日本人女性の自己肯定感は世界最低...MEGUMI「女性だって野心は出していい」

公開: 更新: テレ東プラス

ドラマチューズ!「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」(毎週火曜深夜0時30分放送)。動画配信サービスParaviでは、これまでの放送を一挙配信中!

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女性アナウンサーとして天下を取るはずが不倫発覚で転落......すべてを失い"詰んで"しまったヒロインが、なりふり構わずカリスマを目指す姿を描く奮闘コメディー。ドラマの企画・プロデュースを手掛け、美容業界のカリスマ女社長役も演じるMEGUMIさんにインタビュー。初めてプロデュースした連ドラに込めた思いとは?

負けねえ!ガッツのある女性にしたかった

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――ドラマ、めちゃくちゃ面白いです! MEGUMIさんは、今作が連ドラプロデュース初とのことですが、この物語を作るきっかけをぜひお聞きしたいです。

「ありがとうございます! 以前ニュース番組に出た時に『日本人女性の自己肯定感は世界で最低』というトピックが取り上げられたことがありました。こんなに良い国で『私なんか...』と思っている人がすごく多いと聞いて衝撃的だったんです。確かに、自分の周りにもそう言っている女性が多いし、自分もそういう気持ちになることが多くて。これはあまり良いことではないと思い、私が作品を作るのであれば、女性を主人公にして、社会から抹殺されるまで"詰んだ"状態から、ユーモアを持って乗り越えていく話にしようと決めていました」

――バラエティはもちろん、近年では俳優としても賞を受賞されるなどご活躍ですが、いつ頃からドラマを作りたいと考えられていたのでしょうか?

「コロナ禍での最初の自粛期間中にInstagramでドラマのようなものを作って。それが初めてのプロデュース作で、ゼロからものを作っていくのは楽しかったし、作ったものが編集されて世の中に広がっていくことに感激しました。そこからショートフィルムや長編映画を作るようになって、今回でプロデュース作は6本目、連ドラとしては初めてです」

――それ以前から映像制作に興味があったんですか?

「自粛期間に、このままでは仕事がなくなると思ったんです。どうなるのかはわからないけど、この世が変わる......と。芸能人はオファーがないと動けないことには常に悩んでいて、"いつどうなるか分からない"という呪縛から解き放たれたいという思いはずっとありました。

じゃあどうするか? 私の世代って中途半端で、TikTokで踊るのもどうかと思うし、YouTubeでモーニングルーティーンもやれない(笑)。自分で発信するには何をしたらいいのかと考えていたところ、ブラッド・ピットやクリント・イーストウッドもプロデュースや製作を手掛けていることに気付いて。海外ではそれが当たり前なので、私も自分で作品を作っていけば、この世界で一生楽しくいられるかもしれないと考えました」

ichiko_20221205_03.jpg「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」第6話より

――そうした試行錯誤から生まれたんですね。深川麻衣さん演じるヒロイン・壱子は、他のドラマにはいないような強烈なキャラクターですが、なぜこのような女性を主人公にしたのですか?

「今回は、日本のドラマにはない要素を散りばめています。日本の作品の女性キャラクターは、かわいくておとなしい設定が多いですが、私のドラマでは主張があってユーモアがあって野心があるという女の子にしたかったんです。ただし嫌われてはいけないので、名前は"壱子"という、ちょっとレトロな感じにして。演じてくれるまいまい(深川)はかわいいから愛されるキャラクターになるだろうと思いました。いろんな理不尽なことがあっても、ユーモアを持って乗り越えていく。"負けねえ!"というガッツのある女性にしたかったんです」

――先日「あちこちオードリー」(毎週水曜夜11時6分放送/テレビ東京)に出演された際、MEGUMIさんご自身も「負けねぇ!」という気持ちでやってきたとおっしゃっていましたよね。壱子は、MEGUMIさんご自身に近い部分もあるのでしょうか?

