生気を振り絞って求め合う2人「こんなに深く心からつながれたのは、人生で初めてかもしれない」北と彩女はフェリーの客室で抱き合うが...:雪女と蟹を食う

公開: 更新: テレ東プラス

【3行まとめ】
・ドラマ24「雪女と蟹を食う」第4話「似たもの同士」をプレイバック
・彩女が死ぬためにこの旅についてきたと知った北は、彩女の冷たい表情に何も言えなくなってしまう
・函館へ向かうフェリーに乗り込んだ2人。彩女は北に「本当は死ぬのが怖くなったのではないか」と問う

毎週金曜深夜0時12分からはドラマ24「雪女と蟹を食う」(主演:重岡大毅 ジャニーズWEST)を放送!

「テレ東プラス」では、第4話「似たもの同士」をプレイバックする。

※下記ネタバレあり

痴漢冤罪により全てを失い、人生に絶望した男・北(重岡大毅)は自殺を図ろうとするが、あと一歩踏み切れずにいた。
テレビでグルメ番組を見た北は「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、図書館へ。そこで見かけたセレブ妻・雪枝彩女(入山法子)に狙いを定め、家に押し入り、金を要求するが、彩女に促されるがまま情事を交わしてしまう。
彩女に「私も食べたいです、蟹...」と告げられた北は、戸惑いながらも2人で不思議な旅を始めることに。

彩女が死ぬためにこの旅について来たと知った北。

「旦那が構ってくれなくて寂しいなら、浮気の一つや二つしてやればいい。それで彩女さんが死から逃れられるなら...!」と必死に訴えるが、彩女はゆっくりと北を見据え、「それは本当の幸せじゃない」と言う。

「本当の幸せって...?」

「終わりにしたいの、もう。繰り返すこの日常を。私というつまらない人間の物語を」

彩女の冷たい表情に、何も言えなくなる北。

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2人は青森から津軽海峡フェリーに乗り、函館に向かうが、ベッドとテーブルつきの客室で、気まずい空気が流れる。

「私、少し外で風に当たってきますね。北さんは?」

「俺は船酔いしそうだから、やめておきます」

「そう、行ってきます」

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彩女は客室を出て行き、北はベッドに寝転がる。そしてポケットから、彩女の夫・雪枝一騎(勝村政信)が書いたベストセラー小説「蝉時雨」を取り出し、ぼんやりと眺める。

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(旅の途中、都合のいい妄想が何度も俺の頭をよぎって、何度も消えていった。彩女さんが、時々旦那の目を盗んで俺と会ってくれるなら...それだけのことだったのに)

「...彩女さん?」

ふと不吉な予感が脳裏をよぎり、がばっと起き上がった北は、客室から飛び出す。

「バカだ、俺!」

甲板への階段を必死に駆け上る北。彩女は死にたがっているというのに、どうして一人で行かせてしまったのだろう。
甲板にたどり着き、辺りを見回すが、誰もいない。北は不安と恐怖に襲われ、ふらふらと手すりに近寄る。そして絶望的な気持ちで海を見下ろすと...

「北さん?」

甲板の入口に彩女が立っていた。北は思わず駆け寄り、彩女の手首をぎゅっとつかむ。

「痛いわ」

安心しつつ、何も言えない北。2人はロビーに移動し、向かい合って座る。

「土左衛門ってさ、全身水吸ってぶよぶよになって、すごい顔になるんだって。だから、入水はやめよう」

「きっと、どんな死に方もきれいなものじゃないわ」

真剣な眼差しを向ける彩女。

「北さん、正直に答えてください。怖くなったんですか?」

「違う、そんなことじゃない」

「いいですよ。北海道に着いたら、あなただけ飛行機で東京へ戻っても」

「違う、ちょっと彩女さん...!」

彩女の腕を強く握る。

「残りのお金を半分あげる。30万円...それであなたがやり直せるかどうかはわからないけど。やり残したことがあると感じているうちは、死なない方がいいわ」

今まで見たことないほど冷淡な顔の彩女。

(出会った時、俺は彼女を雪女のようだと思った。でも今は...)

握っていた彩女の腕に違和感を感じ、目線を落とす。すると彩女の手が骨になっているような錯覚に襲われ、ゾッとした北は、思わず彩女から離れる。

(これが"死"から逃れる最後のチャンスかもしれない...)

一瞬心が揺らぐが、彩女との思い出が次々と頭に浮かび、北は意を決したように彩女を見つめる。

「俺、彩女さんのことを酔狂な人だと思ってた。体を差し出して、強盗にわざわざついてきて、お金まで出して優しくしてくれて...」

「......」

「今だったら分かる。強盗でも死神でも、一人になるくらいだったら側にいてほしい。俺は彩女さんに側にいてほしい。彩女さんしかいないから...」

黙り込む彩女に、北は必死の様相で続ける。

「だから約束してよ。絶対一人で死なないで。そしたら俺も、彩女さんを一人にしないから」

しばらく見つめ合う2人。

「じゃあ、あなたも約束して」

ようやく口を開いた彩女が、北の頬に優しく手を添える。

「もっと楽しそうな顔をするって。せっかくの夏休みなんだから」

ゆっくりうなずく北に、微笑む彩女。

「せめて旅の間は笑顔でいたいの」

小指を差し出す彩女に北も応じ、指切りをする。客室に戻り、愛おしそうにキスをし、ぎゅっと抱き合う2人。

(俺たちは、わずかな生気を振り絞って、必死にお互いを求め合う。この熱を失ってしまえば、人間である定義すら失ってしまいそうだ)

(この体温を抱えたまま死ねたなら...それが『本当の幸せ』なのかもしれない)