜井さん、いつも野菜が高い、お肉が高い、これじゃ生きていけないって文句言っていたから、楽になったと思う」と、先ほどと同じ口調で答えるプロばあちゃん。
何かおかしい雰囲気に、森田が「えっと...おばあちゃん、この燃えた跡みたいな写真は?」と場を繋ぐ。
「これは、近所の野山さん家の火事。奥さんが亡くなってしまったの。その記念に。子どもが言うこと聞かないっていつも怒っていた人だったんだけど、楽になったと思う」
先ほどまで穏やかだったSNSが、途端に『人が死んだ記念に写真撮る?』『死にすぎじゃない?』と沸き立ち、アクセス数が急増し始める。
「ネットは盛り上がってきたな」という土屋に、畑野も「確かに、オビナマワイドっぽくなってきましたけど...」と複雑な表情で頷く。
アシスタントの井上が、プロばあちゃんに聞きたいことがないか話を振ると、動揺しつつ笑顔で答えるヒカリ。
「あの...今日は私のお願いで出ていただいてありがとうございました! 嬉しかったです」
「まあ、ご丁寧に。でもごめんなさい、あなたのために出たわけじゃないのよ」
「え?」
「私、最近退屈で退屈でしょうがなかったの。ずっと悩みがある人を楽にしてあげようって頑張ってきたんだけど...飽きちゃって」
「今日は、皆さんに私の話を聞いてもらって、協力してもらおうと思って」
「...ああ、そうなんですか」
昔を懐かしむように語り出すプロばあちゃん。
「最初はね、もう半世紀以上前。中学生だった頃、私の前で交通事故が起こったの。その辺りの地理に詳しくない人だったらしく『病院を教えて』と聞かれてね。その時に、2つ病院が浮かんだの。1つはこのあたり一番の名医、もう1つは誰もが知ってるヤブ医者...。後で町の噂で聞いたんだけど、その人そのまま死んでしまったんだって! その時に気づいたの、世の中にはそういう方法もあるのか! って...」
一見意味がないように思えた写真には、ある共通点があった...。そして"プロばあちゃん"の衝撃の真実が明らかになる!