「確かに私も、やりたいことや夢がめちゃめちゃあります。事業計画を書いてマネージャーに見せて、『今年はこれをやろう!』なんて話したり。でも、そういうところを見せると"しゃしゃり出てる"とか"女のくせに"と言われたりする。それが、この国で女性が生きづらいと感じる原因の一つでもある気がします。このドラマには、女性だって野心は出していいんだということを取り入れたかったんです。だから、私自身にも『カリスマになるぞ!』という壱子の要素はあります(笑)」

ichiko_20221205_04.jpg「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」第6話より

――MEGUMIさんはこのドラマの中で、壱子を応援する美容業界のカリスマ社長・不美を演じていらっしゃいます。若く見えるけど実は72歳という設定からして、笑えます(笑)

「物語後半に進むにつれてメッセージが濃くなっていくので、それが押しつけがましくならないように"おもしろ"をたくさん入れたくて。笑いながら観ているうちに、いつの間にかメッセージが刺さっているという構成にしたかったんです。だから、壱子はかわいく描き、周りには変な人がいっぱいいるといいなと考えました。特に、不美は"なんじゃこの人!?"という感じにしたかった。脚本会議で何歳にしたら一番面白いかと話しているうちに『54歳じゃ弱い。どうせなら72歳だろ』と。"おもしろ"を集約させたら、ああなっちゃいました(笑)」

ichiko_20221205_05.jpg「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」第6話より

――不美は、表向きでは社長ですが実は会社経営に関わっていないという、お飾りの立場です。そういう社長って実際にいるのかもしれないと感じました。

「いますね。このドラマの登場人物は全員、実際にいる人なんです。みんな、私が今まで見てきた人たちを投影させています。社長にもいろんなタイプの人がいて、複雑な形で社長というポジションにいる方も見てきました。壱子のファン・恭平(野村周平)も、壱子の親友・ヨッピ(サーヤ)も、モデルにした人がいます」

ichiko_20221205_06.jpg「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」第6話より

――濃厚なキャラのリアルなやりとりをスタイリッシュな映像で見せているのが印象的です。演出ではどのようなところにこだわりましたか?

「今までになかったものをやるという目標が大前提としてありました。カッコいい画の中で、登場人物がリアルな会話をしながらふざけているような作品はないだろうと考えて、会話は、なるべくドラマっぽくならないように生々しく、登場人物のふざけ方もリアルな感じを出してほしいと監督にお願いしました。綺麗な映像を撮るために、ALEXA Mini(アレクサミニ)というカメラを使って、機材にもこだわりました」

――最終回まで、目が離せません。これだけの作品を作り上げたMEGUMIさんが次に何を手掛けるのかが本当に楽しみです。次回作の構想があれば、教えてください。

「ドラマも映画も、やりたい企画はたくさんあって、年に1、2本は作っていきたいですね。女性の応援歌になるような、女性が力をつけて成長していく物語も考えています。基本的には実在する人を描きたいです。『うわっ!』と言いたくなるような個性的な人が周りにいっぱいいて、そのリアリティに面白味を感じていて。現時点でモデルにしたい人が3人ぐらいいます(笑)」

ichiko_20221205_07.jpg「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」第6話より

MEGUMIさんが企画・プロデュースを手掛け、美容業界のカリスマ女社長役として出演するドラマチューズ!「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」は、動画配信サービスParaviで、これまでの放送を一挙配信中!


(取材・文/伊沢晶子)

【プロフィール】
MEGUMI(めぐみ)
1981年9月25日生まれ。岡山県出身。2001年、グラビアアイドルとしてデビュー。バラエティタレント、俳優、実業家として活躍。第62回ブルーリボン賞助演女優賞受賞(2020年)。近年の出演作は、映画「ひとよ」(2019年)公開、「台風家族」(2019年公開)、ドラマ「石子と羽男」(TBS系)、 「おい、ハンサム!」(THK)。2016年、石川県に「カフェたもん」 をオープンさせる。WEBメディア「+COLLABORATE」でプロデュース業を務め、初プロデュース作のショートフィルム「LAYERS」(2022年公開)は国際映画祭の賞にノミネート。
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